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56. パコーン
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あー、なるほど。それはお金いるわよねー。私さくっと体売ってこようかな。魔素とセットで売ったら多分がぽがぽ・・
やめんか!金ならとってくる!
やだ。弟に借金とかかっこ悪ーい。
前々から不思議だったんだが、その弟って単語どっから来た?!
だって魂にフィールがはいっているのでしょ?道理で弟って呼びたくなると思った!フロラインの弟はみんなの弟!弟にたかるより慣れた方法で稼ぐ方が気楽・・・
返さなくていいから、変な稼ぎ方すんな!
えー、私の事、共生結晶みたいに綺麗だっていったじゃない。買いたい奴だって・・
そーいう意味じゃねぇ!
もー、照れちゃってぇ。人生の三分の一も愛のないエッチの腕で生きている姉さんにまかせなさいって
こんなぶっ飛んだ姉を持った覚えはない!そこのあんた、微笑んでいる場合か、母親名乗るなら、説教のひとつもかませよ
若いっていいわねぇ。
ちがう!
目指せ333人切りっ
何だよその半端な数はっ
あー、昔はお年頃の子にはめくるめく千人切りを薦めてたんだけどぉ、ほら、私いまや、三分の二はチャドでしょ?チャドってば真面目なの。だから千人が三分の一になっちゃって
単に3で割っただけか!おまけにぜんぜん減った気がしねぇぞ!
・・・
ごちゃごちゃ、わちゃわちゃ
隣の部屋とは思えない程、はっきり聞こえる3人の声。
チャドと混ざったフロラインと、ミケと、ルカだ。
彼らの名前は、ちゃんとわかるのに、自分が誰かだけが良くわからない。
ついでに言えば、名前はわかる彼らが、自分にとってどんな人間なのかもえらく混乱している。
ミケは、散歩の途中に、何の謎々だとつっこみたくなる宣言をした後、治癒から逃げて、まるで俺をおびき寄せるかのように挑発的な視線を送りながら走り始めた。
魔素の気配から、迷宮回廊の支流があるのは分かった。
おまけにその支流の入り口になぜかルカが生えていて、ミケと一緒に逃げ始める。
ルカと一緒に逃げる彼女を追って空間の裂け目に飛び込むと、迷宮回廊の分岐だった。もともと魔素への耐性は強い方だし、ミケのかけて行った首飾りで、魔素は軽く俺を避けるようだ。
そこからかなり走って。次に出た場所は、荒んだひび割れまみれの大地に面した再生しかけの小さな森。
そして、冷や汗が出る程既視感を感じる槍が、無造作に地面に刺してあった。
継ぎ接がれた体がもう一度ばらばらになりたがっているような、耐えがたい違和感がパチドを苛む。
ミケはどこだ?
そう考える時だけ、体の違和感は消えるが、入れ替わりのように幼い声がパチドの頭を塗りつぶす。
『ミケ、こけた位で泣くな!もう、治したぞ。あー、わかった、おぶえばいいんだろ、おぶえば!』
『シェドが、わるいーー。ミケを好きだって言ってくれないからわるいー!』
『なんでそうなる!わかった、スキダスキダスキダ。もういいか?』
『うー』
俺と、ミケの、声?
いや、俺じゃなくてシェド、か?
「ミ、ケ」
現実の体から、やっとの思いで声を出せたと思った瞬間、
ぱっこーん
自分の後頭部から出たとは思えない、底抜けに間抜けな音がして、目の前が、真っ白になり。
そして、今。えらく狭いベッドに横たわり、薄い壁越しに三人の会話をきいている。
横になっているというのに、息がひどく荒かった。二重人格でも発症したかと思うほど浮かんでくるシェドの記憶に翻弄されて、額を嫌な汗がながれる。
がちゃ
薄く開けられた扉の隙間にミケの顔。
パチドの目が開いているのに気づくと、扉を大きく開けてジャンピング土下座をかましてきた。
「強引に連れてきて、ごめんなさぁい!こちらのチャド・フロラインさんは、貴方の体に一部使われているシェドのお母様です。怒ってもいいので、体の一部に免じてお金貸してくださぁい」
「こら、ミケ!借金嫌いなんじゃねーのかよ!」
と、ルカの茶々が入る。
「ミケちゃんたら、そんなことしなくていいわよぉ。息子に直接たかることにするっ」
そういいながら、チャド・フロラインは、片手にスリッパをもって迫ってくる。
どうやらさっき、俺の後頭部で間抜けな音を立てたのは、このスリッパらしい。はたかれて昏睡するような武器には見えないから、意識を失ったのは、やはり内面の問題、というかシェドの欠片に引っ張られたせいだと思われる。
「息子?」
このやたらと豪華な金の髪と不遜な態度は、どう見てもフロラインで、チャドには見えない、と、浮かんだ段階で、どこから来た記憶だよとげんなりする。
「そおよぉ。なに、魅力的アップの母に驚いた?フロラインは年で最近の流行りについて行けないのが悩みでぇ、チャドは代謝が落ちたのが悩みだったから、一緒になっちゃったの」
「・・・チャドは、槍にさされたはずだ」
「あぁ、使わなくなった分は、槍の下に埋めたから、お墓つくりたかったら作ってもいいわよ」
ぽたぽたぽた。
しずくの落ちてくる先を見ると、俺の額の汗を拭いていたミケが、ギャン泣きがおで、涙を流している。
「チャド、さんの、お墓?」
それを見た、チャド・フロラインが、スリッパを放り出して大慌てを始めた。
「な、泣かないで、ミケちゃん。落ち着いて、あんなの、ザリガニの抜け殻みたいなものでっ。中身は無事にほらここにっ。も、フロラインが森の養分にしようぜとか言って、お墓にしないから怒ってるのよぉっ」
「怒ってません、怒ってません、だって、チャドさん、私のせいで・・・」
「どっこもミケちゃんのせいじゃありません!まったくこの子は。地面裂いたのも、森を根こそいだのも、槍ぶん投げてきたのも、脛がじゃもじゃで鼻毛まで飛び出した不細工さんでした!こんな可愛いミケちゃんとは全然ちがうでしょお?」
そういって、ミケを抱きしめる姿は、あきらかにチャドで。
パチドの中のシェドが、自分の母親と、精霊フロラインは、本当に混ざったのだと理解する。
「ちょっと、シェド、ミケちゃんが泣いてるのよ、なに落ち着いてるのよ、甲斐性なしね」
「ひっく、こ、この方は、確かにシェドも入ってますけど、全部じゃなくて・・・」
「何言ってんの、全部です!せいぜい縫い合わせるのに獣の毛使ったぐらい。チャドがシェドを取りこぼすはずないでしょ?お腹にいるより3倍もの長い時間抱いて温めたのよ?」
「「ぜんぶ?!」」
瞬間でしゃくり上げが止まったミケと、めまいまで加わった俺が、同時に叫ぶ。
「ええ。ムーガルの魔術師グリーンの腕がイマイチで心配だったけど。もぉ、2年以上も寝ずにシェドを温めていたから、眠くて眠くて。やむなく、そいつで手を打ったの。術は全部見ていたわ。使ったのは全部と言ったら全部よ」
「で、でも、シェドはとても華奢で・・」
「んー、ミケちゃん襲っちゃいそうで自衛したのかしら?べつに、継ぎはいで大きくなったわけじゃなくて、成長期が遅かっただけよ」
全部、シェド?では、いきなり湧き上がる、理解できない情動も継ぎはいだせいではないのだろうか。
「じゃぁ、俺は・・」
「だからシェドだってば。奥歯が惜しかったら、ちょっとお母様にお金みついでちょうだい。ハート型のロロ芋を覚えている?あれで生まれた子どもが、無事に5才を超えたの。お祝いにお呼ばれしたのに、眠り過ぎていたせいで今ウチにお金がないの!」
何と言うか、まったく緊急性を感じない理由で、はした金のカンパを要求されたようだ。ハート型のロロ芋を覚えている自分に、表現し難い疲れを感じるが、見方を変えればその子は精霊のいとし子だ。ちょっと精霊があれだけれどもめでたいことで。
ポケットから金貨を出して渡す。
「まぁ、ありがとう・・・っていきなり金貨?!故郷に錦を飾られてしまったわ。おつりは返すわね」
「釣りなどいらないから、もうすこし、眠らせてもらってもいいか」
「あたりまえでしょう?ゆっくりしていきなさい。ああ、少しだけ、熱があるのね。あとで、冷たいジュースをもってくるわ」
そういって、チャド・フロラインが俺の額に手を当てる。
彼女の手から、慣れ親しんだとしか表現のしようがない、とても涼やかで冷たい魔素がながれて、めまいと体の違和感が消えていく。
そして、デコレーションケーキ。クリームが袋の先から押し出されるように、記憶が絞り出されてくる。
俺は、パチドだ。パーツの出どころが少なかったと知ったところで、何もかわらない。
ただただ、シェドの記憶が、薄められた感情と共に、塗りたくられていくだけだ。
それでも今眠れば。きっと、チャドとミケの夢を、見てしまうだろう。
やめんか!金ならとってくる!
やだ。弟に借金とかかっこ悪ーい。
前々から不思議だったんだが、その弟って単語どっから来た?!
だって魂にフィールがはいっているのでしょ?道理で弟って呼びたくなると思った!フロラインの弟はみんなの弟!弟にたかるより慣れた方法で稼ぐ方が気楽・・・
返さなくていいから、変な稼ぎ方すんな!
えー、私の事、共生結晶みたいに綺麗だっていったじゃない。買いたい奴だって・・
そーいう意味じゃねぇ!
もー、照れちゃってぇ。人生の三分の一も愛のないエッチの腕で生きている姉さんにまかせなさいって
こんなぶっ飛んだ姉を持った覚えはない!そこのあんた、微笑んでいる場合か、母親名乗るなら、説教のひとつもかませよ
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ちがう!
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あー、昔はお年頃の子にはめくるめく千人切りを薦めてたんだけどぉ、ほら、私いまや、三分の二はチャドでしょ?チャドってば真面目なの。だから千人が三分の一になっちゃって
単に3で割っただけか!おまけにぜんぜん減った気がしねぇぞ!
・・・
ごちゃごちゃ、わちゃわちゃ
隣の部屋とは思えない程、はっきり聞こえる3人の声。
チャドと混ざったフロラインと、ミケと、ルカだ。
彼らの名前は、ちゃんとわかるのに、自分が誰かだけが良くわからない。
ついでに言えば、名前はわかる彼らが、自分にとってどんな人間なのかもえらく混乱している。
ミケは、散歩の途中に、何の謎々だとつっこみたくなる宣言をした後、治癒から逃げて、まるで俺をおびき寄せるかのように挑発的な視線を送りながら走り始めた。
魔素の気配から、迷宮回廊の支流があるのは分かった。
おまけにその支流の入り口になぜかルカが生えていて、ミケと一緒に逃げ始める。
ルカと一緒に逃げる彼女を追って空間の裂け目に飛び込むと、迷宮回廊の分岐だった。もともと魔素への耐性は強い方だし、ミケのかけて行った首飾りで、魔素は軽く俺を避けるようだ。
そこからかなり走って。次に出た場所は、荒んだひび割れまみれの大地に面した再生しかけの小さな森。
そして、冷や汗が出る程既視感を感じる槍が、無造作に地面に刺してあった。
継ぎ接がれた体がもう一度ばらばらになりたがっているような、耐えがたい違和感がパチドを苛む。
ミケはどこだ?
そう考える時だけ、体の違和感は消えるが、入れ替わりのように幼い声がパチドの頭を塗りつぶす。
『ミケ、こけた位で泣くな!もう、治したぞ。あー、わかった、おぶえばいいんだろ、おぶえば!』
『シェドが、わるいーー。ミケを好きだって言ってくれないからわるいー!』
『なんでそうなる!わかった、スキダスキダスキダ。もういいか?』
『うー』
俺と、ミケの、声?
いや、俺じゃなくてシェド、か?
「ミ、ケ」
現実の体から、やっとの思いで声を出せたと思った瞬間、
ぱっこーん
自分の後頭部から出たとは思えない、底抜けに間抜けな音がして、目の前が、真っ白になり。
そして、今。えらく狭いベッドに横たわり、薄い壁越しに三人の会話をきいている。
横になっているというのに、息がひどく荒かった。二重人格でも発症したかと思うほど浮かんでくるシェドの記憶に翻弄されて、額を嫌な汗がながれる。
がちゃ
薄く開けられた扉の隙間にミケの顔。
パチドの目が開いているのに気づくと、扉を大きく開けてジャンピング土下座をかましてきた。
「強引に連れてきて、ごめんなさぁい!こちらのチャド・フロラインさんは、貴方の体に一部使われているシェドのお母様です。怒ってもいいので、体の一部に免じてお金貸してくださぁい」
「こら、ミケ!借金嫌いなんじゃねーのかよ!」
と、ルカの茶々が入る。
「ミケちゃんたら、そんなことしなくていいわよぉ。息子に直接たかることにするっ」
そういいながら、チャド・フロラインは、片手にスリッパをもって迫ってくる。
どうやらさっき、俺の後頭部で間抜けな音を立てたのは、このスリッパらしい。はたかれて昏睡するような武器には見えないから、意識を失ったのは、やはり内面の問題、というかシェドの欠片に引っ張られたせいだと思われる。
「息子?」
このやたらと豪華な金の髪と不遜な態度は、どう見てもフロラインで、チャドには見えない、と、浮かんだ段階で、どこから来た記憶だよとげんなりする。
「そおよぉ。なに、魅力的アップの母に驚いた?フロラインは年で最近の流行りについて行けないのが悩みでぇ、チャドは代謝が落ちたのが悩みだったから、一緒になっちゃったの」
「・・・チャドは、槍にさされたはずだ」
「あぁ、使わなくなった分は、槍の下に埋めたから、お墓つくりたかったら作ってもいいわよ」
ぽたぽたぽた。
しずくの落ちてくる先を見ると、俺の額の汗を拭いていたミケが、ギャン泣きがおで、涙を流している。
「チャド、さんの、お墓?」
それを見た、チャド・フロラインが、スリッパを放り出して大慌てを始めた。
「な、泣かないで、ミケちゃん。落ち着いて、あんなの、ザリガニの抜け殻みたいなものでっ。中身は無事にほらここにっ。も、フロラインが森の養分にしようぜとか言って、お墓にしないから怒ってるのよぉっ」
「怒ってません、怒ってません、だって、チャドさん、私のせいで・・・」
「どっこもミケちゃんのせいじゃありません!まったくこの子は。地面裂いたのも、森を根こそいだのも、槍ぶん投げてきたのも、脛がじゃもじゃで鼻毛まで飛び出した不細工さんでした!こんな可愛いミケちゃんとは全然ちがうでしょお?」
そういって、ミケを抱きしめる姿は、あきらかにチャドで。
パチドの中のシェドが、自分の母親と、精霊フロラインは、本当に混ざったのだと理解する。
「ちょっと、シェド、ミケちゃんが泣いてるのよ、なに落ち着いてるのよ、甲斐性なしね」
「ひっく、こ、この方は、確かにシェドも入ってますけど、全部じゃなくて・・・」
「何言ってんの、全部です!せいぜい縫い合わせるのに獣の毛使ったぐらい。チャドがシェドを取りこぼすはずないでしょ?お腹にいるより3倍もの長い時間抱いて温めたのよ?」
「「ぜんぶ?!」」
瞬間でしゃくり上げが止まったミケと、めまいまで加わった俺が、同時に叫ぶ。
「ええ。ムーガルの魔術師グリーンの腕がイマイチで心配だったけど。もぉ、2年以上も寝ずにシェドを温めていたから、眠くて眠くて。やむなく、そいつで手を打ったの。術は全部見ていたわ。使ったのは全部と言ったら全部よ」
「で、でも、シェドはとても華奢で・・」
「んー、ミケちゃん襲っちゃいそうで自衛したのかしら?べつに、継ぎはいで大きくなったわけじゃなくて、成長期が遅かっただけよ」
全部、シェド?では、いきなり湧き上がる、理解できない情動も継ぎはいだせいではないのだろうか。
「じゃぁ、俺は・・」
「だからシェドだってば。奥歯が惜しかったら、ちょっとお母様にお金みついでちょうだい。ハート型のロロ芋を覚えている?あれで生まれた子どもが、無事に5才を超えたの。お祝いにお呼ばれしたのに、眠り過ぎていたせいで今ウチにお金がないの!」
何と言うか、まったく緊急性を感じない理由で、はした金のカンパを要求されたようだ。ハート型のロロ芋を覚えている自分に、表現し難い疲れを感じるが、見方を変えればその子は精霊のいとし子だ。ちょっと精霊があれだけれどもめでたいことで。
ポケットから金貨を出して渡す。
「まぁ、ありがとう・・・っていきなり金貨?!故郷に錦を飾られてしまったわ。おつりは返すわね」
「釣りなどいらないから、もうすこし、眠らせてもらってもいいか」
「あたりまえでしょう?ゆっくりしていきなさい。ああ、少しだけ、熱があるのね。あとで、冷たいジュースをもってくるわ」
そういって、チャド・フロラインが俺の額に手を当てる。
彼女の手から、慣れ親しんだとしか表現のしようがない、とても涼やかで冷たい魔素がながれて、めまいと体の違和感が消えていく。
そして、デコレーションケーキ。クリームが袋の先から押し出されるように、記憶が絞り出されてくる。
俺は、パチドだ。パーツの出どころが少なかったと知ったところで、何もかわらない。
ただただ、シェドの記憶が、薄められた感情と共に、塗りたくられていくだけだ。
それでも今眠れば。きっと、チャドとミケの夢を、見てしまうだろう。
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