ひどくされても好きでした

白い靴下の猫

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42. ※『そいつ』

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仕置きが効いているようで、ミケはおんおんと声を上げて泣き始めた。

それでも、パチドにはミケが自分の仕置きだけで泣いているのではないと、自分に向いた目が自分を通して『そいつ』をみていると、わかってしまう。

年齢に似合わぬ熟れた体を持て余して、子どものように泣きじゃくる様は、ミケの裏切りで傷ついたプライドを慰めるのには充分だったが、彼女が、自分を通して『シェド』とやらを求めるのを許してやる気にもならなかった。

ミケが、『そいつ』の優しさを求めるさまは、まるで渇き死に寸前の迷子が砂漠で水を求めているかのようだ。
蜃気楼に縋り、壊れて捨てられた空の水筒に縋り、一滴ずつしかあたえられない朝露を待って身をよじる。

頬を撫で、唇を食んだだけで、乱暴でない愛撫ひとつで、ミケの目は『そいつ』を向く。
俺を見て、俺に求めてくれるなら、優しくしてやれるのに。
ひどくしたときしか、ミケの目は俺を見ない。

泣き顔が見たくなって、ベッドの木枠に繋いだ革紐の端だけをほどいて、肘をついていた上半身を起こしてやる。

ミケは、手首の位置や腰の位置を動かさないようにそろりそろりと動く。
3本のスリングゴムが体を這って彼女の自由を奪っているからだ。

ミケは、グロテスクな形に革紐が巻き付けられた筒を股間に喰い込ませ、乳首を噛みバサミに責められて泣いていた。

股間の筒から出たスリングゴムの一端は、腰に巻かれた鎖の内側をとおり、折り返し手綱のようにベッドの木枠にひっかけられたあと、一つに括られた両手首に繋がっている。
もう一端は、緩まないように引き絞られて腰の鎖に留められている。
手首を引けば股間の筒は、もっと厳しく食い込むだろう。

両乳首に噛みバサミで付けられた2本のゴムも、交差してねじれながら、筒の上を押さえるように足の間を通って背中側にまわり、こちらは首に垂れた鎖の後ろに留められている。

仕置きにしてもひどいことをしている自覚はあるが、彼女が泣いているのは、痛みのためだけではない。
『そいつ』に触れられたくて、泣いている。

ミケが求める度に抱きしめるようにして愛撫する。
首筋も、下腹も、へその周りも、尻の丸みも。ミケの周りをゆっくり回りながら、痛みを与えないように気を付けながら、飽きることなく繰り返す。

膝立ちになって必死に俺の唇を求めるミケに
「俺は誰だ?」
ときくと、我に返ったように体を引いてしまい、続いて襲う乳首の痛みに悶える。

何度もキスをしながら、ゆっくりと姿勢を変えさせて、痛みにも泣かせた。
だが、「あっ、あっ」という、短めのあえぎ声が混ざっていく。

「仕置きが、気持ち良いのか?」

言葉で嬲ってやると、すぐに表情が変わるのが楽しい。

「ちが、い、ます」

「もっと、きついのが欲しいか?監禁所では、この筒に縄を通して、吊りあげられただろう?」

「いや、死んじゃう・・」

「嘘をつけ。お前は、足先もろくにつけない程引き上げられて、鞭で尻を打たれながら、革紐の瘤で割目を甚振られたがると、聞きたくもないのに役人たちが教えていくぞ?このまま笞打ってやろうか?」

そう言いながら股間の筒を揺すると、ゴムを忘れたように首をそらせ、自分で乳首を痛めつけて、
「きぃーっ」
と悲鳴を上げる。

「自分で、乳首の噛みバサミをはずしてみろ。そうしたら笞は勘弁してやる」

ミケは、しばらく許しを乞うだけで動かなかったが、俺が脅しに笞を手にすると、悲壮な表情で腰を揺らし始めた。

「ひうーっ。んくぅ、あああ!」

少々動いたくらいではゴムが伸びるだけで、そう簡単には外れない。
首をそらせて、激しく腰を振って初めて、少しだけ噛みバサミがずれる程度だ。

「ああーっ、痛い、痛いよぅ、はずれないよぉ、ぅうう」

「仕方がないな、おまけしてやる」

そう伝えて、ひっくひっくと泣き続けるミケの頭を撫でた後、首の鎖に留めていたゴムを、少し短めにして、腰の鎖に留めかえてやる。自分の股間を虐めながらにはなるが、手首を引けば、乳首にも強めの張力をかけられるはずだ。

そして、叩く気もないのに、笞でなんども風切り音を出す。

「やめてぇ、やりますから、叩かないで」

そういって、ミケは胸を揺らしながら、煽情的なダンスでも踊るように腰をくねらせはじめた。
腕をひき、筒にごりごりと責められては、絶叫する。

汗だくになって腰を振るうちに、噛みバサミはズレていくけれど、はずれそうなスレスレではずれず、乳首の先の先を痛めつける。

「だめぇ、ああ、はずれないの、んん、たすけてぇ、も、痛くて動けないよ・・」

5分以上も自分で股間と乳首を虐め続けたろうか、ミケは辛そうにすすり泣きながら動きを止めてしまう。

多分、もう何度か腕を強く引けばはずれるだろうに、噛みバサミがはじけ飛ぶとき激痛への恐怖と、花芯をすり潰す妖しい痛みへの恐怖で、最後の引き金を引けないでいるのだろう。

「どこが痛いんだ?」
と聞くと、
「胸の先・・・」
と答える。
「もう少しだろ?ちゃんと取れたら、痛く無くなるまで優しく舐めてやるから、がんばれ?」

そういいながら、ミケの前に回り、キスしてやりながら筒を前後に滑らせる。
筒にまかれたごつごつとした革紐の結び目が、ミケの入り口でぴちゃぴちゃと音を立てて、そこが激しく濡れていることを知らせた。

「ん、うく、うごかさないでぇ」
泣きながらも、ミケの腰はうごきはじめる。

「そら、応援だ」
そういって、筒をごりっと押し付けると、

「いやーーーっ」
っと叫んで首を大きくそらし、右の乳首から嚙みバサミが飛んだ。

「んぎーーーっ、いだい、いだい、いだいーーーっ」

痛みにはねる体を抑えられず、腕を何度も引き寄せ、体を震わせて、のたうったので、続けて左の乳首からも嚙みバサミが飛ぶ。

「ん゛ん゛―――っ。ああっ、あああああ!」
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