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33. ※叩かれながらの魔素供給

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なんの冗談だ、これは。

送りつけられてきたミケは、汚れ、あちこちの傷から血をにじませ、数日前よりやつれてはいたが、まぁ、捕虜として手荒く扱われればこの程度は憔悴するだろうなという想定の範囲内だった。・・・本体は。

だが、まともな服を一片も身に着けていない。
後手に括っている革紐が常識的にみえる程。

普通隠すだろうという胸だの尻だのには、スリングショット用の強いゴム紐が何重にも巻き付けられて、レンツの使っていたような羽根やら笞もどきから、用途の推定は容易であるもののどうしてそういう形になったとツッコミたくなるような張り型やら、すでに謎々としか思えない物体まで、わちゃわちゃとはさんである。

しかもスリングゴムの先は、くくり罠に使うような小さなバネを使った噛みバサミで、挟んでいるのは、乳房やら脇腹やらの素肌という念の入りよう。
おそらく、本人がひどく暴れれば、噛んでいる挟み部分がはずれて全裸になるだろう。

何をやっているのだ、あいつらは。
見ただけでまともな尋問が行われた可能性が皆無だとわかるぞ。

専門的な嗜好を売り大金を積んで享楽にふけらせる闇娼館ならともかく、政敵が跋扈する公的管理の監禁場所でこのありさまか。
魔素の精神作用が規格外なのか、アイツらがお粗末なのか。

上層部にも性嗜好やら倫理観やらが壊れ気味な人間も皆無ではない。が、基本的には表面は取り繕える奴らの集まりだったはずだ。

下賜されると決まった女を、怪しげな遊びに興じている真っ最中に取り上げられました、悔しいです、と主張しているとしか思えない奇天烈な格好にして送り付けてくるなぞ、たった数日でどう壊れた?

ここまでくるともう、そのまま使用人に何とかしろというのもためらわれる。
とりあえず、噛みバサミと革紐をはずしてやり、スリングゴムだの羽根だのをベッドの下にけり込み、ミケにシーツをかぶせる所まで自分でやってから、風呂で洗って来いと使用人に命じた。

普通の捕虜だと思われるかと期待したが無駄だったようだ。
必要な時には娼館に出向いていたから、フェルニアの仮住まいの屋敷だけでなく、ムーガルの屋敷でもその手の女を呼びつけたことはないというのに。使用人たちはせっせと『夜の準備』をはじめる。

ミケを髪先まで丁寧に洗った挙句、香油まで塗りこめて、わざわざパチドのベッドに縛り付けて行ったのだから相当だ。
完全にその手の用途だとおもわれている。

まぁ、むりもないか。ミケには、首筋から、胸から、内股に至るまで。誰がつけたのか、変色した所有印が散っているのだし。
そして、下腹部に何本も残る鞭の跡。こちらは普通に拷問目的か。やれやれ、手ひどくやられたものだ。

ミケの意識ははっきりしているらしい。
右腕の拘束を解いてやると半身を起こして上掛けを引き寄せるし、水をグラスに入れて口元に持っていくと、片手を添えてごくごくと飲み干した。

「たいしたものだな」

たった一人敵中で、終わりの見えない暴虐にさらされて。
入れかわり立ちかわりやってきた男はかなりの数に上っただろう。

レンツの拷問を生ぬるすぎて茶番だと評して乗り込んでいったものもいれば、制圧した市街地で強姦から死姦からやらかして営倉入りになっていた者までいる。
ひどい嬲られ方をしたはずだ。

それがまぁ、壊れもせず明瞭な意識を保ち、使用人が性的な処理に使うと思い込むほどに艶めいているのだから底知れない。

さて、どう扱うべきか。
見かけ通りの無力な女というセンがないことはパチドの中では確定しているが、どこまでが彼女の作為で、危険性はどれ程だ?

とにもかくにも魔素の検分からかな。
拘束の残っているミケの左手に、自分の掌を当ててみる。
さぁ、魔素を流せ。

通常であれば、魔素はより魔力量の多い方へ自然に流れる。
だが、魔素は流れ落ちる寸前のところでせき止められ、しかも、質やら量やら探られたくないのか、パチドからの魔力の侵入も拒み、鉄壁の守りだ。
魔力で揺さぶってみるが守りは壊れず、ミケの唇がかみしめられて歪む。

なるほど、こんなこともできるわけか。流すも止めるも自由自在というわけだ。

そうなると、レンツに甚振られたときの魔素もわざとだな。
花が甘い香りで虫を操るように、群がる男たちを操ったと思うと、数日前のいら立ちがふつふつとよみがえってくる。

気が付くと、剥き出しの乳房をひねりつぶし、くぐもったうめき声を上げさせていた。

「男どもを好きにあしらってご満悦か?」

「谷を魔素で埋めたのもお前だな?」

「ルカも逃がした。地下の迷宮から谷に抜けさせたのだろう?」

質問が重なるたびにパチドの手に力が込められていき、ミケは顔をゆがめて苦しんだ。
尋問というよりも八つ当たりだ。

もう一度、手のひらをかぶせ、今度は言葉で命じる。

「魔素を流せ」
「・・いや・・」

パン
かるく頬を張られただけで、ミケはベッドにあおむけに落ちた。

「拒める立場か。嫌なら犯す。体の中まで突っ込めば嫌でも流れるからな」

怯えた表情で、必死にもがいてパチドから遠ざかろうとするミケが横向きになり、尻が見えた。男どもに散々打ち叩かれたのだろう、ひどい色だ。

平静のパチドであれば気の毒がったかもしれないが、今は圧倒的に苛立ちが勝った。
うつ伏せに押しつぶして左手で体重をかけ、尻をさらさせる。
縛られたままの左手が体に巻き込まれて肩を痛めそうだ。尋問に心理的な圧迫は必須だが、ひどい怪我をさせる気はないので、左手も拘束も解いてやった。

ところどころ出血のあとがある尻の丸みを、剣だこのあるごつごつした手でこするようになぜると、痛みがぶり返すのか、ミケの呼吸が震える。

「あいつらに、叩かせるように仕向けたのか?」

「ちが、う」

ぱぁん
「いーっ!」

「どう違う?お前はあいつらを操れた」

ぱぁん
ぱぁん

「ううっ、痛い、です、叩かないで・・」

「よく言う。3人組が、尻を叩くとよく濡れるのだと、吹きまわっていたぞ」

パァーン
ビチッ

「ちがいますっ、いやっ、ああっ」

声に心なしか甘えた色合いが入っている気がして、いら立ちのままに、ビシビシと強く打ち叩くと、許しを乞いながら涙を流し始めた。

叩いていた手を股の間から前にまわすと、なるほど、つるつるとよく滑る。

尻を上げさせ、そのまま縦の裂けめに沿って、指先から手首までを使って何度も前後に滑らせていると、ミケは顔をベッドに押し付けたまま、上半身まで震わせはじめた。

「ふぅ、あん、うーん」

特に技巧を凝らしているわけでもない、前後にこすりたてるだけの動きで、明らかに腕の滑りが良くなっていく。

「ずいぶんと甘えた声を出す。あいつらの言う通りだな。こういうのが好みか」

「や、は、ちが・・」

ぱぁん
ビシャッ

「いあぁツ、ひいっ」

ミケが違うと否定するたびに、尻を叩きのめし、さんざん悲鳴を絞り出させた後は、また腕を滑らせるゆるゆるとした前後運動に戻って、パチドは何度もそれを繰り返した。

泣き声を上げながらも、ミケの愛液は滴る程になっていき、やがて力が入らなくなったミケの尻が持ち上がらなくなる。

「お待ちかねだな」
と声をかけながら、パチドは後ろから自分の楔をあてがって体重を乗せていく。

ぐぐぐ。
体の中におおきな質量がめり込んできて、何がお待ちかねなのかを遅まきながら理解したミケは、必死の形相で前にいざろうとした。

言葉より雄弁な否定に、パチドの腕がしなり、したたかに尻を打ちのめす。

「うぐーっ、きひーっ」

貫かれながら打ち叩かれる辛さに、ミケは体の中まで痙攣させて身をよじる。

隘路が狭まって、貫きにくくなったのまでもを、否定ととらえたパチドに、何度も何度も腕を振るわれ、パチドのモノが根元まで埋まった時には、ミケはボロボロだった。

悲鳴を上げ過ぎてかすれた喉から絞り出される嗚咽が止まらず、だらだらと涙を流すのみで、抵抗どころか姿勢を変えることすらできなくなったミケの後ろから、つめたい声がかかる。

「自分から魔素を流さないなら吸い取るまでだ。はじめるぞ?覚悟はいいか?」

答えることもできないミケを、胎内から猛烈な突き上げが襲った。
がくがくと体が揺れて、はらわたから食い散らかされる草食獣のように振り回される。

意識が飛びそうになると、魔素が流れ込みそうになり、ミケは必死でその流れを抑えたが、どうやらパチドにはそれがわかるようだ。

生意気だなとばかりに、右脇腹と左の脇の下から左右の手を差し込んで、ミケの上半身を持ち上げベッドから浮かせてしまう。

自重にも責められるようになったミケの中を擦りたて、強引な快感をなすりつける。

「おおお、んうぅ、ああああ」

既に叫び声が弱々しくなったミケを、挑発でもするように、乱暴にゆすり上げながら、両手を前後にずらし、右手が花芯を、左手が乳首をかすめる。

「ここを、甚振られるのが、のぞみか?」

これまでほとんど触れられていなくとも、乳首も花芯も、笞で打たれた時のように真っ赤にしこってとがっているのがわかる。

「おねがい、やめて、どうか・・・」

かすれた哀願が聞き取りにくくて、パチドは突き上げを緩やかにした。

「何人もの男にココを思うさま嬲らせて、喜んでいたか?」

花芯の周りでさわさわと柔らかく指をそよがせ、乳首とその周りをカリカリと軽く爪でひっかく。

ミケは首を横にふるけれど、『ちがう』と言うたびに打ち叩かれた記憶が邪魔をして言葉で答えられない。ただ、ひう、ひうと喉がなる。

「そうか、酷くされたいか」

「ちがっ、ぎいーーーーーっ」

思わず『ちがう』と口をついた瞬間、待ち構えていたように、パチドの人差し指と親指がきつく閉じた。もちろん、花芯と乳首を挟んで。

「ああっ、ああああ!」

そしてそのまま、頭の中が火花でいっぱいになって白目をむきかけるミケを気遣う風もなく、ガンガンと突き上げを再開したのだ。

花芯と左乳首で縫い留められたミケは、倒れることもできないまま、体の中と外から、火箸でも押し付けられたかのよう痛みを受けなければならなかった。

しかも、ミケの意識が朦朧としてくると、パチドは情け容赦なく人差し指と親指をこすり合わせるようにずらすのだ。
花芯も乳首も、捻られ、くじられ、すり潰される。

「ぃいっ、痛い、痛いよぉ、助けてシェド、シェドぉっ」

それを続けられると、頭の中が真っ白にはじけたようになって、とうとうミケは意識を手放した。

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