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7. 白旗
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「大将!大将!!」
急激な覚醒に、カラダがひきつけでも起こしたかのように勝手に動く。
部下が、ふたり、自分を覗き込んでいる。
「っつ、どうなった?」
「パチドは、市街戦を避けてくれていて、あと半日もかからず王城に来ます。魔素は、迷宮回廊を埋め尽くして、ドアを跳ね飛ばして広がっています。王都は地震です。でも、魔素の拡散方向は、もっぱら水平方向で、王城には上がってきません」
「想定外は色々だが、魔素は谷を埋めた。白旗は?」
「アドリスたち近衛に阻止され、ふ、ふたりは・・死亡しました。すみません。これから僕が行きます」
目をつむる。
アドリス、か。
両足が折れたミケを捕らえてティムマインに差し出した男だ。魔剣にそっぽを向かれた王の忠臣。剣は強いが自分で考える男ではない。おおかた会議に詰めかけた貴族どもの意向でも忖度したのだろう。
「いや、俺が行く。お前らは、この主砲の破片に白い布巻いて、パチドかグリーンの司令部に投げ込んで逃げろ。もし、タイキたちに会えたら、王都から離れろと伝えてくれ。パチドは市街戦を避けたのだろう?これ以上ライヒを足止めする必要はない」
「む、無理です、大将。肋骨やられて、多分、内臓も、やられています。どこから出ているかわからないぐらい、血まみれです」
「おまえな、萎えるような実況解説すんじゃねーよ。いいからいけ。死んだ2人の遺品でも土産話でも新生フェルニアの家族に届けてやれ。命令だ。あと、すまんが、その白旗、血が付きそうだから袋に入れてから行ってくれ。散開!!」
「大しょ・・」
「散開!ってんだろ!俺の通信具がイカれた。ぐずぐずしているとタイキが切れて要らん死人がでるぞ。GO!」
1人が、袋に入れた白い布をルカに渡し、もう1人が溶けかけた主砲の破片を抱えて、ふたりは頭を抱えるようにして走り出した。大将が命令といったら、命令なのだ。逆らえるのはタイキ副将ただひとりなのだ。
GOは、ルカが自分にもかけた声だった。
腰にまだ剣が刺さっているのを確認する。よく振り落とされなかったものだ。
ミケのおかげか。
多分あれは、幻聴ではなかった。まったく、面倒見のいい女神だ。
壁に手をついて立ち上がってみる。大丈夫だ。剣を杖にすれば歩ける。
魔剣にそっぽ向かれるような奴でも、一応、ミケにひどいことをした奴には入るかな。
泣かすって約束したし、ちょうどいい。
天守までの石段を上り続ければ、かってに泣かしたい奴らが止めに来る。
一歩が重い上に、歩くと血の足跡がつく。げんなり。
それでも歩く。
魔素酔いが続いているのだろうか。一歩進むごとに、ミケ、と声がでそうになる。
登る、登る、登る。
やがて、上から、血の付いた安物の剣を持った、アドリスが降りて来る。
近衛がアドリスを挟んで左右に2人。
「ルカ。この裏切り者が!」
この男は、こんなに迫力がなかったろうか。歩くだけで息の上がった体で、のんきにそんなことを思う。
子どもの頃に見た時には、巨躯に魔剣を携え、王のそばで眼光鋭く周囲を威圧していたのに。今はなんか、ぺらぺらの紙みたいだ。
「はん、裏切られ者が。王に裏切られ、魔剣に裏切られ、俺らに裏切られ、近衛も随分減っているな。それだけ裏切られて、思うところもないのか?無能」
「貴様っ!よくもっ」
左右の近衛に目をやることもなく、真っ先にルカに飛び掛かってくる。
ギンッ
ルカは、頭上に掲げた腰の剣で、アドリスの攻撃を受ける。
剣が、かるい。
ミケの魔素に濡れているからだろうか。
そして、アドリスの太刀筋もペラペラの紙のようだ。
狭い螺旋階段で、3人が一緒にかかってくることはできない。
折れた肋骨が利き手側でなければ、あっという間に片づけられたのに。
キンッ
カン、ガキッ
押されると、呼吸が止まる。
アドリスの剣を跳ね上げてすれ違いざまに自分の体ごと後ろに流した剣を押し付けた。
俺の二の腕も少々裂けるが、アドリスの方は腹だ。
奴が内臓をぶちまけてくれるなら、腕一本惜しくはなかったが、残念ながらそこまで深くは入らなかった。
「ぐえっ」
それでも、なかなかに痛そうな声を上げ、腹に真一文字に傷がついたアドリスが、俺をにらみつける。
俺が、近衛とアドリスの間に出てしまったので、近衛のひとりが、参戦し、俺の方に剣を突き出してくる。
シャリーン
剣の刃をこするようにして、向きを変えてやると、あっさりアドリスにつっこんでいく。
キンッ
アドリスが、体勢を崩している近衛の剣を思い切り弾いた。
ぐらり
もともと体勢を崩している上に、アドリスに剣を向けたようで慌てている近衛の剣を思い切り弾いたらどうなるか。
子どもが階段で遊んではいけません、の典型パターンだ。
めちゃくちゃ危ない。
すかさず、ルカはぐらぐらの近衛に体当たりをかまし、そいつを螺旋階段の中心側に向かって跳ね飛ばした。
ぎゃぁぁぁ
2mほど下の石段に叩きつけられ、近衛は足を変な方向に向けて動かなくなった。
それを見ていた近衛のもうひとりは、アドリスに非難がましい目を向ける。
そりゃそうだろう、どうみても今のはアドリスと俺の共同作業だ。
「ああ、こうやって周りが裏切りたくなるヘマばかり踏んでいたんだな、アドリス」
「黙れ黙れ、お前に何がわかるっ!!」
アドリスの攻撃は、怒りと共に、単調になっていった。
ただ、何度も、奴の体幹ごとをぶった切れる隙が見えるのに、自分の体が動かない。
1撃必殺は諦めて、ひたすら、奴の力のあまった部分に、自分の剣の根元を当てては引く。
表皮しか切れないが、出血の派手さからか、残りの近衛がそわそわし始め、
「え、援軍を呼んできます!」
といって、身をひるがえした。
「な?職務すら裏切れないやつでも、お前のことは簡単に裏切れる」
口の端を上げて、アドリスを見る。
ティムマインが王である必要性がないのに、なぜ護衛がお前でなければならない理由がある?信じるに足る根っこが、お前たちには、はじめから何もないのだと。
あざけった冷笑が奴の防御を砕きますように。
「死ねーーーーっ!」
アドリスの、とった行動は、上段から飛び降りながらの渾身の袈裟懸け切りで、それは、ルカを殺すことしか考えていない怒りの発露だった。
一回、一回もてばいい。
ルカは、両足を踏ん張って、剣の柄を胸で抑え、上段から降ってくるアドリスの心臓に切っ先を向けて、思い切り踏み込んだ。
ザシュ
自分の肩の肉が切れた音がするが、その剣の先に、アドリスの手はついておらず、アドリスの剣は階段を転がり落ちて行った。
一方、ルカの剣の先にはアドリスの胸が突き刺さっていた。アドリスの両手はだらりと下がり、真ん中に剣を刺した胴体が、ずるずると滑ってルカによって来る。柄を支えたルカの胸に激痛が走り、口から出る血の量が増えたが、その時にはアドリスは痛みを感じることのできない死体と化していた。
血液に邪魔されて、うまく呼吸ができない。ぜいぜいと耳障りな音を立てるひどい息遣いで、これは長くもたんなと思いながらも、アドリスの体から剣を抜いて、奴の髪を切る。
流石にこの衰弱具合で首は持てない。
一歩、一歩、うんざりするほど長い階段を上って、吹きっさらしの天守の監視部屋に出る。風が強い。
下を見ると、城の周りには、すっかりパチドの陣が完成していた。
ひどく重くて、ジージーとおかしな耳鳴りがする体を引きずりながら、監視部屋の真ん中の柱に、白旗を括り付け、短刀でアドリスの髪を刺しとめる。
風に広げられた白旗が、気分よさそうにはためいた。
タイキ、見えるか?
もう、ここにお前の仕事はない。真面目に逃げろよ。
そして、自分の血の跡を見ながら、ルカはゆっくりと倒れた。
いずれ、あの逃げた近衛が、援軍とやらを呼んでくるのだろう。いや、軍はもう瓦解しているから、貴族どもかな。
もう少し元気なら、あんなぼんくらども何十人でも蹴散らしてやるのに。
今日は、少しだけ、調子が悪い。
急激な覚醒に、カラダがひきつけでも起こしたかのように勝手に動く。
部下が、ふたり、自分を覗き込んでいる。
「っつ、どうなった?」
「パチドは、市街戦を避けてくれていて、あと半日もかからず王城に来ます。魔素は、迷宮回廊を埋め尽くして、ドアを跳ね飛ばして広がっています。王都は地震です。でも、魔素の拡散方向は、もっぱら水平方向で、王城には上がってきません」
「想定外は色々だが、魔素は谷を埋めた。白旗は?」
「アドリスたち近衛に阻止され、ふ、ふたりは・・死亡しました。すみません。これから僕が行きます」
目をつむる。
アドリス、か。
両足が折れたミケを捕らえてティムマインに差し出した男だ。魔剣にそっぽを向かれた王の忠臣。剣は強いが自分で考える男ではない。おおかた会議に詰めかけた貴族どもの意向でも忖度したのだろう。
「いや、俺が行く。お前らは、この主砲の破片に白い布巻いて、パチドかグリーンの司令部に投げ込んで逃げろ。もし、タイキたちに会えたら、王都から離れろと伝えてくれ。パチドは市街戦を避けたのだろう?これ以上ライヒを足止めする必要はない」
「む、無理です、大将。肋骨やられて、多分、内臓も、やられています。どこから出ているかわからないぐらい、血まみれです」
「おまえな、萎えるような実況解説すんじゃねーよ。いいからいけ。死んだ2人の遺品でも土産話でも新生フェルニアの家族に届けてやれ。命令だ。あと、すまんが、その白旗、血が付きそうだから袋に入れてから行ってくれ。散開!!」
「大しょ・・」
「散開!ってんだろ!俺の通信具がイカれた。ぐずぐずしているとタイキが切れて要らん死人がでるぞ。GO!」
1人が、袋に入れた白い布をルカに渡し、もう1人が溶けかけた主砲の破片を抱えて、ふたりは頭を抱えるようにして走り出した。大将が命令といったら、命令なのだ。逆らえるのはタイキ副将ただひとりなのだ。
GOは、ルカが自分にもかけた声だった。
腰にまだ剣が刺さっているのを確認する。よく振り落とされなかったものだ。
ミケのおかげか。
多分あれは、幻聴ではなかった。まったく、面倒見のいい女神だ。
壁に手をついて立ち上がってみる。大丈夫だ。剣を杖にすれば歩ける。
魔剣にそっぽ向かれるような奴でも、一応、ミケにひどいことをした奴には入るかな。
泣かすって約束したし、ちょうどいい。
天守までの石段を上り続ければ、かってに泣かしたい奴らが止めに来る。
一歩が重い上に、歩くと血の足跡がつく。げんなり。
それでも歩く。
魔素酔いが続いているのだろうか。一歩進むごとに、ミケ、と声がでそうになる。
登る、登る、登る。
やがて、上から、血の付いた安物の剣を持った、アドリスが降りて来る。
近衛がアドリスを挟んで左右に2人。
「ルカ。この裏切り者が!」
この男は、こんなに迫力がなかったろうか。歩くだけで息の上がった体で、のんきにそんなことを思う。
子どもの頃に見た時には、巨躯に魔剣を携え、王のそばで眼光鋭く周囲を威圧していたのに。今はなんか、ぺらぺらの紙みたいだ。
「はん、裏切られ者が。王に裏切られ、魔剣に裏切られ、俺らに裏切られ、近衛も随分減っているな。それだけ裏切られて、思うところもないのか?無能」
「貴様っ!よくもっ」
左右の近衛に目をやることもなく、真っ先にルカに飛び掛かってくる。
ギンッ
ルカは、頭上に掲げた腰の剣で、アドリスの攻撃を受ける。
剣が、かるい。
ミケの魔素に濡れているからだろうか。
そして、アドリスの太刀筋もペラペラの紙のようだ。
狭い螺旋階段で、3人が一緒にかかってくることはできない。
折れた肋骨が利き手側でなければ、あっという間に片づけられたのに。
キンッ
カン、ガキッ
押されると、呼吸が止まる。
アドリスの剣を跳ね上げてすれ違いざまに自分の体ごと後ろに流した剣を押し付けた。
俺の二の腕も少々裂けるが、アドリスの方は腹だ。
奴が内臓をぶちまけてくれるなら、腕一本惜しくはなかったが、残念ながらそこまで深くは入らなかった。
「ぐえっ」
それでも、なかなかに痛そうな声を上げ、腹に真一文字に傷がついたアドリスが、俺をにらみつける。
俺が、近衛とアドリスの間に出てしまったので、近衛のひとりが、参戦し、俺の方に剣を突き出してくる。
シャリーン
剣の刃をこするようにして、向きを変えてやると、あっさりアドリスにつっこんでいく。
キンッ
アドリスが、体勢を崩している近衛の剣を思い切り弾いた。
ぐらり
もともと体勢を崩している上に、アドリスに剣を向けたようで慌てている近衛の剣を思い切り弾いたらどうなるか。
子どもが階段で遊んではいけません、の典型パターンだ。
めちゃくちゃ危ない。
すかさず、ルカはぐらぐらの近衛に体当たりをかまし、そいつを螺旋階段の中心側に向かって跳ね飛ばした。
ぎゃぁぁぁ
2mほど下の石段に叩きつけられ、近衛は足を変な方向に向けて動かなくなった。
それを見ていた近衛のもうひとりは、アドリスに非難がましい目を向ける。
そりゃそうだろう、どうみても今のはアドリスと俺の共同作業だ。
「ああ、こうやって周りが裏切りたくなるヘマばかり踏んでいたんだな、アドリス」
「黙れ黙れ、お前に何がわかるっ!!」
アドリスの攻撃は、怒りと共に、単調になっていった。
ただ、何度も、奴の体幹ごとをぶった切れる隙が見えるのに、自分の体が動かない。
1撃必殺は諦めて、ひたすら、奴の力のあまった部分に、自分の剣の根元を当てては引く。
表皮しか切れないが、出血の派手さからか、残りの近衛がそわそわし始め、
「え、援軍を呼んできます!」
といって、身をひるがえした。
「な?職務すら裏切れないやつでも、お前のことは簡単に裏切れる」
口の端を上げて、アドリスを見る。
ティムマインが王である必要性がないのに、なぜ護衛がお前でなければならない理由がある?信じるに足る根っこが、お前たちには、はじめから何もないのだと。
あざけった冷笑が奴の防御を砕きますように。
「死ねーーーーっ!」
アドリスの、とった行動は、上段から飛び降りながらの渾身の袈裟懸け切りで、それは、ルカを殺すことしか考えていない怒りの発露だった。
一回、一回もてばいい。
ルカは、両足を踏ん張って、剣の柄を胸で抑え、上段から降ってくるアドリスの心臓に切っ先を向けて、思い切り踏み込んだ。
ザシュ
自分の肩の肉が切れた音がするが、その剣の先に、アドリスの手はついておらず、アドリスの剣は階段を転がり落ちて行った。
一方、ルカの剣の先にはアドリスの胸が突き刺さっていた。アドリスの両手はだらりと下がり、真ん中に剣を刺した胴体が、ずるずると滑ってルカによって来る。柄を支えたルカの胸に激痛が走り、口から出る血の量が増えたが、その時にはアドリスは痛みを感じることのできない死体と化していた。
血液に邪魔されて、うまく呼吸ができない。ぜいぜいと耳障りな音を立てるひどい息遣いで、これは長くもたんなと思いながらも、アドリスの体から剣を抜いて、奴の髪を切る。
流石にこの衰弱具合で首は持てない。
一歩、一歩、うんざりするほど長い階段を上って、吹きっさらしの天守の監視部屋に出る。風が強い。
下を見ると、城の周りには、すっかりパチドの陣が完成していた。
ひどく重くて、ジージーとおかしな耳鳴りがする体を引きずりながら、監視部屋の真ん中の柱に、白旗を括り付け、短刀でアドリスの髪を刺しとめる。
風に広げられた白旗が、気分よさそうにはためいた。
タイキ、見えるか?
もう、ここにお前の仕事はない。真面目に逃げろよ。
そして、自分の血の跡を見ながら、ルカはゆっくりと倒れた。
いずれ、あの逃げた近衛が、援軍とやらを呼んでくるのだろう。いや、軍はもう瓦解しているから、貴族どもかな。
もう少し元気なら、あんなぼんくらども何十人でも蹴散らしてやるのに。
今日は、少しだけ、調子が悪い。
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