偏食王子は食用奴隷を師匠にしました

白い靴下の猫

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87☆合作

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そんな何日かが続いて。
サフラの状態が、キルヤ様と左手の合作だってことを確認する。
しかも、キルヤ様の目的は、サフラの治療ではなく、あくまでも私の治療だ。

真っ先に疑うべきだろうに、思考力が薄まった私は、私が寝たと思って交わされる二人の会話を聞くまで気づかなかった。

「キルヤ様のヘボーーっ!!巻き戻っただけでぜんぜんエッチまで進まない!」

「んなこといったって、サフラの心理的抵抗がすごいんだよ。今日の施術なんて誘導どころか洗脳の域もこえてるのに、お前がユオの弱みまでばらすから・・」

「だってじれったいんだもん!」

「これでだめならあきらめろよ?」

って、サフラを私用にプロドラッグ化しようとしてたわけ?
私と並んで、サフラが寝てるのがすでに変なのだけれど、いつからか、キルヤ様は、ユオの施術はすぐ済むから待ってろっていうようになり、待っているサフラはしょっちゅう寝ていた。

微笑ましい寝顔だな、とか思っていた自分のアタマの緩さがうらめしい。

「な・ん・の・はなしかしら~?」

目を開けてすごんでみると、左手はぱたりとだまって、キルヤ様が眉間をもんだ。

ってことは、主犯は左手のほうか。

サフラが傷ついていることについては、私も心苦しかったから、キルヤ様が本気で名医魂を発揮してくれるならそれでもよかったのだけれど。

どうやら私に触れるハードルを下げることに誘導を全振りしただけで、サフラの傷を癒す処置は一切してくれていないのではないかと推測されます。

何してくれちゃってるのかしら、うちの左手ときたら!

締め上げて丸ごと聞き出してやろうと思ったところで、隣で寝ていたサフラが身じろいで、私は反射的に口を閉じた。ついでにあわててサフラの目が開く前にソファに戻って、何もありませんでした、のフリ。

うわ、なんだったこんなに後ろ暗い人の行動とるかな、私。
これじゃぁ、共犯では?

強引な誘導のせいか、目覚めたサフラは垂直レベルにご機嫌斜めだった。

無言で家まで手を引かれて、部屋に入るなりのしかかられたから、どう考えても合作のせいだ。

どうしよう?どうするよ?

ここしばらく、サフラが遠巻きだったから。
キルヤ様の遮断薬が手放せなくなるほどの触覚過敏とか、左手がやらかした夢誘導経由の泣き顔執とか。そちら系への警戒をすっかり怠っていて。

しかも、共犯行動とっちゃった流れで、サフラに『正気じゃないかもよ?』と注意喚起する機会も失いまくったし。

だから、まぁ、予想道理というかなんというか。
結果的だけいうなら、地獄絵図。

それにしても、わりとひどいと思う。

・・・もう、時間の感覚さえなくなる程長い間、サフラと繋がっている気がする。

ここまでになると、キルヤ様の誘導のせいだけじゃないかもなー。
まずいとこ見られたとか、左手がよけいな事ばらしたとかかなー。
と、考える程度には頭が働いてくる。

まずいところ。心当たりは、ある。
私が、生命力を捨てているところ。

たまに、あるのだ。自分の体というか臓器が、私の意志に反乱する、みたいな感じの時。そんな時は、生命力というか、気力のもとを捨てると、息苦しさが和らぐ。

なるべく控えようとは思っているけど。死ぬほどの量じゃないのだけれど。
そんな言い訳を重ねながら、何度も捨ててしまう。

他人がびっくりするだろうし、サフラがみたら、とかはあまり考えたくない。
弱み中の弱み。

なのに、まさか左手が自分からばらして。
それどころか、キルヤ様と一緒になって、サフラに一線超えさせる原動力にしようともくろんでたなんて!
ほんと、もう、最低!!
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