偏食王子は食用奴隷を師匠にしました

白い靴下の猫

文字の大きさ
上 下
86 / 93

86☆定位置抱っこ

しおりを挟む
キルヤ様の部屋から帰った後、左手はいやに元気で。
隙あらば、私の体をサフラの両手の間にねじこもうとする。

しかも、脳内ビデオ上映付き。エロゲと現実を適当に混ぜたコラ画系のやつ。全く何を企んでいるのだか。

一方のサフラも、明らかにおかしい。
最近、私に遠巻きだったのに、今日に限ってサフラの警戒感というか、言動がすごくゆるくなってる気がする。

キルヤ様が私に向けたの精神誘導の流れ弾かとも思ったけれど、あの人の実力考えると本命、ってか、目的があってサフラにかけたと考えるほうが自然。

今なら私も、サフラのメンタルが危険水域だったことには同意するし、キルヤ様がサフラの治療してくれる気なら協力もするけれど。できれば予告とかしておいてほしかったかも。

抱きしめたままの恰好で、サフラが、ものすごく慎重に背中に触れてくる。

デジャブ。
・・・って、ちょっとまった、これってくすぐったくてたまらないやつでは?

おまけに、そのショートフェザーはなに?しまったんじゃなかったの?
まさか、それで触ろうっていうんじゃないでしょうね、泣くわよ?!

「ぜったい、ひどくしたり、しませんから」

うわ、弟子よ、素直に育ちすぎたわね。誘導にかかってるとか、全然疑わないわけ?!

「その、わりには、逃げられない格好な気が?!」

一応軽く逃げてはみるけれど、最近サフラがお豆腐メンタルだったせいで、邪険に振り払うとかはできる気がしない。

「だって、もし、痛くて暴れたら、木枠の角とかあたっちゃうかもしれないから」

弟子よ、ものすごく会話がかみあってないわよ?!
なんでもしてあげると決めていても、反射までは止まらない。くすぐったければすくみ上るし、ボケられればつっこんじゃう。

「痛くない現在の場合、暴れるとしたらくすぐったいからでは?!」

「危ないのは、同じです」

いやいやいや? 

上着をずらされた間抜けな格好で、片手にショートフェザーもったサフラに抱きしめられて動けないとか、あり得ないのですが?

つ、つつー

「ふぃ!」

背中の真ん中に、フェザーが通って、私はあわてて、サフラのシャツにしがみついた。

そのまま、フェザーは腰骨の少し上でとまって、背中のくぼみとの間をふぁさふぁさする。

「ちょ、く、くすぐったい!」

「くすぐったいだけ?痛かったり苦しかったり、しない?」

充分息が苦しいわよ!
そう思ったけれど、手術かよ!と突っ込みたくなるくらい、精密に動かすから、暴れるのもはばかられた。

ひたすらにサフラの胸に顔をうずめ、頬を擦り付け、力の限りしがみついて我慢する。

「痛いところとか、隠してない?ひどい病気とか、後遺症とか、なにも?普通に、一緒に、暮らせる?」

「だから、そう、言ってるじゃない」

涙目で訴えると、サフラは腕を緩めて、何度も何度も私にキスをする。
口にも、瞼にも、眦にもキスをする。

「ユオ、よかった、です」

はいはい。甘えんぼめ。こんなもんで癒えるなら好きにしていいけどさ。

そう思ったところで、ぱくん。と耳が食むられた。

びくん

うわ。油断した!
またしても、サフラにしがみつくコアラ抱っこの格好に戻り、サフラに体をこすりつるようにして、ぞわぞわを逃がす。

「な、も、なにすんのよっ!!」

キルヤ様が誘導かけたなら、絶対目的があるはずで、私の役割もあるはずなのだけれど、くすぐったくて頭が回らない。

我ながら万全には程遠いな。考えなきゃって、思っても、全然集中量が続かなくて、流されっぱなしとか。

どうにでもなれ、って、こんなに簡単に思うタイプじゃなかったんだけど、ね。

・・・

からだがビクンビクンする頻度が高くなって、息が苦しくなって、頭の中は、あと一分だって耐えられないよと泣き言まみれだ。

ビビッドカラーの刺激は、ほんとうになれることが出来なくて。
もう、だらしなくて情けない声が、上がりっぱなし。
こんな、神経まる出しみたいな体で、世の中の女性は良く体のお付き合いができると思う。

私がくてんくてんになると。

サフラは私の上着をどけて、とても大切そうに触れ始めた。
どけたのは上着だけで、シャツもスカートもそのままで、裸になった訳でもないのに、やたらと恥ずかしいのは何故だろう。

指から耳から首筋から。
ちゅうっと吸い上げられて陰圧がかかるたびに、「嫌、だったら、言ってください」って不安そうな声で何度も念を押すものだから。
のたうち回りそうになる体を、師匠の面目でかろうじて抑える。

あと一分だけ我慢すれば、解放されると、自分をだまして、ぎゅっと目をつぶると、両方の胸を、シャツ越しにすごくゆっくりなぞられた。

妖しすぎるぞくぞくに、ひゅ、と喉が鳴って。あわてて右手でまくらを抱えあげて悲鳴を吸い込ませる。

「だい、じょぶ、ですか? 」

気のせいでなければ、サフラの声は少し上ずって、呼吸も、はやい。

それを聞いて、お年頃の男の子なのだから、とりあえず普通のエッチに持ち込んで、さっさと出させたほうがいい?!とか、話が単純化される私の頭は、確かにあの左手の本体だと思う。

気合いを入れて、こくんこくんとうなずくと、サフラはすごく若返った顔で笑った。

「ん、んんん」

枕からはみだす声だけでも、充分恥ずかしいのに。

「耳、も、いいですか?」

って、いわれて。

かぷ。

冗談でしょう?
口の攻撃は、指だけで終わりではないの?

耳の後ろの鋭敏なところに舌があたったまま、耳のふちを食まれて、錯乱する。
なんの我慢も効かなくなって、ぎゅいーんと、背中が反り返り、サフラに手をつっぱるようにして体を離そうとしたけれど、サフラはわたしの腰に腕を回して逃がさない。

それどころか、反り返った背中に、ファーの手袋を何度も往復させて、私が姿勢を戻して彼に縋りつくまで続けたのだ。

「ちょ、とっ、きゃああーっ」

まくらを離してしまうと、声は抑えようもなくて。しかたなく、サフラにしがみついて声を殺す。

「うう、んんぅ」

「可愛い声なのに。聞かせてくれないんですか?」

耳もとでそう囁いて、サフラがもう一度耳を食みなおす。
舌の奥を弱いところに押し当てるようにしたまま、舌先と唇で、耳のふちも、内側も軽く震わせられる。

「ダメ――ッ」

じたばた暴れるけれど、暴れている間中、ファーがそよぐから、溺れかけて岩にしがみつくように、サフラの胸板にしがみつく。そうしてやっと、ファーがとまる。

このクソガキー!
前世知識では、これって完全に前戯行為ですが?!こっちの世界では、服を脱がなきゃ、きわどい行為に入りませんか?!

何度も何度も、無意識が、サフラの胸でしか、お休みがもらえないと錯覚してしまうほどに、耳が食まれ、ファーで躾けられた。

おかげですっかり抱っこが定位置。
ばっきゃろー。普通にエッチしたほうが、ぜったい楽ですよ?!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

処理中です...