偏食王子は食用奴隷を師匠にしました

白い靴下の猫

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45※優しくない

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「んぅ、や・・」

怒っているサフラは、どうやら優しくないようだ。

引き寄せられて、口づけられて、脱がされて?
いや、客観的にはそうなのだろうが、なんかもう、艶ごとというより、滝に打たれてる感じで、サフラの一部が体の中に入り込んでくる。

別に寝ること自体はいいのよ?
すっきりさせて緊張度ダウン、は当初からの方針だったわけだし。

けどもう、イメージがスタンピード。
キスに法定制限速度はないかもしれないが、明らかに危険運転。歯があたるっ。

サフラがユオに怒っている場面なんて記憶を探してもなかなか出てこないから、ちょっと油断してた。

くすぐったい処も、痛いところも、過敏な所も、容赦なく暴き出して、蹂躙していくもので。頭はしびれて、手足は酸欠。

も、やめて、謝るってば・・
そう、懇願したのに、やめてくれないどころか、強引に身体が拓かれていくから。
防御本能が先行して、這いずって体が逃げようとする。

頭ではわかっているのだ、逃げようとすればするほど、サフラのご機嫌は斜めになる。

でも反射神経がいうことを聞かない。
もちろん、初体験者がメリメリ裂かれりゃ、足の間だってお腹の奥だって痛い。けど残念ながら、腕のほうが痛い。

さっきの襲撃者に肩をキめられたままねじった腕を踏みつけられたから、下手したら骨までいっちゃってる。

抱きしめられたり、つかまれたり、引っ張られたりするとめちゃくちゃ痛いもので。
純粋に痛覚からの反射だから、どうやったって逃避行動が先に立つ道理だ。

でも結局逃げきれず、サフラは、自分を架刑台にでもするように一方の腕で私をつるし上げたし、彼の空いた手が、神経直結の、我慢できるはずもないところで長時間そよいで、泣き叫ぶはめになった。

頭も、多分、顔も、ぐしゃぐしゃだ。
一切の抵抗ができなくなると、腕が緩んで、磔状態からは解放されたけれど、そのあとは、本体ユオが教科書的な性教育を怠ったのを毒つきたくなるような触られ方をした。

サフラの熱で体の芯から痺れたようなこの状態が嫌なわけではないけれど、できることならやさしくされたいなぁ、とか、思う。

情けなく崩れた私の腰骨をぎゅうぎゅう引き寄せながら、私の動きが鈍くなるたびに、サフラの指が動きを変える。
酷い顔をしているだろう、勝手に染み出した涎と涙が枕に吸い込まれて行く。
理性の飛んだ言葉を口ばしった気がする。壊れた私が、壊れたサフラに溶ける。

途中で息が止まってしまっても、サフラの気がすむまで、こうしていようと思った。そうしたら、反射神経も合意したみたいで。

痛くても、息が苦しくても、体が引きつらなくなった。
ゆすられても、暴かれても、ただただ、サフラに手を伸ばして、名前を呼んだ。

サフラ、サフラ、サフラ。

僕が好き?
はい。

逃げない?
はい。

だんだんサフラの声が優しくなっていく気がして、嬉しかったのに。

残念ながら、事故というのは、突然起こる。

体中にキスをしてくれていたサフラの唇が、たまたま、心臓の裏側を、吸った。
あの、ひどい痛みと信じられない喪失感を生む、あの小さな孔を、ピンポイントで。
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