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7☆はじめての添い寝
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「う・・く、ふ」
押し殺したうめき声に明かりをともす。
寝袋の、本来顔を出す部分にブランケットを詰め込んで、タニシのぬいぐるみ状態になったサフラが音源だ。
「サフラさん、サフラさん。窒息しますよ、出てきて呻こう?」
ブランケットをちょいちょいと引っ張りながら、声をかける。
びくりとぬいぐるみが動き、ブランケットが押し出され、続いて赤い顔をしたサフラの顔が出てくる。
「ご・・め。おこした、ね。大丈夫なんだけど、ちょっと、夢見が悪かったみたいで・・」
嘘をつけ嘘を。
夢というのは寝ている間に見るものでしょうが。どう見ても眠れてない顔です。
短刀で削いでしまった腕も痛むだろうし、牛サイズのタコに締め上げられて生きたまま食われかけたのはついさっきだ。フラッシュバックしないはずもない。
自分の体を確認する。細い手足と低身長。ひげもなければ、すね毛もない。ついでにいうなら胸もない。文句なく子ども型だ。
サフラにとって、引っ付いて寝るのはストレスだろうか?私の方が「弱った子ども」であればワンチャン?
「私が、怖い夢を見そうだから、一緒に寝てくれませんか、サフラさん」
私が両手を広げてみると、サフラはいそいそと寝袋を開いて平らなマットにして、両手を広げ返した。
「ユオも、怖かったよね。く、くる?じゃなくて、ぜひ、来てください」
積極的な許可を得て、サフラの頭部を抱いてみる。本当は肩が良いのだが、手の長さが足りないせいで、しがみついているみたいになってかっこ悪いから、頭で我慢。
サフラの震えはカチカチと歯が鳴る程で、そもそもからして、大丈夫だと言うなよと、思う。
この世界の常識を知らないので、気を紛らわせる会話、というのも難しそうだ。
酒でものませてみればリラックスするだろうか。隠れ家というより本拠地なので、大抵の戦果はそろえてある。
「サフラさん、お酒って飲んだことある?」
「お酒?・・は、見かけがちょっと、苦手」
・・・酒の見かけは、水やジュースと変わらないのでは?
年単位でここにいるわけではないから、手に入るのは、シュロみたいな木の枝を切って、樹液を溜めとくだけのインスタントものだけど。
甘くていい匂いだし、体があったまるし、リラックスするから、多分酒なのではないかと思う。
「目玉ぎょろぎょろしてない?」
あー、なるほど。マムシ酒みたいなのを想像したわけか。
「えーと、月の光をジュースにしたみたいで、綺麗だよ」
ぱぁぁ。サフラの顔が一気に明るくなっていく。
よし、ホットミルクがわりに、鎮痛効果のある薬草いれた酒をのませて寝かそう。
そのあとはもう。お酒でちょっと、はにゃ、っとなったサフラを抱っこして、なで倒して、ほめ倒して。
甘いものを口まで運んで食べさせて、寝袋は二人で入って暖か抱っこの添い寝して、数日分とはいえ未来の約束をして。朝。
サフラは、包帯をほどいた腕を私に見せた。つるんときれいに治った新生の皮膚。
「うわ。怪我って、寂しくないと、こんなに早く治るんだ」
「いやいや、普通に考えて早すぎでしょうが」
「ねぇ、ユオ。僕って治癒の力あったみたい」
・・・
あ、うん。その力って、かなりレアですよね。この山でレース中に怪我した貴族種が、あったらいいなとよく夢想していて、権力者にほっといてもらえないアレですよね。
ユオは頭を抱えたくなった。
そりゃもちろん、サフラの腕が回復したのは嬉しい。
だからと言って、味方を殺されつくした王族が、7歳児にあるまじき魔力量で大人認定されて、認定試験のフィールドに放り込まれ?その結果、治癒の力まで発現しました、とか非凡過ぎ。
しかも、私の感覚だと、この子まったく、偏食じゃありませんよ?
貴族種は、魔物とかの上位種をたべればたべる程、自分の能力が上がるんでしょう?
苦手食材どけて好みの味付けにしてあげれば、おなかはちきれるほど食べるわけで。成長速度半端ないと思いますよ?
治癒能力も発現前で、母親や乳母に死なれ、他の王族からは虐待モード。さらに食べ物的に成長抑制してなお、すでに出る杭は打たれる状態だってどんだけ?。
はふ。推し活に不足なし、ってとこか。
わかりましたとも。まずは、少しでもこのフィールドで粘って、おいしいものをたくさん食べさせるところからね!
ユオの決意が伝わったのか、解き放たれたサフラの食欲が勝っただけか。
それからの二人は、点数を考えるのが面倒になるほど、華麗に狩りをして、食べて、笑って、コンビネーションの練習をして。
気が付けば、サフラは格付け試験を軽々とクリアしていた。
それも、歴代でもぶっちぎりの1番という成績のおまけつきで。
押し殺したうめき声に明かりをともす。
寝袋の、本来顔を出す部分にブランケットを詰め込んで、タニシのぬいぐるみ状態になったサフラが音源だ。
「サフラさん、サフラさん。窒息しますよ、出てきて呻こう?」
ブランケットをちょいちょいと引っ張りながら、声をかける。
びくりとぬいぐるみが動き、ブランケットが押し出され、続いて赤い顔をしたサフラの顔が出てくる。
「ご・・め。おこした、ね。大丈夫なんだけど、ちょっと、夢見が悪かったみたいで・・」
嘘をつけ嘘を。
夢というのは寝ている間に見るものでしょうが。どう見ても眠れてない顔です。
短刀で削いでしまった腕も痛むだろうし、牛サイズのタコに締め上げられて生きたまま食われかけたのはついさっきだ。フラッシュバックしないはずもない。
自分の体を確認する。細い手足と低身長。ひげもなければ、すね毛もない。ついでにいうなら胸もない。文句なく子ども型だ。
サフラにとって、引っ付いて寝るのはストレスだろうか?私の方が「弱った子ども」であればワンチャン?
「私が、怖い夢を見そうだから、一緒に寝てくれませんか、サフラさん」
私が両手を広げてみると、サフラはいそいそと寝袋を開いて平らなマットにして、両手を広げ返した。
「ユオも、怖かったよね。く、くる?じゃなくて、ぜひ、来てください」
積極的な許可を得て、サフラの頭部を抱いてみる。本当は肩が良いのだが、手の長さが足りないせいで、しがみついているみたいになってかっこ悪いから、頭で我慢。
サフラの震えはカチカチと歯が鳴る程で、そもそもからして、大丈夫だと言うなよと、思う。
この世界の常識を知らないので、気を紛らわせる会話、というのも難しそうだ。
酒でものませてみればリラックスするだろうか。隠れ家というより本拠地なので、大抵の戦果はそろえてある。
「サフラさん、お酒って飲んだことある?」
「お酒?・・は、見かけがちょっと、苦手」
・・・酒の見かけは、水やジュースと変わらないのでは?
年単位でここにいるわけではないから、手に入るのは、シュロみたいな木の枝を切って、樹液を溜めとくだけのインスタントものだけど。
甘くていい匂いだし、体があったまるし、リラックスするから、多分酒なのではないかと思う。
「目玉ぎょろぎょろしてない?」
あー、なるほど。マムシ酒みたいなのを想像したわけか。
「えーと、月の光をジュースにしたみたいで、綺麗だよ」
ぱぁぁ。サフラの顔が一気に明るくなっていく。
よし、ホットミルクがわりに、鎮痛効果のある薬草いれた酒をのませて寝かそう。
そのあとはもう。お酒でちょっと、はにゃ、っとなったサフラを抱っこして、なで倒して、ほめ倒して。
甘いものを口まで運んで食べさせて、寝袋は二人で入って暖か抱っこの添い寝して、数日分とはいえ未来の約束をして。朝。
サフラは、包帯をほどいた腕を私に見せた。つるんときれいに治った新生の皮膚。
「うわ。怪我って、寂しくないと、こんなに早く治るんだ」
「いやいや、普通に考えて早すぎでしょうが」
「ねぇ、ユオ。僕って治癒の力あったみたい」
・・・
あ、うん。その力って、かなりレアですよね。この山でレース中に怪我した貴族種が、あったらいいなとよく夢想していて、権力者にほっといてもらえないアレですよね。
ユオは頭を抱えたくなった。
そりゃもちろん、サフラの腕が回復したのは嬉しい。
だからと言って、味方を殺されつくした王族が、7歳児にあるまじき魔力量で大人認定されて、認定試験のフィールドに放り込まれ?その結果、治癒の力まで発現しました、とか非凡過ぎ。
しかも、私の感覚だと、この子まったく、偏食じゃありませんよ?
貴族種は、魔物とかの上位種をたべればたべる程、自分の能力が上がるんでしょう?
苦手食材どけて好みの味付けにしてあげれば、おなかはちきれるほど食べるわけで。成長速度半端ないと思いますよ?
治癒能力も発現前で、母親や乳母に死なれ、他の王族からは虐待モード。さらに食べ物的に成長抑制してなお、すでに出る杭は打たれる状態だってどんだけ?。
はふ。推し活に不足なし、ってとこか。
わかりましたとも。まずは、少しでもこのフィールドで粘って、おいしいものをたくさん食べさせるところからね!
ユオの決意が伝わったのか、解き放たれたサフラの食欲が勝っただけか。
それからの二人は、点数を考えるのが面倒になるほど、華麗に狩りをして、食べて、笑って、コンビネーションの練習をして。
気が付けば、サフラは格付け試験を軽々とクリアしていた。
それも、歴代でもぶっちぎりの1番という成績のおまけつきで。
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