【完結】ルイーズの献身~世話焼き令嬢は婚約者に見切りをつけて完璧侍女を目指します!~

青依香伽

文字の大きさ
上 下
62 / 84
第5章 辺境の地へ

14 決戦前

しおりを挟む

「ああ、入ってくれ」

どうやらクロードがやってきたようだ。

「ブラン子爵令嬢、目覚めたばかりのところ申し訳ない」

「私のことは気にしないでください。それに、呼び方も名前で良いですよ」

「ありがとう。それではルイーズ嬢と呼ばせていただく。ルイーズ嬢、早速だが、ぬいぐるみについて一つ確認させてほしいんだが、良いだろうか」

「はい」

「ルイーズ嬢が倒れた後、ぬいぐるみに布を被せて倉庫に保管してあるんだが、ぬいぐるみから宝石だけを外して、木箱にしまいたいんだ。宝石がどこに付いていたのか教えてもらえるだろうか」

 倒れた時のことを思い出しているのだろう。考え込んだ様子のルイーズ。

「無理するな。今すぐ思い出さなくても良いんだ」

 リオンは、心配そうにルイーズを見ている。

「……いえ、大丈夫です。……あの時、どうしてもぬいぐるみが気になって、宝石が付いているか確認していたのですが、赤い宝石は見当たりませんでした。でも、ぬいぐるみの首元かしら……触ったときに、指先から何だか嫌なものがじわじわと這い上がってくるような感覚がありました。断定はできませんが、宝石はぬいぐるみの首に巻かれていたリボンに付いていたのかもしれません」

「リボンか……分かった。ルイーズ嬢、感謝する。それから、リオン。王都から公爵令息が来ている。すぐに執務室にきてくれ」

「キースが……? 分かった。すぐに向かう」

 リオンはルイーズとリアムに向き直ると、申し訳なさそうな顔で切り出した。

「すまない、少し出てくる。今日は部屋から出ずにゆっくりしていてほしい。リアム、後は頼んだぞ」

 リアムに頼んだ後も、離れがたいとばかりにその場から動かないリオン。見るに見かねたリアムが、リオンを急かした。

「大丈夫です、任せてください。リオンさんは、早く執務室に行ってください。公爵令息様が待っていますよ」

「……行ってくる」

 肩を落としながら部屋を退出するリオンを、リアムとルイーズが見送った。


 ♦


その頃の執務室では……

「待たせたな、キース。手紙を送って間もないのに、随分早かったな」

「あんな手紙が送られてきたら、来ないわけにはいかないだろう。一人だし、夜通しで馬をとばしてきたんだ。手紙を読んだアレックスも、辺境に行くと騒いだんだが、連れてくるわけにはいかないからな」

「側近のお前が、離れても大丈夫だったのか?」

「護衛も沢山つけてるし、アレックスは大丈夫だ。それに……今は王都より、辺境の方が危険だ。宝石も見つかったしな、まだ何が起こるかわからない」

「ああ、確かにな……宝石だが、ルイーズの話では赤い宝石は見当たらなかったそうだが、ぬいぐるみの首に付いているリボンから、嫌な感じがしたそうだ。
おそらくだが……、今回宝石を使ってリリーを狙った犯人は、一人しか考えられない……」

「隣国か? しかし、理由が分からない。何故、いちばん無害そうなリリーを狙ったんだ」

「レアの話では、『兄弟の中で一番母上に似ている』からだそうだ」

「なんだ、その理由は……もしかして、身内か?」

「…………自分が嫁いでくるはずだった、と言っていたそうだ」


「リオン、親父殿の遠征帰還のパーティーを開くそうだ。お前が帰省することを伝えてすぐに決まったようだぞ」

「ブライス、それは誰に聞いたんだ? 俺は何も聞いていない」

「ロバートが、ぎりぎりに伝えるように指示されていたらしい」

「ブライス……ロバートって、執事のロバートのことか? ここに到着したとき不在だったが、何故クレメント家に忠誠を誓っている者が、そんな奴の指示を聞くんだ」

「キース、ロバートは記憶が曖昧だそうだ。今、クロードとブライスに交代で話を聞いてもらっているんだが、話しが噛み合わないときが多いそうだ。半月前にリリーの乳母が休み始めてから、リリーを心配して何度も部屋に行っていたそうだ。多分、宝石の影響を受けたんだろう」

「…………許せないな」

「パーティーなんて出たくわないが、いい機会だ。そこで決着をつける」

「そうだな」

「ああ、協力するよ」







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。

るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」  色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。  ……ほんとに屑だわ。 結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。 彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。 彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹
恋愛
常々、社交を苦手としていましたが、今回ばかりは仕方なく出席しておりましたの。婚約者と一緒にね。 その席で、突然始まった婚約破棄という名の茶番劇。 頭がお花畑の方々の発言が続きます。 すると、なぜが、私の名前が…… もちろん、火の粉はその場で消しましたよ。 ついでに、独立宣言もしちゃいました。 主人公、めちゃくちゃ口悪いです。 成り立てホヤホヤのミネリア王女殿下の溺愛&奮闘記。ちょっとだけ、冒険譚もあります。

私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました

山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。 ※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。 コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。 ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。 トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。 クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。 シモン・ノアイユ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。 ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。 シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。 〈あらすじ〉  コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。  ジレジレ、すれ違いラブストーリー

【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。

美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯? 

【完結】ヒーローとヒロインの為に殺される脇役令嬢ですが、その運命変えさせて頂きます!

Rohdea
恋愛
──“私”がいなくなれば、あなたには幸せが待っている……でも、このまま大人しく殺されるのはごめんです!! 男爵令嬢のソフィアは、ある日、この世界がかつての自分が愛読していた小説の世界である事を思い出した。 そんな今の自分はなんと物語の序盤で殺されてしまう脇役令嬢! そして、そんな自分の“死”が物語の主人公であるヒーローとヒロインを結び付けるきっかけとなるらしい。 どうして私が見ず知らずのヒーローとヒロインの為に殺されなくてはならないの? ヒーローとヒロインには悪いけど……この運命、変えさせて頂きます! しかし、物語通りに話が進もうとしていて困ったソフィアは、 物語のヒーローにあるお願いをする為に会いにいく事にしたけれど…… 2022.4.7 予定より長くなったので短編から長編に変更しました!(スミマセン) 《追記》たくさんの感想コメントありがとうございます! とても嬉しくて、全部楽しく笑いながら読んでいます。 ですが、実は今週は仕事がとても忙しくて(休みが……)その為、現在全く返信が出来ず……本当にすみません。 よければ、もう少しこのフニフニ話にお付き合い下さい。

前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。

真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。 一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。 侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。 二度目の人生。 リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。 「次は、私がエスターを幸せにする」 自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。

婚約者様は大変お素敵でございます

ましろ
恋愛
私シェリーが婚約したのは16の頃。相手はまだ13歳のベンジャミン様。当時の彼は、声変わりすらしていない天使の様に美しく可愛らしい少年だった。 あれから2年。天使様は素敵な男性へと成長した。彼が18歳になり学園を卒業したら結婚する。 それまで、侯爵家で花嫁修業としてお父上であるカーティス様から仕事を学びながら、嫁ぐ日を指折り数えて待っていた── 設定はゆるゆるご都合主義です。

【完結】溺愛される意味が分かりません!?

もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢 ルルーシュア=メライーブス 王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。 学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。 趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。 有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。 正直、意味が分からない。 さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか? ☆カダール王国シリーズ 短編☆

処理中です...