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第3章 侍女科
7 合同授業(お茶会)①
しおりを挟むついに迎えた、淑女科3年生と侍女科2年生の合同授業(お茶会)当日。
この合同授業(お茶会)は、侍女科の技量向上を目的として催される。侍女科の主な参加者は、2年生だが、就労先が決まっていない3年生の参加も認められている。
淑女科の生徒たちは、お茶会の終了後に、侍女科の生徒に対して気付いたことや助言等を用紙に書く。教員は、淑女科の生徒から渡された用紙を基に、生徒に助言をする。
教員はもちろんその場にはいるが、生徒たちのやり取りを見聞きしても、口出しはしない。取っ組み合いの喧嘩などがあれば止めるだろうが、そのようなことが無ければ、静観するだけのようだ。
ある意味、生徒にとっては試験よりも緊張する時間なのではないだろうか。
お茶会は、淑女科の生徒たちが良く利用するサロンで行われるようだ。侍女科の生徒たちが、前日からお茶会の会場となるサロンで、テーブルや椅子を設置して、会場を作り上げたようだ。テーブルの上には、今朝摘んだばかりの薄紅色の花がきれいに飾られている。
今は、侍女科の生徒たちが、教員のマノン先生から段取りの説明を受けているようだ。何かしらの変更があったのか、ルイーズたちも真剣な表情だ。ルイーズの隣にいるエリーは、少しばかり表情が曇っているように見えるのだが。
話を聞き終えた生徒たちは、各自の持ち場へ戻り、の周囲の点検からテーブルセッティングを確認している。ルイーズとエリー、それからクレアとミアの四人は、同じグループのようで、協力し合い作業をしているようだ。
「ねえ、今の話だと……、私たちは高位貴族の方たちのテーブルに着くのよね。初めてのお茶会からそれはないわ~」
「グダグダ言ってないで、手を動かしなさい」
ミアが三人に話しかけるも、クレアからはお叱りを受けたようだ。とそのとき、エリーが四人に対して謝罪を口にした。
「皆、ごめんね。私たちが着くテーブルには、多分、私の姉がいるわ」
「エリーのお姉さん? それなら、そんなに緊張する必要ないかもしれないわね。身内がいれば、大目に見てくれそうよね。良かった~」
ミアの言葉に反応したクレアは、またミアを叱っているようだ。
「エマさんが? エリーを心配して来てくれるのかしら」
「何も聞いていないから分からないけど……」
ルイーズの言葉に答えるも、何やら浮かない顔をしているエリー。
その時マノン先生から、上級生が席に着くため、控室に移動をするように声が掛けられた。本来のお茶会通りに準備を終えた侍女科の生徒たちは、控室で待機して、必要な時に補助の役目をこなすのだろう。
控室で待機しているルイーズ達にも、上級生の移動する音が聞こえてきたようだ。
待機している侍女科の生徒の中にも、顔の強張っている者たちがちらほら見受けられる。否応なしにも緊張感が高まってきたようだ。それぐらい、このお茶会に期待している生徒も多いのだ。
これから、生涯にわたり仕える者との出会いがあるかもしれない。きっと、様々な感情が入り混じっているのだろう。
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