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第一話「猫の探し物」
「……わかったかも。猫の場所」
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「黒猫?いやあ……見てないよな?」
「うーんいなかったんじゃないかなあ。猫とか来てたらもっと騒ぎになると思います。“かわい~“って」
「え?猫?えーっ学校に来てたの!?触りたかったなあ」
「違うよ、探し猫って言ってるじゃん~」
「動物が校内に入ったら一大事になるからみんな知ってると思うけど……」
「はは、そうですよね……」
結果的に、聞き込み調査は全滅だった。過度に期待していたわけではないが、それでもやっぱりこうして収穫がないのは残念でならない。俺は軽く息を吐き、左腕の腕時計を確認した。17時ちょうど……全員で捜索ができるのは後30分か。
「そう簡単には見つからないね……。あ、光一くんから連絡だ」
「光一は何て?」
「近所の人に結構聞き込みしたみたいだけど、あんまり収穫はなかったみたい。1人だけタマらしき黒猫を見た人がいたけど……」
「……けど?」
携帯の画面を指でスライドしながら、望は珍しく難しい顔をしている。「うん……」と普段より少し低い声を出した後、俺の顔をパッと見上げて話し出した。
「なんだか妙なんだって。2回見たって言ってるみたいなんだけど、全然違う場所らしい」
「タマが移動したんじゃないのか?」
「それがそんな距離じゃないみたいだよ。ほら、これ見て」
望は携帯の画面を俺に見えるように傾ける。やや反射している画面を見えるように覗き込めば、そこにはよく見るアプリの地図が表示されていた。目撃者から聞いたタマの場所に印をつけたのか、地図には2箇所赤い丸で囲われた場所があった。
「……遠いな。山の中……か?」
「そう。それでもう一個の円は学校付近……雅也くんの家からはどっちも同じくらい離れている場所、つまり方向が真逆なんだよね。しかもそれなりに距離があるし、いくら猫でも短時間で移動できるとは思えない……」
「じゃあ、どっちかは違う猫だろうな。距離的には学校付近で目撃された猫の方をタマだと考えた方が辻褄が合うか……」
「そうだね。黒猫だし、遠くから見たら同じに見えるのかも。……でも学校付近かあ。それにしては全然目撃情報がないね」
おかしいなあと呟いて頭を掻いている望に、俺も思わず考え込んでしまう。今まで外の体育会系の部活や室内で行う美術部の生徒たちに聞き込みを行なったが、誰一人として有力な目撃情報は持っていなかった。それなのに学校付近にいる……?
俺が首を捻った時、望が「あ!」と何かに気づいたように声を上げた。
「……わかったかも。猫の場所」
「うーんいなかったんじゃないかなあ。猫とか来てたらもっと騒ぎになると思います。“かわい~“って」
「え?猫?えーっ学校に来てたの!?触りたかったなあ」
「違うよ、探し猫って言ってるじゃん~」
「動物が校内に入ったら一大事になるからみんな知ってると思うけど……」
「はは、そうですよね……」
結果的に、聞き込み調査は全滅だった。過度に期待していたわけではないが、それでもやっぱりこうして収穫がないのは残念でならない。俺は軽く息を吐き、左腕の腕時計を確認した。17時ちょうど……全員で捜索ができるのは後30分か。
「そう簡単には見つからないね……。あ、光一くんから連絡だ」
「光一は何て?」
「近所の人に結構聞き込みしたみたいだけど、あんまり収穫はなかったみたい。1人だけタマらしき黒猫を見た人がいたけど……」
「……けど?」
携帯の画面を指でスライドしながら、望は珍しく難しい顔をしている。「うん……」と普段より少し低い声を出した後、俺の顔をパッと見上げて話し出した。
「なんだか妙なんだって。2回見たって言ってるみたいなんだけど、全然違う場所らしい」
「タマが移動したんじゃないのか?」
「それがそんな距離じゃないみたいだよ。ほら、これ見て」
望は携帯の画面を俺に見えるように傾ける。やや反射している画面を見えるように覗き込めば、そこにはよく見るアプリの地図が表示されていた。目撃者から聞いたタマの場所に印をつけたのか、地図には2箇所赤い丸で囲われた場所があった。
「……遠いな。山の中……か?」
「そう。それでもう一個の円は学校付近……雅也くんの家からはどっちも同じくらい離れている場所、つまり方向が真逆なんだよね。しかもそれなりに距離があるし、いくら猫でも短時間で移動できるとは思えない……」
「じゃあ、どっちかは違う猫だろうな。距離的には学校付近で目撃された猫の方をタマだと考えた方が辻褄が合うか……」
「そうだね。黒猫だし、遠くから見たら同じに見えるのかも。……でも学校付近かあ。それにしては全然目撃情報がないね」
おかしいなあと呟いて頭を掻いている望に、俺も思わず考え込んでしまう。今まで外の体育会系の部活や室内で行う美術部の生徒たちに聞き込みを行なったが、誰一人として有力な目撃情報は持っていなかった。それなのに学校付近にいる……?
俺が首を捻った時、望が「あ!」と何かに気づいたように声を上げた。
「……わかったかも。猫の場所」
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