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完璧な王子として※
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爪先から髪の毛の一本一本まで、どこもかしこも完璧であるように振る舞う。
すれ違う醜く太った大臣に微笑みながら会釈をし、書類だらけの公務室で絶えず筆を動かした。路地で這いつくばる貧民に食事を賄い、手を振る見知らぬ国民に優雅な振る舞いで手を振り返す。この国で誰も彼もが美しい王子をこう称える。
「本当にトラン様は素晴らしいお方です。トラン様の政治を拝見できるのが今から楽しみですわ」
「光栄です。……しかし、いささか気が早すぎますよ。ウェルデ嬢」
「あら、これは失礼いたしました」
うやうやしくドレスの裾を摘み頭を下げる金髪の令嬢を、王子は手で制しながら微笑みを浮かべた。令嬢はその美しい表情にに頬を赤く染め、ただ見惚れている。「それでは僕はこれで」と王子は彼女の手の甲に口づけを一つ落とし、その場を立ち去る。人気のない廊下で輝かんばかりの美しい金髪をなびかせ立ち去る王子の背中を、令嬢はその姿が見えなくなるまで惚けた表情でただ見つめていた。
ぱちゅんぱちゅんと、肉と肉のぶつかる激しい音が薄暗く広い室内に響いている。
「……っ、はっ、はっ……」
キングサイズの広いベッドの上。筋肉のついたガッチリとした体格の男が王子を組み敷くように背後から押さえつけ、王子の臀部に腰を打ち付けるように振りたくっている。乾いた血のような深い赤の髪を刈り上げ、眉にかからないほどで短く切り揃えている男の顔は強面だが凛々しく整っている。身に纏っている軍服は黒地に金色の糸で所々に繊細な装飾が施されていて、見るからに位の高い人間だとわかるだろう。きっちりと服を身に纏っている彼はペニスのみを露出させ、王子のアナルに彼のペニスを無造作な動きで出し入れしている。ペニスを腸内に深く入れられる度に王子は「っう」と押し殺したようなくぐもった声を出すが、引き寄せた枕に顔を埋めることで男の耳にその声はほとんど届いていない。
一年ほど前から毎晩のように繰り返されているこの行為に、王子の体は随分慣れてしまっていた。最初は進入を拒んでいたアナルはすっかり柔らかくなり、今では男のペニスの形を覚えたかのようにヒダが収縮してペニスに絡み付いている。身勝手な男の己の快楽にしか忠実でない腰使いにも、開発された王子のアナルは快楽を拾い上げてしまう。
「んっ、っ、……ぁっ♡」
「……っ、出るっ」
男はそう宣言すると臀部へ打ち付ける腰の動きを激しくし、そして間もなく王子の中で精を放った。王子の柔らかな腸内で男のペニスは精液を全て出し切るかのように何度か震え、男はしばらく静止した後に王子の中から一気にペニスを引き抜く。「あっ」と思わず抑えられなかった声が王子の口から出ると、男は顔を顰めて上体を起こし、さっさと自身の衣服を整え始めた。
「声、耳障りだから出すなって言ってるだろうが」
「……ご、めんなさい」
「邪魔だからさっさと身支度を整えて出て行け」
男は大きく溜息を吐き、浴室へと繋がる扉へ姿を消した。王子は震える足をどうにか動かし、うつ伏せになっていた体を起こす。無意識にきゅうきゅうと収縮を繰り返すアナルから男の出した精液が溢れシーツの上へとこぼれ落ちそうになるのを、すんでのところで手で受け止めた。それ以上溢れてこないようにと、王子は自分の手でアナルを抑えるような格好を取りつつ、ベッドの周りに乱暴に脱がされ散らかされた衣服をかき集める。
「ん、……っ」
もし廊下で誰かとすれ違っても不自然だと思われないように、事後の着衣には気を遣っていた。ボタンを一つかけ間違えるだけでも、目敏い人間には何をしていたか勘繰られてしまう。王子は清廉潔白でなくてはいけない、そう教わってきたのだ。
(早く、自分の部屋に帰らなくちゃ……アーノルドが湯浴みを終えて戻ってくる前に……)
床の上で中途半端に衣服を纏った姿を見つけられでもしたら、男……アーノルドに激しく責め立てられることを王子は知っている。過去に何度かそれを咎められたことがあった。時にはアーノルドのペニスよりも二回りは大きい張型を慣らしもせずにアナルへ突っ込まれ、また時には立てなくなるほどの暴力を夜通し振るわれた。しかし王子のことを酷く傷つけた後のアーノルドは打って変わってその傷を優しく治療してくれるので、王子はそれが彼の愛なのだと認識していた。
「……よし」
王子はベッドの横の姿見で自分の全身をくまなく確認する。どこからどう見ても違和感のない王子の姿に納得した声を出し、なるべく音を立てないようにドアノブを捻ってそのまま部屋を出る。深夜の静かな宮殿の廊下に人の姿はなく、コツコツと王子の靴底が大理石を叩く音だけが規則的に響くだけだった。使用人たちも寝静まり、耳を澄ませば夜行性の鳥たちの静かな歌声が辛うじて聞こえてくるだけの、孤独な夜。金のように輝く月は夜明けへ向かって傾き始め、あと数時間もすれば見えなくなってしまうだろう。
すれ違う醜く太った大臣に微笑みながら会釈をし、書類だらけの公務室で絶えず筆を動かした。路地で這いつくばる貧民に食事を賄い、手を振る見知らぬ国民に優雅な振る舞いで手を振り返す。この国で誰も彼もが美しい王子をこう称える。
「本当にトラン様は素晴らしいお方です。トラン様の政治を拝見できるのが今から楽しみですわ」
「光栄です。……しかし、いささか気が早すぎますよ。ウェルデ嬢」
「あら、これは失礼いたしました」
うやうやしくドレスの裾を摘み頭を下げる金髪の令嬢を、王子は手で制しながら微笑みを浮かべた。令嬢はその美しい表情にに頬を赤く染め、ただ見惚れている。「それでは僕はこれで」と王子は彼女の手の甲に口づけを一つ落とし、その場を立ち去る。人気のない廊下で輝かんばかりの美しい金髪をなびかせ立ち去る王子の背中を、令嬢はその姿が見えなくなるまで惚けた表情でただ見つめていた。
ぱちゅんぱちゅんと、肉と肉のぶつかる激しい音が薄暗く広い室内に響いている。
「……っ、はっ、はっ……」
キングサイズの広いベッドの上。筋肉のついたガッチリとした体格の男が王子を組み敷くように背後から押さえつけ、王子の臀部に腰を打ち付けるように振りたくっている。乾いた血のような深い赤の髪を刈り上げ、眉にかからないほどで短く切り揃えている男の顔は強面だが凛々しく整っている。身に纏っている軍服は黒地に金色の糸で所々に繊細な装飾が施されていて、見るからに位の高い人間だとわかるだろう。きっちりと服を身に纏っている彼はペニスのみを露出させ、王子のアナルに彼のペニスを無造作な動きで出し入れしている。ペニスを腸内に深く入れられる度に王子は「っう」と押し殺したようなくぐもった声を出すが、引き寄せた枕に顔を埋めることで男の耳にその声はほとんど届いていない。
一年ほど前から毎晩のように繰り返されているこの行為に、王子の体は随分慣れてしまっていた。最初は進入を拒んでいたアナルはすっかり柔らかくなり、今では男のペニスの形を覚えたかのようにヒダが収縮してペニスに絡み付いている。身勝手な男の己の快楽にしか忠実でない腰使いにも、開発された王子のアナルは快楽を拾い上げてしまう。
「んっ、っ、……ぁっ♡」
「……っ、出るっ」
男はそう宣言すると臀部へ打ち付ける腰の動きを激しくし、そして間もなく王子の中で精を放った。王子の柔らかな腸内で男のペニスは精液を全て出し切るかのように何度か震え、男はしばらく静止した後に王子の中から一気にペニスを引き抜く。「あっ」と思わず抑えられなかった声が王子の口から出ると、男は顔を顰めて上体を起こし、さっさと自身の衣服を整え始めた。
「声、耳障りだから出すなって言ってるだろうが」
「……ご、めんなさい」
「邪魔だからさっさと身支度を整えて出て行け」
男は大きく溜息を吐き、浴室へと繋がる扉へ姿を消した。王子は震える足をどうにか動かし、うつ伏せになっていた体を起こす。無意識にきゅうきゅうと収縮を繰り返すアナルから男の出した精液が溢れシーツの上へとこぼれ落ちそうになるのを、すんでのところで手で受け止めた。それ以上溢れてこないようにと、王子は自分の手でアナルを抑えるような格好を取りつつ、ベッドの周りに乱暴に脱がされ散らかされた衣服をかき集める。
「ん、……っ」
もし廊下で誰かとすれ違っても不自然だと思われないように、事後の着衣には気を遣っていた。ボタンを一つかけ間違えるだけでも、目敏い人間には何をしていたか勘繰られてしまう。王子は清廉潔白でなくてはいけない、そう教わってきたのだ。
(早く、自分の部屋に帰らなくちゃ……アーノルドが湯浴みを終えて戻ってくる前に……)
床の上で中途半端に衣服を纏った姿を見つけられでもしたら、男……アーノルドに激しく責め立てられることを王子は知っている。過去に何度かそれを咎められたことがあった。時にはアーノルドのペニスよりも二回りは大きい張型を慣らしもせずにアナルへ突っ込まれ、また時には立てなくなるほどの暴力を夜通し振るわれた。しかし王子のことを酷く傷つけた後のアーノルドは打って変わってその傷を優しく治療してくれるので、王子はそれが彼の愛なのだと認識していた。
「……よし」
王子はベッドの横の姿見で自分の全身をくまなく確認する。どこからどう見ても違和感のない王子の姿に納得した声を出し、なるべく音を立てないようにドアノブを捻ってそのまま部屋を出る。深夜の静かな宮殿の廊下に人の姿はなく、コツコツと王子の靴底が大理石を叩く音だけが規則的に響くだけだった。使用人たちも寝静まり、耳を澄ませば夜行性の鳥たちの静かな歌声が辛うじて聞こえてくるだけの、孤独な夜。金のように輝く月は夜明けへ向かって傾き始め、あと数時間もすれば見えなくなってしまうだろう。
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