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第44話『凌辱イベント』

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「あんちゃんは、ウチへ入団するっちゅうことでいいんじゃよなぁ?」

 ゲンブはそう言ってニヤリと笑った。
 入団? ここでそれにこだわる理由とは……。

 たとえば、今回の<テイム>を業務扱いにするとかか?
 それならアーサルトをボクから取り上げることが可能にも思える。

 まさに、無賃労働そのものだが。
 ボクが返答に詰まっていると団長がひとり、話を進めた。

「まったく弱ったのぅ。まさか本当に成功されるとは思わなんだ。さすがにそいつを連れていかれちまうと、収穫が大きく目減りされちまうからのぅ」

 これは、ゲンブから暗に取引を持ち掛けられているのだろうか?
 ここで『お返しします』と言えば見逃してもらえる?

 ……いや、ダメだ。
 ここで受け入れてしまえば、前世と同じ。カツアゲを認めたようなもの。

「あぁ、そこの女のエルフのほうはくれてやってもよいぞぉ? そうじゃのぅ、半年分の給与を前借りして買い取らせてやろぅ。それで”助けた”義理は十分に果たせるじゃろぉ?」

 くっ! 足元を見やがって!
 ゲンブはボクがエリィを助けるためなら、ほかを売ると思っているらしい。

 まぁ実際、重要度でいえばそのとおりなのだが……ん?
 今、彼はなんて言った?

 ――”助けた”?

 いや、そういうことか!
 今のリアクションで気づいた。

 もしかして彼は、ボクがエリィを助けるために動いていると思っている?
 半ば本気で”エルフ”を助けたがっている、と。

 だから、これだけ敵視されているのか?
 今後、収穫の邪魔をされたりするのを警戒している?

 ならばボクが”そちら側”だと証明すればいい。
 そのためには……。

 ――ああ、なんだ。そんな簡単なことでよかったのか。

 まるで、最初からこうなる運命だと決まっていたかのように。
 あるいは、パズルの最後のピースが収まるように。
 答えはストンと胸に落ちていた。

 ――きひっ、きひひひっ!

「団長にひとつ、お願いがあります?」

「ほぅ? なんじゃぁ? 申してみい」

「入団することそのものは、やぶさかではありません。ただひとつ、その前に……」

 言いながらボクはエリィを立ち上がらせた。
 彼女は「え、な、なに?」ときょろきょろ周囲を見回していた。

 ボクはそんな彼女の服に手をかけた。
 そして、ひと息に引きちぎった。

「きゃぁあああ!?」

「団長、ボクも――」


「――この陵辱イベントに、参加させていただきたく思います」


 そう、エルフの仲間なんかじゃないと証明するのは簡単だ。
 ボクも犯せばいい。

 理性と欲望が同じ目的を持ったとき、ボクは理性という名のタガから解放された。
 エリィは、そのあらわになった幼い肢体を自分の腕で抱きしめた。

「みっ、見ないでぇっ!」

 視線から逃れるようにしゃがみこむ。
 破れた布を引き寄せて、少しでも衆目から身体を隠そうとした。

 だが片腕が折れているせいか、うまくいっていない。
 布の隙間から大切な部分がちらりと、ときおり顔を覗かせていた。

 それはどこか幻想的ですらある。
 まるでベッドシーツに絡まる少女のごとく。

 肌着を身につけないエルフの習慣のせいもあり、誘っているようにしか感じられなかった。
 ひどく背徳的で、扇情的だった。

 ボクはもう、エリィをどう犯すかしか考えられなくなる。

「かぁあああはっはぁ! そうきたか!」

 ゲンブは笑った。
 どうやらボクを認めてくれたらしい。

「おぬしらも好きに犯せ、泣かせ、喚かせろ。宴の再開じゃぁ! 興が乗った、わしにも1匹寄越せぃ!」

 さっきまでは見ているだけだったが、自身も参加するらしい。
 しかし、本末転倒なことだがボクにはもうそちらに意識を割く余裕はない。

 まだ<交渉術>が発動中のはずだ。
 なのに感情をコントロールしきれない。

 それほどまでに大きな興奮。
 はじめて、というのはそれほどまでに大きくボクの感情を昂らせていた。

「なんで、こんな。どういうことよ!? あたしたちを助けてくれるって言ったのに!」

「はぁ? んなのウソに決まってんだろうがよぉバァアアアカ! でも、まぁ? お前みたいにバカな子どもは案外悪くないかもなぁ。……扱いやすくて『好き』になれそうだよ!」

「そん、な。あんた、やっぱり最低のクズ野郎よ! あたし、なんであんたんんかを信じちゃったんだろう……。い、イヤっ! 近寄らないで!」

「あぁン? だれに向かって言ってんだ?」

「クソっ! 殺してやる殺してやる殺してやる! あんたなんか、あたしにかかれば敵なんかじゃないんだから! もう一度、思い知らせてやる! 一撃で木っ端微塵にして……」

 エリィは手のひらをこちらへ向けた。
 マジックのエフェクトが蜂起する。

 やれやれ、まだわかっていないようだ。
 思い知らせてやる。

「――”ボクを傷つけた罰だ”」

 告げた
 次の瞬間、エリィの身体がドクンっと震えた。

「う、ぎぃいいいああああッ!?」

 エリィは叫び、うずくまった。
 彼女は脂汗を額に浮かべながら、下腹部を押さえていた。

 魔力の光は霧散していた。
 抱き寄せていた布がはだけ、素肌が見える。

 彼女が押さえている下腹部には、奴隷紋が合った。
 それが脈動するような、赤く、鈍い点滅を繰り返していた。

「エリィ、だから言っただろうがこのバカ娘! 人間を信じるなと、あれほど……! この、キサマぁ! よくもやってくれたなぁあああ!?」

 アーサルトが叫んでいる。
 が、ちっとも怖くないな。

 『破魔の拘束具』で魔法も封じられ、手足は欠損してまともに立つことすらままならない。
 それでも、十分に利用価値はある。

 取引材料としてはもちろん。
 それに……。

「ほぉら、エリィ。”お父さん”にたっぷり見てもらおうじゃないか。キミがこれからたぁっぷりと弄ばれる姿をさぁあああ!」
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