サファヴィア秘話 ―妖花満開―

文月 沙織

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 しかし、どこまでも残酷なことに、ディアニスは高潔で人品優れ、ラオシンが一目置き、敬意すら抱いていた人物だ。
 ラオシンはやり切れなさに天を仰いだ。
 そうしていても身体は燃えたち、下半身を襲うもどかしさ、切なさは強まり、限界を伝えてくる。
 ああ……!
 ラオシンの頬に、光るものが流れる。
 心はこれほど恐怖に震え、苦痛にきしんでいるというのに、身体は快に燃え、たぎるように熱して、全身で訴えているのだ。
 遂きたい、と。
「ああっ……、た、たのむ、だ、誰か、助けてくれ……」
 ラオシンは泣き声でちいさく呟いていた。
 屈辱きわまりないが、もしこの場にジャハギルがいたならば、憎悪きわまる彼であってさえ、涙ながらにすがったかもしれない。
 それは死ぬほどの苦痛ではあるだろうが、これから起こることに比べれば、まだ耐えられる。
 これから、まさに死にまさる苦痛が始まろうとしているのだ。
 足音がさらに近づく。
(ああっ!)

 ラオシンは、幕がひらかれ、風が入ってきたのを感じた。 
「陛下……! こ、これは……!」
 懐かしいディアニスの声。
 ラオシンは己が生きていられることが不思議な気がした。
「これは、なんじゃ?」
 余裕を秘めた声が聞こえる。だが、相手の顔は見えない。
 ラオシンがひたすら目を閉じているからだ。 
 それから後のことは、ラオシンにとっては妖しい夢の世界のことのようだった。

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