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六
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全身を炙りぬくような、堪らない焦燥感。
木馬の腹部には、足をかける木の棒がとりつけられており、ラオシンは両足をそこに置くことで、どうにか支えをなくしても身体を安定できるのだが、激しく身の内を責めたててくる焦燥に耐えきれず、脚で木馬を挟むような姿勢を取ってしまう。
内股めいたその姿勢に、さらに嗜虐心をあおられたアイジャルは、わざとらしく眉をしかめた。
「こら!」
「あっ」
パシン、と腰をたたかれたラオシンは身をすくませた。一瞬の怯えのあとに、また激しい屈辱がわく。
「ラオ、なんというみっともない姿じゃ。そんな馬の乗り方があるか。堂々と跨ぎ、背を伸ばすのじゃ。ラオは乗馬の名手ではなかったのか? 宮廷の馬術師どもが言うておったぞ、ラオシン殿下の馬の乗り方は素晴らしかったと。そんな乗り方では、一度、あのときの馬術師を呼んで、稽古をつけてもらわねばな。呼んでみるか?」
「うううっ……」
ねちねちと心身はおろか、魂をいたぶりぬく言葉責めの辛さに、ラオシンは首を振った。
恥辱と苦痛の汗に濡れた首筋に、項に、肩に黒髪がまとわりつき、馬上の麗人の被虐美をいっそう際立たせる。
「はぁ……! ああっ、も、もう耐えられない……」
「何が耐えられないのじゃ?」
「ああ! 駄目だ……、もう無理だ!」
「だから、何が、もう無理なのじゃ?」
不思議そうに訊くアイジャル。
「アイジャル……」
「何を泣く? ラオはあれほど乗馬が好きであったではないか? 父上から贈られた名馬をみごとに乗りこなしていたときのラオの姿……余は覚えておるぞ。凛々しく颯爽として……狩りのとき馬上から弓を放つ射形の美しさ……。黒地に銀糸の花模様の衣がひどく映えておったな」
うっとりと、残忍さに燃えた目で、アイジャルはあらためて今のラオシンのあられもない姿を凝視する。
往時のラオシンの勇姿と今現在の淫蕩かつ無惨きわまりない姿をくらべ、恍惚としているのだ。
木馬の腹部には、足をかける木の棒がとりつけられており、ラオシンは両足をそこに置くことで、どうにか支えをなくしても身体を安定できるのだが、激しく身の内を責めたててくる焦燥に耐えきれず、脚で木馬を挟むような姿勢を取ってしまう。
内股めいたその姿勢に、さらに嗜虐心をあおられたアイジャルは、わざとらしく眉をしかめた。
「こら!」
「あっ」
パシン、と腰をたたかれたラオシンは身をすくませた。一瞬の怯えのあとに、また激しい屈辱がわく。
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「うううっ……」
ねちねちと心身はおろか、魂をいたぶりぬく言葉責めの辛さに、ラオシンは首を振った。
恥辱と苦痛の汗に濡れた首筋に、項に、肩に黒髪がまとわりつき、馬上の麗人の被虐美をいっそう際立たせる。
「はぁ……! ああっ、も、もう耐えられない……」
「何が耐えられないのじゃ?」
「ああ! 駄目だ……、もう無理だ!」
「だから、何が、もう無理なのじゃ?」
不思議そうに訊くアイジャル。
「アイジャル……」
「何を泣く? ラオはあれほど乗馬が好きであったではないか? 父上から贈られた名馬をみごとに乗りこなしていたときのラオの姿……余は覚えておるぞ。凛々しく颯爽として……狩りのとき馬上から弓を放つ射形の美しさ……。黒地に銀糸の花模様の衣がひどく映えておったな」
うっとりと、残忍さに燃えた目で、アイジャルはあらためて今のラオシンのあられもない姿を凝視する。
往時のラオシンの勇姿と今現在の淫蕩かつ無惨きわまりない姿をくらべ、恍惚としているのだ。
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