サファヴィア秘話 ―妖花満開―

文月 沙織

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 南国のサファヴィアにはあり得ない色白の肌である。滅多に陽に当たることもなく深宮の奥深くで日々を過ごす王妃の肌は、青いほどに白く、病んでいるようにさえ見えることがある。その青白い肌が今はめずらしく赤く火照ほてり、汗でべたつき、異常になまめかしく見える。一本だけ灯された蝋燭の、ほのかな光の下、王妃は生々しい女の本性をさらけ出していた。
 ぺちゃ、ぺちゃ、と世にもいやらしい下品な音をたて、ジャハンが女主の秘奥ひおうに湧く泉水をすすっている。
「ああ、良い、良い、ジャハン……。そこじゃ、そこを、もっと」
「こ、こうでございますか?」 くぐもった声が響く。
「そうじゃ! そこじゃ! そこをもっと強ぅ……!」
 アイジャルは吐き気をもよおした。
 勿論、アイジャルもこの頃には、男女の営みについては、うっすらとだが、侍女たちが時折こっそり交わす女たちの私話から知りめてはいた。だが、目の前で行われているそれは、ようやっと性の入り口に入りはじめた少年にとって、あまりにも過激で強烈な行為だった。
 いや、そもそも男女の営みとも呼べない行為なのだ。
 母王妃にとって、おそらくジャハンは生きた道具なのだろう。実際、この時代の王侯貴族にとっては召使のほとんどは道具だが、この場合ジャハンはエメリス王妃にとって〝性具〟なのだ。
 この頃、すでに父王イブラヒルとの関係は冷めており、両親が形だけの夫婦であることはアイジャルも気づいていた。夫にかえりみられぬ妻が、夜の寂しさをうずめるために宦官を使って我が身を慰めているのだ。王妃にとっては不貞でも不倫でもなく、欲望を解消するための排泄行為に似た行為でしかない。
 だが、思春期の少年には、あまりにも壮絶な光景だった。
 仮にも自分の母が、こともあろうに醜いことで有名で、傴僂せむし、ちび、猿の子、などと陰険で口さがない宮廷人から陰口たたかれている宦官を相手に、信じられない痴態をくりひろげているのだ。
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