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七
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「もう、なんじゃ、ラオ?」
背後からラオシンの剝きだしの胸を抱きしめ、アイジャルが訊いた。
ほっそりとしたラオシンの首に顔をうずめている彼の眉は顰められているようで、今は快楽よりも苦悶を示していた。人前で恬然としてラオシンを嬲っていた王も、余裕をうしなってきているのだ。
「も、もう……こ、殺してくれ! い、いっそ、殺して!」
この気の狂う魔悦のなかで恥をさらしながら生きるぐらいなら、いっそ死にたい。それはラオシンの本心だった。
「駄目じゃ」
にべもなくアイジャルが告げた。
「死なさぬぞ、ラオ。逃しはせぬぞ。ラオはこの先永遠に、余の腕のなかで生きつづけるのじゃ。こうして、よがりながらな」
アイジャルの右手が、ラオシンの右胸の突起を摘まみあげる。ラオシンは身をよじることもできず、また啜り泣いた。
「はぁっ!」
さらに下肢への責めも激しさを増しラオシンを苦しめる。
「さ、ラオ、いくぞ、良いか?」
ラオシンは首を横に振っていた。だが、通じるわけもなく、おそろしい絶頂へと押し上げられていく。
「駄目……、駄目だ、! ああっ、ま、待って、待って……くれ!」
「待たぬ!」
ぐい、と背後からさらなる圧が加わってきてラオシンを絶叫させた。
「余は待たぬ。余は王じゃ。ラオ、ラオが余に従うのじゃ」
「ああ!」
その瞬間、ラオシンの最後の砦を崩すべく前方に伸びてきたアイジャルの両手の責めに、ラオシンは打ちくだかれた。
「さあ、行くぞ。ラオ、余についてまいれ」
ラオシンは泣きじゃくった。それを嘲笑する声はどこからも上がらない。
皆、ラオシン=シャーディーという妖花が満開になるのをひたすら待っているのだ。
「ラオ、余の愛しいラオ」
火のように熱くなったアイジャル王が、情熱のすべてをかたむけてラオシンを抱きこむ。
ラオシンももはや逃げることも退くことも出来なくなっていた。腰を、背後の男の動きに合わせてついていくのに必死だ。羞恥や屈辱を感じる余裕もない。
「ラオ」
幾度目かに、愛を込めて――たしかにそこに愛を感じたことが、ラオシンにとってせめてもの救いだった――名を囁かれ、ラオシンの身も心も、魂も……爆ぜた。
見守る者たちは一様に息を呑んだ。
(はぁ! ああっ……、ああああっ……!)
きらきらと、頬をながれる涙が夕闇に光る。
ラオシンの爆ぜた魂は、ふたたび身体から抜け出て天をさまよった。
背後からラオシンの剝きだしの胸を抱きしめ、アイジャルが訊いた。
ほっそりとしたラオシンの首に顔をうずめている彼の眉は顰められているようで、今は快楽よりも苦悶を示していた。人前で恬然としてラオシンを嬲っていた王も、余裕をうしなってきているのだ。
「も、もう……こ、殺してくれ! い、いっそ、殺して!」
この気の狂う魔悦のなかで恥をさらしながら生きるぐらいなら、いっそ死にたい。それはラオシンの本心だった。
「駄目じゃ」
にべもなくアイジャルが告げた。
「死なさぬぞ、ラオ。逃しはせぬぞ。ラオはこの先永遠に、余の腕のなかで生きつづけるのじゃ。こうして、よがりながらな」
アイジャルの右手が、ラオシンの右胸の突起を摘まみあげる。ラオシンは身をよじることもできず、また啜り泣いた。
「はぁっ!」
さらに下肢への責めも激しさを増しラオシンを苦しめる。
「さ、ラオ、いくぞ、良いか?」
ラオシンは首を横に振っていた。だが、通じるわけもなく、おそろしい絶頂へと押し上げられていく。
「駄目……、駄目だ、! ああっ、ま、待って、待って……くれ!」
「待たぬ!」
ぐい、と背後からさらなる圧が加わってきてラオシンを絶叫させた。
「余は待たぬ。余は王じゃ。ラオ、ラオが余に従うのじゃ」
「ああ!」
その瞬間、ラオシンの最後の砦を崩すべく前方に伸びてきたアイジャルの両手の責めに、ラオシンは打ちくだかれた。
「さあ、行くぞ。ラオ、余についてまいれ」
ラオシンは泣きじゃくった。それを嘲笑する声はどこからも上がらない。
皆、ラオシン=シャーディーという妖花が満開になるのをひたすら待っているのだ。
「ラオ、余の愛しいラオ」
火のように熱くなったアイジャル王が、情熱のすべてをかたむけてラオシンを抱きこむ。
ラオシンももはや逃げることも退くことも出来なくなっていた。腰を、背後の男の動きに合わせてついていくのに必死だ。羞恥や屈辱を感じる余裕もない。
「ラオ」
幾度目かに、愛を込めて――たしかにそこに愛を感じたことが、ラオシンにとってせめてもの救いだった――名を囁かれ、ラオシンの身も心も、魂も……爆ぜた。
見守る者たちは一様に息を呑んだ。
(はぁ! ああっ……、ああああっ……!)
きらきらと、頬をながれる涙が夕闇に光る。
ラオシンの爆ぜた魂は、ふたたび身体から抜け出て天をさまよった。
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