サファヴィア秘話 ―妖花満開―

文月 沙織

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淫花 一

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 そしてその羞恥の情緒は、強ければ強いほどにラオシンの被虐美を高め、あふれんばかりの官能を見せつけ、奪う側、犯す側、欲する側の者たちの情熱を未曾有みぞうに引き出すのだ。
 千人の男をまどわす最高級娼婦の素質をラオシンは備えはじめているのだ。どれほど潔癖な人間であっても、今のラオシンを見れば、情欲や劣情を刺激されずにいられない。
 それでいて、色に染まってしまった者がおちいるような、色欲の虜となった淫乱かというと、けっしてそういうことはなく、やはり根は清らかで、天性の気品は失っていない。
 ラオシンのなかには、気高い聖女の心と、極上の娼婦の素質が混在しているのだ。
 そして、今、生まれながらの淑女にして稀代の娼婦がその絶世の美をあますところなく披露させられている。
 そんな光景を目の当たりにした人間の気持ちは、どんなものだろう。
 そんな相手を抱き、自由にできる男の心情は、どんなものだろう。
「あっ、あああ!」
「ラオ、そう、慌てるな」
 アイジャルは苦笑を浮かべて手のなかの麗人をなだめた。顔は笑っているが、額にはうっすら汗が浮きはじめている。彼も興奮をしずめられなくなってきたようだ。
「どうじゃ?」
 額の汗粒を増やしながら、身体を動かしアイジャルが訊くと、ラオシンは首を振った。
「あっ、ああっ!」
 未だに脱げないでいる薄衣は、もはや肌の一部のようにラオシンの身体にべったりと張り付き、汗にまみれて淫らにうごめく。
「どうじゃ、ラオ、ここは?」
 アイジャルが微妙に腰を動かし、意地悪く問うのに、ラオシンは答えることはできなかった。
 ラオシンは忘我の境地まで追い詰められていた。
 アイジャルの動くのを見て、あわててアラムが壁棚から真紅の天鵞絨ビロードの敷布を取り、石床の上にひろげる。
 ラオシンを抱えたまま、アイジャルは布の上で胡坐あぐら座りになる。その動きに合わせてラオシンは夢中になって広げている脚でアイジャルをはさむように全身でしがみついた。
「うう……ん」
 東方の春宮図しゅうぐうずに描かれるような姿が闇に浮かびあがる。
「ラオ、本当に可愛い……」
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