サファヴィア秘話 ―妖花満開―

文月 沙織

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花姦 一

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(嫌だ、ジャハギルの手でされるのだけは……いやだ)
 ラオシンのジャハギルへの憎悪は、頂点にまで達していた。
 それも当然だろう。罠にめられ『悦楽の園』で散々な目にあわされているとき、調教者たちの尻馬に乗ってラオシンをいたぶることに加担し、故人となった今も許すことのできない前宦官長ジャハンとも結託してラオシンに、およそ耐えがたい屈辱と苦痛をあたえた男である。
 ジャハンはアイジャルによって殺されて今はもうない。主犯格となる娼館の女主は、勿論、彼女のこともけっして許す気はないが、それが職業で依頼されて行ったことであり、あのとき依頼主の命にさからうことは彼女にとって死を意味していたが、ジャハギルにはラオシンをいたぶる理由も名分もないはずだ。
 にもかかわらず、この男は抵抗できないラオシンを精神的に傷つけ、心に消えない傷を残していった。楽しみながら。
 それだけでも許しがたいというのに、本当なら殺されるところをアイジャルに巧みに取り入り、後宮への出入りを許可され、今こうして調教者としてラオシンを責めているのだ。
 さらにまた言うならば、生理的嫌悪もある。
 人並みはずれたたくましい体躯を持ちながら、女のように喋りふるまうジャハギルを、どうしてもラオシンは好きになれない。これまでのいきさつを別としても、やはり好意を持てる相手ではない。
 いや、単に女性的なだけなら我慢できたかもしれないが、その女性性が、残酷さ、陰険さ、ときに垣間見かいまみせてくる自分への妬み嫉妬という、悪い意味での女性性ばかりなのが嫌なのだ。悪い女性性はふんだんに備えながら、優しさ、おだやかさ、暖かさという、女性が持つ良い意味での女のさががまったく無いのだ、彼には。
 そんな卑劣で残忍な、それでいて狡猾な最低の人種に、これから道具で女に……〝めす〟に堕とされる恐怖。
 ラオシンは想像して絶叫しそうになった。
 限界だった。
 これ以上我慢すれば、自分は本当に狂ってしまう。
 狂ってすぐ死ねればまだ救いがあるが、狂ったまま、またさらに不様をさらしつづけるのかと思うと、計りしれない恐怖がラオシンを襲う。
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