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淫魔たちの競演 一
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傷ついて美しく光る双眼とアイジャルの目がかちあった瞬間、目を逸らしたのはラオシンだった。いや、逸らしたというより、背けた。まるで王の目を、見る価値がないもののように。
些細な仕草だが、それは一瞬にしてアイジャルの顔色を変えさせた。
だが、すぐにアイジャルは余裕を取り戻して氷のような笑みを浮かべる。
「どうしたものじゃろう、ラオ? ラオはアイジャルとレミのどちらが良い? どちらの手で楽しみたいのじゃ? どちらが好きなのじゃ?」
いたぶりを含んだ言葉を、尚もラオシンは無視した。顔を背け、アイジャルとは目を合わせようとはしない。
そうすることが、いっそうアイジャルを怒らせ、何倍ものひどい仕打ちとなってかえってくることを、すでに幾度も経験してきたというのに、それでもラオシンは媚びることも縋ることも、弱味を見せるような真似もしない。いや、できないのだ。
幾たび汚され、堕とされ、踏みにじられても、ラオシン=シャーディーはラオシン=シャーディーであることをけっして止めないのだ。ラオシンがラオシンでなくなるときは、おそらくその命が終わり、サファヴィアの守護女神バリアスのもとへと旅立つときだろう。
「強情な奴め」
焦れた王は怒りを見せた。
「よし、それならば、二人に同時にしてもらうが良い。ジャハギル、レミよ、おまえたち二人でラオをふたたび喜ばせてやれ」
最上の美肉をあたえられた猛獣たちは、よろこびいさんで道具を奪いあおうとする。
「あんたはさっき指で充分あそんだじゃないの? 今度はあたしにさせてよ!」
結局、その言葉でジャハギルが勝ち、水晶の道具を手に入れた。
「あたしが殿下をこのお道具で可愛がってあげるから、そのあいだ、あんたは胸を触ってあげなさいよ」
「仕方ないわね」
魔物たちがそんなあられもない相談を平然と大声で聞こえよがしに交わす。
些細な仕草だが、それは一瞬にしてアイジャルの顔色を変えさせた。
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「よし、それならば、二人に同時にしてもらうが良い。ジャハギル、レミよ、おまえたち二人でラオをふたたび喜ばせてやれ」
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「あんたはさっき指で充分あそんだじゃないの? 今度はあたしにさせてよ!」
結局、その言葉でジャハギルが勝ち、水晶の道具を手に入れた。
「あたしが殿下をこのお道具で可愛がってあげるから、そのあいだ、あんたは胸を触ってあげなさいよ」
「仕方ないわね」
魔物たちがそんなあられもない相談を平然と大声で聞こえよがしに交わす。
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