35 / 94
六
しおりを挟む
ちゅっ、ちゅっ、くちゅ……。
淫らきわまる音が石床の上をすべっていく。
「ううっ、ううっ、うおっ……!」
宦官兵たちの手はすでに離れているため、もはやラオシンの上半身は快楽をあらわすことを止めれず、床上でおおいにのたうった。
しなやかな肉体はうねり、もだえ、全身から光の粒のような汗水をしたたらせ、唇からは桃色の吐息を吐きつづける。顔は絶世の美男子でありながら、若獅子の身体に、淫蛇の性を持ち合わせた、ありうべからざる姿を見せるその様は、凄絶なまでに淫らで、壮絶に美しい姿だった。
妖艶無比のその姿態から、誰もが目を離せないでいる。できるわけがない。もし、今のラオシンから目を離すことのできる人間がいるとしたら、心が木石だろう。
「はぁ、はぁ、はぁっ……ああ……ん、あっ、も、もう!」
いつしかラオシンは、聞くものの耳をうたがわせるような甘い声をはなっていた。絶頂が近づいている証しだ。
いくら生まれながらの貴顕の身であり高貴な紫の血を引く王子であっても、やはり十九の肉体は、はじける若さとあいまって、生きている証しをあらわさずにはいられないのだ。
「おお、遂くか? 遂きそうか?」
アイジャルの声はどこかわざとらしげだ。
「ラオ、無理をするな。何故歯をくいしばるのじゃ? 身体はすでに素直になっておるではないか?」
「ち、ちが……!」
世にも美しい人獣のまえに静かに近づいたアイジャルは、膝をつくと、ラオシンの美しい頬を濡らす涙を舌ですくいとった。
ラオシンが限度を越した快楽と屈辱のために流した涙は、アイジャルにとってはまたとない美酒だったろう。
高貴な美青年たちの痴戯に、もっとも反応したのは、この場でゆいいつ女であるレミだったかもしれない。
土色めいた肌はあぶられたように赤黒く火照り、全身燃えはじめた炭の色に染まっている。レミの他は男性であっても男性ではない宦官たちと、人並みはずれた体躯に女の心――それも人並みはずれて卑しい女心――を持つジャハギルである。
レミの野良猫のような目はぎらぎらと光り、美青年が美青年をなぶる図を食い入るように見つめている。
他の宦官と変成男子は、これまたそれぞれの屈折した欲望に身を焦がしぬきながら、アイジャル=サファヴィス王が、奴隷王子ラオシン=シャーディーの頬から首へと接吻を雨のように降りそそいでいる姿を凝視している。
淫らきわまる音が石床の上をすべっていく。
「ううっ、ううっ、うおっ……!」
宦官兵たちの手はすでに離れているため、もはやラオシンの上半身は快楽をあらわすことを止めれず、床上でおおいにのたうった。
しなやかな肉体はうねり、もだえ、全身から光の粒のような汗水をしたたらせ、唇からは桃色の吐息を吐きつづける。顔は絶世の美男子でありながら、若獅子の身体に、淫蛇の性を持ち合わせた、ありうべからざる姿を見せるその様は、凄絶なまでに淫らで、壮絶に美しい姿だった。
妖艶無比のその姿態から、誰もが目を離せないでいる。できるわけがない。もし、今のラオシンから目を離すことのできる人間がいるとしたら、心が木石だろう。
「はぁ、はぁ、はぁっ……ああ……ん、あっ、も、もう!」
いつしかラオシンは、聞くものの耳をうたがわせるような甘い声をはなっていた。絶頂が近づいている証しだ。
いくら生まれながらの貴顕の身であり高貴な紫の血を引く王子であっても、やはり十九の肉体は、はじける若さとあいまって、生きている証しをあらわさずにはいられないのだ。
「おお、遂くか? 遂きそうか?」
アイジャルの声はどこかわざとらしげだ。
「ラオ、無理をするな。何故歯をくいしばるのじゃ? 身体はすでに素直になっておるではないか?」
「ち、ちが……!」
世にも美しい人獣のまえに静かに近づいたアイジャルは、膝をつくと、ラオシンの美しい頬を濡らす涙を舌ですくいとった。
ラオシンが限度を越した快楽と屈辱のために流した涙は、アイジャルにとってはまたとない美酒だったろう。
高貴な美青年たちの痴戯に、もっとも反応したのは、この場でゆいいつ女であるレミだったかもしれない。
土色めいた肌はあぶられたように赤黒く火照り、全身燃えはじめた炭の色に染まっている。レミの他は男性であっても男性ではない宦官たちと、人並みはずれた体躯に女の心――それも人並みはずれて卑しい女心――を持つジャハギルである。
レミの野良猫のような目はぎらぎらと光り、美青年が美青年をなぶる図を食い入るように見つめている。
他の宦官と変成男子は、これまたそれぞれの屈折した欲望に身を焦がしぬきながら、アイジャル=サファヴィス王が、奴隷王子ラオシン=シャーディーの頬から首へと接吻を雨のように降りそそいでいる姿を凝視している。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説



イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる