サファヴィア秘話 ―妖花満開―

文月 沙織

文字の大きさ
上 下
24 / 94

しおりを挟む
 若い美獣の牙はまだ抜かれていないことを示すような渾身のあらがいではあったが、あらたに加わった二人の宦官、合計四人の宦官たちの腕によってラオシンは不様にふたたび床に押し付けられてしまう。
 くっ、くっ、くっ……。
 従兄の哀れで惨めな姿を見下ろし、アイジャルはさらに命をくだす。
「さ、アラム、早うせい」
「は、はい」
 アラムは王命に逆らうことなどできず、おそるおそる、その性的器物の先端をおのれの唇にあてがった。
「ああ……」
 ラオシンが低くうめく。
 その性具は、白水晶と呼ばれる水晶でできており、名のとおり白くにごった色をして、常夏とこなつのサファヴィアでは見られることはないが、氷のようであり、どこか神秘的でさえある。この時代、水晶は宝石としてあつかわれており、その大きさから推しはかると、かなり高価なものとなるだろう。庶民なら十年は遊んで暮らせるほどの値打ちはある。
 握ってみれば、アラムの両手にややあまるほどの大きさである。巨大、とまではいかないが、それでも決して小さいとは言えない形を成しており、それを選んだのが自分だと思えば、少年は頬を赤らめずにいられないのだろう。
 アラムがその可愛い口から舌を伸ばし、卑猥な道具のさきを舐める様子は、咲きめのアネモネの花弁から赤い蜥蜴とかげが這いでてきたような不気味な美しさを見ている者たちに感じさせる。
 ジャハギルは興味津々でアラムの滅多にみられぬはしたない仕草を穴が開くほどに凝視し、レミも面白そうに美少年の淫らな動作を観察している。
 しかも、サファヴィアの宮廷画家が競って絵に残したがるこの美少年は、少年であって少年ではないのだ。それを思うと、人によっては哀れをもよおすかもしれないが、この妖物ようぶつ二人にとっては、それもまた淫心をかきたてる一因でしかなかった。
(気の毒に、この子、このあと、どうやって始末をつけるのかしらね?)
 そんな声なき呟きをレミの野生的な目は伝えていた。
「ほら、そんなんじゃ、ちっとも濡れないでしょ。もっと舌に唾液をためてしゃぶるのよ。そんなんじゃ、殿下が痛がるわよ」
 ジャハギルの揶揄をこめた叱咤に、レミは笑い転げる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

青年は淫らな儀式の場に連行される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...