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散らされる花々 一
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「陛下、幾度ぐらい打ちましょうか?」
「そうじゃな、三回、いや、五回は打て。哀れじゃが、愚かな主を持った報いじゃ」
「では」
ヒュッー、と黒革の先がうなり、アラムは生成り色のお仕着せの衣に首をすくめた。
激しい音が室に響く。
息を呑む音につづいて、アラムの悲鳴が響きわたる。
「やめろ! もう止せ!」
宦官たちに抑えつけられながらも、もがくラオシン。彼の動きにあわせて黒髪が揺れる様子は、石床の上で引きちぎられた黒蘭の花弁を思わせる。
女の持つ鞭の先は、アラムのかぼそい手の上で酷い音を三度までかさねた。
「今日のところは、それぐらいでよかろうか」
アイジャルは、さすがに容赦を見せた。
こらえた啜り泣きがおさまると、アラムの可憐な唇からこぼれたのは「陛下の御恩寵に感謝します」という一言だった。
「だが、まだ許すわけではない。アラム、その道具を使いやすくするために、おまえ自身の口で準備をするがよい」
「く、口で……」
アラムが茶褐色の頬を黒く染め、おずおずと王を見上げる。
「そうじゃ。香油は使ってはならぬ。ラオの身体に入れる前に、おまえ自身の口や舌で湿らすのじゃ」
「ああ……!」 ラオシンは苦しげに首を左右に振った。
どうあってもアイジャルはアラムの手によってラオシンに屈辱を与えたいのだ。忠臣の手によって堕とされ乱れるラオシンを見たいのだ。あまりの残忍さ、下品さに、ラオシンは歯噛みした。
「さ、なにをしておる? 早くせい、日が暮れてしまうではないか。客人を迎えるのに間に合わぬぞ」
催促の言葉は、またラオシンの神経をひっかき、切り裂いた。本気でアイジャルは目的を遂行するつもりだ。
「や、やめろぉ!」
ラオシンは四肢に命を込めて動いていた。
「おおっ、」
ラオシンのすぐ側で彼を抑えこんでいた宦官が思わず声を出すほどに、ラオシン自身でも驚くほどの力を込めた抵抗だった。
「はなせぇぇぇ!」
「そうじゃな、三回、いや、五回は打て。哀れじゃが、愚かな主を持った報いじゃ」
「では」
ヒュッー、と黒革の先がうなり、アラムは生成り色のお仕着せの衣に首をすくめた。
激しい音が室に響く。
息を呑む音につづいて、アラムの悲鳴が響きわたる。
「やめろ! もう止せ!」
宦官たちに抑えつけられながらも、もがくラオシン。彼の動きにあわせて黒髪が揺れる様子は、石床の上で引きちぎられた黒蘭の花弁を思わせる。
女の持つ鞭の先は、アラムのかぼそい手の上で酷い音を三度までかさねた。
「今日のところは、それぐらいでよかろうか」
アイジャルは、さすがに容赦を見せた。
こらえた啜り泣きがおさまると、アラムの可憐な唇からこぼれたのは「陛下の御恩寵に感謝します」という一言だった。
「だが、まだ許すわけではない。アラム、その道具を使いやすくするために、おまえ自身の口で準備をするがよい」
「く、口で……」
アラムが茶褐色の頬を黒く染め、おずおずと王を見上げる。
「そうじゃ。香油は使ってはならぬ。ラオの身体に入れる前に、おまえ自身の口や舌で湿らすのじゃ」
「ああ……!」 ラオシンは苦しげに首を左右に振った。
どうあってもアイジャルはアラムの手によってラオシンに屈辱を与えたいのだ。忠臣の手によって堕とされ乱れるラオシンを見たいのだ。あまりの残忍さ、下品さに、ラオシンは歯噛みした。
「さ、なにをしておる? 早くせい、日が暮れてしまうではないか。客人を迎えるのに間に合わぬぞ」
催促の言葉は、またラオシンの神経をひっかき、切り裂いた。本気でアイジャルは目的を遂行するつもりだ。
「や、やめろぉ!」
ラオシンは四肢に命を込めて動いていた。
「おおっ、」
ラオシンのすぐ側で彼を抑えこんでいた宦官が思わず声を出すほどに、ラオシン自身でも驚くほどの力を込めた抵抗だった。
「はなせぇぇぇ!」
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