サファヴィア秘話 ―妖花満開―

文月 沙織

文字の大きさ
上 下
20 / 94

しおりを挟む
「うう……」
 ラオシンは不様な四つん這いの姿勢で背をそらす。
 上半身は薄手の衣で包まれており、その姿で臀部を上げさせられ、足には皮沓サンダル。左足のくつの皮紐がかすかにほどけて床上に黄金色こがねいろの小蛇のようにこぼれている様子がなんとも淫らだ。手負いの若獅子を思わせるラオシンの引き締まった太腿で、彼が恥辱に震えるたびに銀鎖とダイヤモンドが揺れる。
 アイジャルは自分が造り上げた最高級の芸術品を満足そうに見下ろし、ほとんど恍惚となった表情で、銀鎖から垂れているダイヤモンドを指でつついてみたりする。その様子は、美しい花や蝶をちぎって喜ぶ悪童そのものだ。
「ラオ……」
 そんなふうに心を奪われた様子の帝王を見るレミの目は、また野性の光をおびて不敵にきらめく。どうやらこの娘は、アイジャルに懸想けそうしているようで、彼女にとってラオシンは、恋しい王の心を奪う恋仇になるのだろう。
「陛下、指だけでは心もとのうございます。道具でしっかりとラオシン様の蕾を開けてさしあげた方が良いのではございませんか?」
 ビクン、とラオシンの四肢が震える。
「さすれば、お馬の上でいっそうラオシン様は悦びを得られると思われますが」
 にんまりと、毒の花を満開にさせたような侍女の笑みにこたえる主もまた毒花の王者であった。
「おお、そうじゃ、気の利くおなごじゃ。アラム、その道具を持ってまいれ。そうじゃ、おまえが選んだ道具じゃ」
「は、はい」
 アラムがまた頬をほんのり赤く染め、先ほどみずからが選んだ淫具を純白の布で包み、おずおずとアイジャルに差し出す。
「わたくしが最後までお世話しますわ」
 レミが頬を赤黒く燃やして、アラムからそれを奪おうとするのに、
「いや、待て。今度はアラムにさせよう。ラオも気心知れた従者にしてもらう方が楽しかろう」
 その言葉は、さすがに必死に耐えていたラオシンのせきをくずした。アラムが真っ赤になって断るまえに、叫んだのはラオシンだった。
「や、止めてくれ!」
 彼がたまらず振りむいた瞬間、肩のあたりで癖のある黒髪が乱れて散る。アイジャルに向けた黒瞳は、憤怒に輝いている。
 アイジャルは、抑えていた心を爆発させた従兄いとこを満足そうに見下ろした。諦めて屈辱を受け入れたり、自分を無視するかのように沈黙してしまうラオシンでは物足りないのだ。
「アラムにそんなことをさせるな! アラム、ここから出ていろ!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...