16 / 94
二
しおりを挟む
「うう……」
ラオシンは歯軋りして、どうにか身体をひねろうとしとが、許されず、卑しい出自の女の指に弄ばれることになった。
「ラオシン様、そんなに暴れないで、うまく出来ませんわ」
言うレミの口調にはどこか意地悪いものが混じっている。
「本当にラオシン様のここは、可憐でいじらしいですわね。咲き初めの薔薇の蕾のよう」
「あうっ……!」
ぐりっ、と女の指に内壁をえぐられ、ラオシンは思いっきり眉を寄せたが、誰も注意しない。
「痛いですか? もう痛くはないでしょう?」
言葉だけは気づかわしげだが、レミの炭火のような黒い目は爛々と燃えて、大地の色をした肌は野性の熱を発して、後宮の奥室に異質な風を起こしている。
アラムは呆然となり、ジャハギルは頬を赤黒くし、宦官たちですら呆気ととられたように、ひどく楽しげにラオシンを責めるレミの様子をひたすら見ている。
「あっ、あっ、よせ! や、やめろ! 止めろと言っている……!」
「まぁ、ラオシン様ったら、そんなにお尻をぶるぶる震わせないでくださいまし。うまくほぐせませんわ。きちんとほぐせないと、あとで辛い想いをされるのはラオシン様ですのよ。お馬に乗られときに痛い思いはしたくないでしょう? わたくしは陛下の命で、少しでもラオシン様が気持ちよくお馬乗りを楽しめるようにと、これでも不器用ながら精一杯お勤めしているのでございますのに」
ラオシンの長い眉がまた顰められる。
「うっ……はぁ……」
噛みしめてばかりいるせいか赤味を増した唇から、悔しさを込めた吐息が床にこぼれる。こぼれた吐息は凝結して桃色の水晶に変じ床石の上を転がっていきそうだ。
「さ、今度はもっと深く指を入れますわね」
ラオシンが一瞬、身体を固くさせたことがその場にいる全員にも知れたろう。びくん、と稚魚のように肉体が跳ねたのだから。
「や、やめろ!」
今ですら辛いのに、これ以上身体をいじられたら……と想像するだけでラオシンは精神的に限界がきそうだった。
「駄目ですよ。もっと奥までちゃんとほぐさないと。ああ、ほら、嫌がらないで。駄目ですってば、そんなにお尻を振らないでくださいまし」
ほほほほほほ――。
レミは高笑いした。なまじレミが丁寧な言葉使いをすればするほど、彼女の育ちからくる野蛮さや下品さがにじみできて、いっそうその場の光景を残酷に見せる。
ラオシンは歯軋りして、どうにか身体をひねろうとしとが、許されず、卑しい出自の女の指に弄ばれることになった。
「ラオシン様、そんなに暴れないで、うまく出来ませんわ」
言うレミの口調にはどこか意地悪いものが混じっている。
「本当にラオシン様のここは、可憐でいじらしいですわね。咲き初めの薔薇の蕾のよう」
「あうっ……!」
ぐりっ、と女の指に内壁をえぐられ、ラオシンは思いっきり眉を寄せたが、誰も注意しない。
「痛いですか? もう痛くはないでしょう?」
言葉だけは気づかわしげだが、レミの炭火のような黒い目は爛々と燃えて、大地の色をした肌は野性の熱を発して、後宮の奥室に異質な風を起こしている。
アラムは呆然となり、ジャハギルは頬を赤黒くし、宦官たちですら呆気ととられたように、ひどく楽しげにラオシンを責めるレミの様子をひたすら見ている。
「あっ、あっ、よせ! や、やめろ! 止めろと言っている……!」
「まぁ、ラオシン様ったら、そんなにお尻をぶるぶる震わせないでくださいまし。うまくほぐせませんわ。きちんとほぐせないと、あとで辛い想いをされるのはラオシン様ですのよ。お馬に乗られときに痛い思いはしたくないでしょう? わたくしは陛下の命で、少しでもラオシン様が気持ちよくお馬乗りを楽しめるようにと、これでも不器用ながら精一杯お勤めしているのでございますのに」
ラオシンの長い眉がまた顰められる。
「うっ……はぁ……」
噛みしめてばかりいるせいか赤味を増した唇から、悔しさを込めた吐息が床にこぼれる。こぼれた吐息は凝結して桃色の水晶に変じ床石の上を転がっていきそうだ。
「さ、今度はもっと深く指を入れますわね」
ラオシンが一瞬、身体を固くさせたことがその場にいる全員にも知れたろう。びくん、と稚魚のように肉体が跳ねたのだから。
「や、やめろ!」
今ですら辛いのに、これ以上身体をいじられたら……と想像するだけでラオシンは精神的に限界がきそうだった。
「駄目ですよ。もっと奥までちゃんとほぐさないと。ああ、ほら、嫌がらないで。駄目ですってば、そんなにお尻を振らないでくださいまし」
ほほほほほほ――。
レミは高笑いした。なまじレミが丁寧な言葉使いをすればするほど、彼女の育ちからくる野蛮さや下品さがにじみできて、いっそうその場の光景を残酷に見せる。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説



イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる