翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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桜葬 三

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「え? いや、いやだ……!」
 最後の未知の世界へむりやり押し込まれそうになったことに気づいた竹弥は、がむしゃらにもがいた。
 だが、体力では杉屋の方が圧倒的にまさるうえに、竹弥はつかれはてており、寝起きのせいもあって、四肢に力が入らないのだ。
「いやぁ……! いやっ」
 もはや守るものなどない身体であっても、心の奥底の清らかな部分が悲鳴をあげるのだろう。今更だが、竹弥はやはり抵抗せずにいられないようだ。
 おのれの最後の砦をまもるために必死の抵抗をあきらめない。それがまたいっそう、杉屋の獣欲をあおる。
「こら、大人しくしろ」
「いやだ!」
 はげしい熱気が室にあふれる。
 この男ふたりの攻防が生み出す情欲と情動と熱を、彼奴きゃつらは感じているのだろう。そしてよろこび、たのしみ、笑っているのだろう。
 やがて、杉屋はのぞむ姿勢を竹弥にとらせ、自身の欲望を遂げる準備をする。
「ううう……」
 抵抗を封じ、猛りたつ欲望の芯を、それでもかなり自制し、慎重に、繊細な蕾にあてがう。
 竹弥の啜り泣きが室にひびく。
 こんな声を幾度も聞いた気がする。
 男の声もあったし、女の声で聞いたこともある。屈辱と無念の、文字通りはらわたがちぎれるような痛哭つうこくの想いがこもった泣き声である。
 記憶のなかにひびく声は、ときに自分の声であったときもある。
 灰色の記憶を振りはらい、杉屋は欲望を解放することに専念した。
「はぁっ……」
 潤っている蕾はたやすく開いた。
「あうっ……」
 指をあてがい、進行しやすくする。
「くぅ……」
 白い臀部が苦悶と恥辱にふるえている。両股を完全におさえこんでいるので、逃がすことはなく、美しい生贄を杉屋は存分に蹂躙する。
「あぁ……、ああっ、あああっ、駄目、駄目だぁ」
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