翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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桜葬 二

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「うう……ん」
 目覚めかけた身体を、抱きしめていた。
「ん……、なに?」
 杉屋は、竹弥の顔をのぞきこむようにして、気づいたときは接吻していた。自然に、まるで蜂が花弁の蜜をもとめるように。
 口をむさぼり、目覚めた竹弥があらがうのをおさえこみ、舌をからめる。
「な、なんだよ……」
 接吻という行為に竹弥はいまだに慣れていないところがある。おそらく異性とすら交わしたことはまだなかったのだろう。
 正真正銘、純真無垢だった身体に色と欲を教え込み、それでいて奥深いところは純潔でいるように仕込んだ。
 我ながらうまくやっと満足していた。
 ひとつの肉体に淫と聖がからみあって内在するというその矛盾が、たまらない官能美となって男を誘うからだ。
 だが、今、自分が創りあげた生きた美しい淫具か猥らな聖像のような竹弥に、杉屋自身がとりこまれようとしていた。
「やっ、もう、いやだ……」
 竹弥の抵抗は強くなるが、たびかさなる凌辱で疲れていた身体は、杉屋が組み敷くのに時間はかからなかった。
「ああっ、あ、よ、よせ!」
 激しく執拗な愛撫に竹弥は、直感で、今までとはなにか違う熱情を感じとったのだろう。
 竹弥の抗議をすべて無視して、四つん這いの姿勢を強いると、杉屋は秘めた園を検分した。
「ああ……」
 今までにも道具や異物、指、ときに舌でさんざん蹂躙された蕾は、すでに開花されることに慣れていた。
 蕾の先端は、男根で弄ばれたこともあった。それでもまだ、厳密には無垢かつ未開であった。その最後の禁断の場所に、今杉屋はみずからを打ち込もうとしていた。
 今回は、以前のように中途半端なかたちではなく、完全に我が身を埋めるつもりだった。
「よ、よせ、やめろ!」
 すでに、蕾は充分ほころびかけていた。それを指でいじり、舌で潤わせる。
 今回は媚薬は使っていないが、すでにそんなものを使わなくても、竹弥自身が最高の媚薬となってみずから蜜をしたたらせている。
 現に、手でまさぐると、まだ未熟な竹弥の分身はすでに兆していた。あれほどに早田の前で燃えたあとだというのに、若さの源は涸れていないのだ。
「じっとしていろ」

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