翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

文字の大きさ
上 下
196 / 225

玻璃責め 五

しおりを挟む
 竹弥の前方は、いつしかこの度を越えた辱しめに形を変え、熱を発しつつあった。触られていないというのに。
(ああっ……)
 辱しめられて快を感じるという異常な身体に、杉屋がのぞむように変えられてしまったのだ。いや、身体だけではなく、心までもが変性しつつあるのだと気づいた竹弥は、嫌悪と恐怖に絶叫したくなった。
「そら、まだ残っているだろう? ほら、出してみろ」
「ううっ」
 ビー玉が皿をたたくかすかな音が、そのあとも幾つもひびく。

「ふぅ……」
 恥辱に気が遠くなりかけたとき、どうにかすべて出すことができた。
 猿ぐつわを嵌めらているので、いっそう呼吸が苦しく、竹弥はいちじるしく疲弊した。 
「そろそろ、それも外してやらないか? もう舌を噛むこともないだろう」
「そうですね」
 その声を聞いてしばしして、呼吸がらくになった。少しだが身体も楽になった気がする。
 竹弥は大きく息を吸った。
「ああ、これで可愛い声が聞けるよ。さぁ、つぎはどうやって楽しませてあげようか。……ちょっと待っておいで」
「お客さんもけっこう好きですね」
「ふふふふ。竹弥を喜ばせてやりたいんだよ」
 二人の妖物の声を聞きながら、竹弥はあらがう気力もなく、布団のうえに座りこんだまま、ぼんやりと目線を宙にさまよわせていた。
 腰にはまったく力が入らず、不本意だが背後の杉屋に身をまかせるようにぐったりとしていた。
 早田が室の片隅に置いていたらしい黒鞄から、なにやらごそごそと取り出している。
 しばし宙をさまよっていた竹弥の心は、早田の声に、一気にうつつの世界にかえってきた。
「お待たせした。今度はこれで、どうだい?」
 竹弥は目を見張っていた。
「そ、それ……」
 大きくした四角形の文鎮のような銀色の土台から、巨大な茸が天に向かって生えている。そう見える異様な器物をまえにして、心臓が割れそうな音が竹弥の体内でひびく。
 目の前に置かれた珍妙なものがなんのためのものなのか、竹弥は一瞬、理解できなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

朔の生きる道

ほたる
BL
ヤンキーくんは排泄障害より 主人公は瀬咲 朔。 おなじみの排泄障害や腸疾患にプラスして、四肢障害やてんかん等の疾病を患っている。 特別支援学校 中等部で共に学ぶユニークな仲間たちとの青春と医療ケアのお話。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...