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玻璃責め 四

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 古い屋敷の奥室で、異様な官能物語がくりひろげられているのだ。見る者がいれば、別世界へ迷いこんだかと思うだろう。
「ほら、出してみろ。いつまで気取っているんだ。こんな、いやらしい着物着て、脚をひろげておいて」
 せかすように杉屋が背後から竹弥の太腿を軽くたたく。
「おいおい、そんなに苛めるんじゃないよ。また泣いてしまったじゃないか。しかし……まぁ、たしかにすごい格好だね。くくくく。写真に撮っておきたいな。写真機を持ってくればよかった。是非一枚記念にとって、あとで近江さんに送ってやりたいね」
 竹弥はいっそ狂うことを願った。
 狂ってしまい、なにもわからなくなれば、どれだけ楽か。
 だが、狂うことも、この場で息絶えることもかなわず、男の手によって強引に昂ぶらせられ、きわどい言葉嬲りによって、秘めた官能を煽られてしまう。
「ううう……」
 どれほど竹弥が嫌がっても、身体はやがて時間に負けてしまう。
(あっ、……ああっ)
 いや、いや、と首を横に振ったところで杉屋はゆるしてくれず、下半身の中心から、ぽとり、と滴るようにこぼれ落ちたものが、皿を小さくたたき、竹弥をいたたまれなくさせる。
「お、出てきたな。よし、つづけて出してみろ」
 竹弥は声なき悲鳴をあげていた。
 頬が涙でまた濡れる。
 けっして杉屋の命令にしたがうわけではないが、我慢も反抗も限界にきていた。
「ふぅ……ううう」
 ぽとり、ぽとり、と、雨雫のようにガラス玉が皿に落ちていく。
「うう……」
 早田がよく見ようと身をかがめて近寄ってくるのが憎たらしい。恥知らずと、ののしってやりたくとも、口は戒められたままで、うめき声しか出せない。
「すごいな。どうだい? 排泄行為、いや、排泄に似た行為を人に見られる気分は? 気持ち良いかい?」
 嗚咽がこぼれる。
「ああ、また落ちた。なんて……いじらしい。泣くんじゃないよ、ますます苛めたくなるじゃないか。そう悪くはないだろう? 感じているよ」
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