翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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玻璃責め 一

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「ああっ、やっと出た」
 やがて、男の満足そうな声とともに、ほのかな電灯のもとに奇妙な光がはじけた。
「ご覧、こんなものが入っていたよ」
 わざわざ目の前に示され、竹弥は悔しさに眉を寄せる。
 男の掌で光っているのは、ラムネ瓶のなかに入っているような、ガラス玉だった。ビー玉か。
 入れられたのはそのひとつだけだったが、なまじひとつだけなのが、かえって微妙な圧迫感となって竹弥の内側を責め、いたたまれない想いにさせられた。
「ひとつだけだと物足りなかったかもしれませんよ」
 杉屋の声が頭上でひびくと同時に、影がよぎった。それは白い皿で、次の瞬間、皿が畳の上に置かれ、自然に竹弥の目は視界に置かれた皿に引き寄せられる。
 赤、青、黄、緑、透明、瑪瑙模様……涼やかな白磁の皿の上で、きらきらと光るビー玉がいくつも揺れている。
「ほう」
 面白そうに早田がひとつ摘む。
 竹弥はくぐもった悲鳴をあげていたが、やはり逃げることはできない。
「これは面白そうだな。しばしビー玉で遊んでみるかい?」
(いや! いやだ!)
「このビー玉、濡れているね」
「酒ですよ。その方が具合がいいし、竹弥も酔える」
「用意周到だね」
 竹弥は渾身の力であらがってはみたものの、両手は背で縛られてままで、ほとんど動かず、下肢は早田におさえこまれてしまっているうえに、今度は杉屋まで加勢してきた。
 しっかりと男二人に腰を押さえこまれ、いっそう脚をひらかされてしまう。
 着物の裾がまくりあげられ、狼狽した。
「んん! ぬぐっ!」
「暴れるんじゃないよ」
 皿の上の玉を拾うのは杉屋の指だった。
「どうぞ」
「うむ」
 杉屋は自分がつまんだビー玉を、早田にわたす。男たちの手を通じて、玉は竹弥の秘密の園に消えていくのだ。
「うー!」
 ぷつり、と繊細な肉を割って、冷たく濡れたガラスの玉が押し込まれてくるのを竹弥は知った。
(あああっ!)
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