翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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花の屍 十一

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「どれ、どんな色をしているのかな?」
 禁忌の場所をのぞきこまれる羞恥と屈辱に、竹弥は動かせない身体で限界までのけぞった。
「ああ……やっぱり可憐な色だね。入口は紅梅、奥は濃紅梅こきこうばいという感じかね。とんだ今様いまよう色だねぇ。なんとも雅な色を身体のなかにかくし持っていたんだね、君は。くくくくく」
 誰にも見られたくなどない秘めた箇所の色を、古来の着物のかさねの色にたとえて揶揄され、竹弥は悔しさに、さらにのけぞり、首を左右に振った。
「ここを、誰かに悪戯されているね。ひどく感じやすくなっている」
「ぐぅっ……!」
 まさか、と思ったが、指よりさらに湿った生温かい感触が、竹弥の一番触れられたくない場所に触れてきた。  
「くぅっ、ううっ、ううううっ、うぐっ!」
 竹弥はあまりのことに悶絶した。
「ふぅぅぅぅ、ぐぅ……!」
 おぞましさに耐えきれない。だが、その一方ですさまじい快感が、舐められた箇所から全身に雷のように走りぬける。
 閉じた瞼から生理的な涙があふれ、噛みしめつづけた猿ぐつわはじっとりと濡れて唾液がしたたるほどだ。
 男の浅ましさに内心吐き気をもよおしつつ、それに全身で応えているおのれの卑しさに絶叫したくなる。
「本当に君は……可愛いな。これほど淫らな身体に、いじらしいほどに清楚な心……。ああ、まさに絶品だな」
 男の指が、さらに奥深く侵入してきて、一瞬、止まった。
(ああっ!)
 竹弥は声なき悲鳴をあげていた。
「おや……、君」
 ゴリッ、となかをえぐられるような感触に、竹弥の白い膝と太腿がおののく。
「ふむ」
 男は、なにかを探るように指を動かす。
(ああっ、ああっ……)
 中年男が美青年の尻を抱えあげるようにして奇妙な動きを見せている。その異常な光景を、そばで杉屋は腕をくんでうすら笑いを浮かべながら見下ろしていた。
 杉屋の冷たい視線を意識して、竹弥は自分が下等な獣に堕ちていく錯覚に啜り泣いた。
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