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花の屍 十

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 嫌だ! と叫びたいが、相変わらずくぐもった声がもれるばかりだ。
「可愛いものだ」
 男の手が下帯を引っぱり、片方の手が狭間はざまに侵入してくる。
「お客さん、本番は駄目ですよ」
 杉屋のやんわりとした抑制に、男は鷹揚にこたえる。
「わかっているよ。その代わり、ここをたっぷり可愛がってあげよう。この指は、俺の分身だよ。そう思うといい」
「んん……!」
 秘めた割れ目を、男は人差し指で上下に撫でる。
 竹弥は背に汗が走るのを感じた。
 最初はおぞましいばかりの感触だったが、幾度目かの刺激によって、思いもよらぬ快を引きずり出されてしまう。
「ん……んんん!」
「おお、可愛い……。似合っているが、これはそろそろ邪魔だね」
 妖しい衣擦きぬずれの音とともに、股間に感じていたかすかな圧迫感が消えていく。
 剝きだしになった下肢に、男の熱い指先の感触がする。
「このままじゃやりづらいね。この紐をほどいてくれないか?」
 答える声はないが、杉屋は応諾したらしく、痛いほどに足首をきつくしばっていた紐がほどかれ、竹弥の下半身は一気に楽になった。
 痺れている脚を動かすことはできないが、とどこおっていた血が通いはじめ、長時間正座してから立ち上がったときのような、笑いだしたくなるほど心地良いような、叫びだしたくなるほどに苦しいような、奇妙な波が竹弥の下半身をおそう。
「さて、近江竹弥の禁断の花園を、鑑賞させてもらうとするか」
 今度は、脚を先ほどとは逆側に折るようにされ、臀部を突き出すような恥ずかしい姿勢を取らされてしまう。
「ううううう……!」
「よしよし」
 あてがわれた指に湿り気を感じるのは、唾液で濡らしたからだろう。
「動くんじゃないよ。いいか、入れるぞ」
 男の指が思いもよらずすんなりと内に入ってきたのを感じて竹弥はうろたえたが、逃げることはできなかった。
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