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花の屍 四
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「これは……また、すごい格好だな。可哀想に」
だが、言葉とは裏腹に男の声には悦びがふくまれている。
「辛そうだねぇ」
言いつつ、いそいそと褥のそばに寄ってくる男を竹弥は心から呪った。
「ああ、猿ぐつわを嵌められているんだね。……どうしたものだろう? 外してあげたいが」
「それはもう少し待ってください。万が一舌でも噛まれたら大事だ」
早田のあとから入室してきた杉屋の言葉に、竹弥は全身をこわばらせた。
苦しさが、さらにつのる。この男は、今回もそばにいて、竹弥が嬲られるのを見物するつもりなのだ。
「そうだね。だが、声が聞けないのは残念だな。竹弥君の声はなかなか美声だからね」
ふっ……。杉屋が笑う。
「竹弥君だなんて。今宵は竹弥はお客さんのものですよ。煮て食おうが焼いて食おうが、お客さんの御自由。今宵の竹弥はお客さん……いや、早田さんの一夜妻であり奴隷でもあるんですから、堂々と、竹弥と呼び捨てにされるといい」
竹弥は怒りに背に汗がわくのを感じた。
「ふふふ。本当にいいのかい?」
「ええ。かまいませんよ。こいつは、かなりじゃじゃ馬ですからね。たまに他の男の手によって躾けられたら、ちょっとは大人しくなるでしょうよ」
竹弥は、杉屋の言葉に嘔吐すら感じた。
「それじゃ、遠慮なく」
「うっ!」
男の手が、臀部に触れてきた。
(こんな、こんな男に……!)
おぞましさに竹弥は不自然な体勢で、必死に身体をよじる。
「こらこら、暴れるんじゃないよ。……ああ、やっぱり若い男の肌は、張りがあるね。この尻はまるで鞠のようだ。つけば、さぞ元気に跳ねるだろうな」
早田は夢中になって、室に入ってきたときのままでコートや背広を脱ぐこともせず、帽子すら被ったままで竹弥の臀部を両手で撫でまわす。普段は紳士ぶっているくせに、今や卑しい欲望をかくそうともしない。
だが、言葉とは裏腹に男の声には悦びがふくまれている。
「辛そうだねぇ」
言いつつ、いそいそと褥のそばに寄ってくる男を竹弥は心から呪った。
「ああ、猿ぐつわを嵌められているんだね。……どうしたものだろう? 外してあげたいが」
「それはもう少し待ってください。万が一舌でも噛まれたら大事だ」
早田のあとから入室してきた杉屋の言葉に、竹弥は全身をこわばらせた。
苦しさが、さらにつのる。この男は、今回もそばにいて、竹弥が嬲られるのを見物するつもりなのだ。
「そうだね。だが、声が聞けないのは残念だな。竹弥君の声はなかなか美声だからね」
ふっ……。杉屋が笑う。
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竹弥は怒りに背に汗がわくのを感じた。
「ふふふ。本当にいいのかい?」
「ええ。かまいませんよ。こいつは、かなりじゃじゃ馬ですからね。たまに他の男の手によって躾けられたら、ちょっとは大人しくなるでしょうよ」
竹弥は、杉屋の言葉に嘔吐すら感じた。
「それじゃ、遠慮なく」
「うっ!」
男の手が、臀部に触れてきた。
(こんな、こんな男に……!)
おぞましさに竹弥は不自然な体勢で、必死に身体をよじる。
「こらこら、暴れるんじゃないよ。……ああ、やっぱり若い男の肌は、張りがあるね。この尻はまるで鞠のようだ。つけば、さぞ元気に跳ねるだろうな」
早田は夢中になって、室に入ってきたときのままでコートや背広を脱ぐこともせず、帽子すら被ったままで竹弥の臀部を両手で撫でまわす。普段は紳士ぶっているくせに、今や卑しい欲望をかくそうともしない。
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