翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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狂い咲き 二

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 布が弾けるような音をたてて、竹弥の股間を揺らす。
「よ、よせ!」
「ああ、悪い。お気に入りの下着が伸びてしまうよな」
「安心しろ。新しいのをまた買ってやる」
「今度は、是非、ガーター付きのを買ってくださいよ。本当に、すごいな。浴衣に足袋なのに、この下着はいやらし過ぎますよ。杉屋さん、すごい発想というか、感性していますよね」
 本気で感心したように浦部が言うと、杉屋は苦笑した。
「そんなところで誉められてもな。だが、ガーターは本当に似合いそうだな。着物か浴衣着せて、下に洋物の下着というのは、面白いかもな。案外、絵になるかもしれない」
「なり過ぎですよ。ああ、俺、鼻血出そう!」
 杉屋は声を出して笑いながら、凍り付いたように顔をこわばらせて無言でいる竹弥の腰に手を伸ばした。
「よ、よせ!」
「ふふふふ。気に入りの下着だから、俺に触られたくないのか? 本当に、似合っているな」
 ねばつく手で、竹弥のなめらかな太腿を撫でてくる。竹弥は悲鳴をこらえるのに苦労した。
「ああ、白い。体毛が薄いな。……本当に不思議だ。普通だったら、みっともないだけだろうに、おまえだと、まるで絵を見ているようだ。それも、とびきり綺麗な絵を……。綺麗な人間ていうのは、なにをさせても様になっているものなんだな」
 浦部の口調も表情も真剣だった。
「う……」
 何度も太腿や脛を撫でられ、竹弥はいたたまれなさに、顔をのけぞらせた。空の青が目にも肌にも痛い。 
「浦部はおまえに夢中になったようだぞ。たしかに、この下着は本当にお前に似合っているよ。また別のを買ってやるからな」
 瞑っていた目を開けると、竹弥はあらんかぎりの憎悪を込めて、自分をこんな窮地に陥れた男を見つめた。
「変態……」
「ああ、そうだ。だが、おまえもだぞ」
 薄い下着越しに杉屋が乱暴にまさぐってきた。
「はぅっ……!」
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