翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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春獄の宴 十

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 誇りたかい精神と身体に受ける、度をこした侮辱に、気を失う寸前だった。
「へぇ、どれどれ。おお、綺麗なレースがついていますねぇ。け透けじゃないですか。フランスの女は皆、こんないやらしい下着を穿くんですかね?」
「皆というわけではないだろうが、まぁ、穿くんだろうな。高いから金があって好き者の女がこういうのを穿くんだろうよ。……さらにここに細いベルトをつなげて、靴下を穿くんだが」
 竹弥の女とみまごうばかりに白い太腿を指差し、杉屋が説明する。
「外国映画で見た美人女優みたいですね。いいなぁ。ガーターベルトというんですよね? 今度、ぜひ靴下も穿かせてくださいよ、こいつに。似合いそうだ。アハハハハ」
 竹弥は気が遠くなりそうだった。だが浦部の言葉による凌辱は止まない。 
「憧れの王子様のこんな格好、学校の女どもに見せてやりたいぜ。いつもおまえを遠目に見て溜息ついていた女子どもが、おまえのこんな姿見たらどう思うかね。ああ、写真に撮ってやりたい。今度、写真機持ってきていいですか?」
 写真に撮られることよりも、浦部が〝今度〟がまたあると思っていることが竹弥を怖れさせた。だが、敢えて歯を食いしばって竹弥は何も言わなかった。叫んだり怒鳴ったりすれば、いっそう相手を興じらせるだけだと、さすがに杉屋のときで学んでいた。
 そんな竹弥の無言の様子が癇に障ったのか、浦部はまたむっとした顔になった。
「なんだよ、なに取り澄ました顔をしているんだよ。女ものの下着穿いて、よくそんなつんとした顔して威張っていられるよな。え? 偉そうに!」
「……っ」
 浦部が下着の横側を引っぱった。
「よ、よせ!」
 穿いているのが恥ずかしいような下着でも、唯一身体を守ってくれる最後の防具だと思うと、それまで奪われるのに耐えられず、竹弥はあわてて、口を開いてしまった。
「ふん」
 浦部がまた引っぱる。
 竹弥の若い肉体が、小さな布切れでは隠せず、こぼれるように生命の存在をはなつ。
「あっ、や、やめろ……!」
 浦部は図に乗ってまた下着を引っぱる。布は形を変えて、竹弥の若さは刺激されてしまう。
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