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孤城の落月 五
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下肢も広げられて膝を折るかたちにされ、膝のところから、やや宙へと縛りあげられてしまっている。そられの紐先は縁側方面の欄間のはざまを通されて外へと伸びている。
今日はほぼ全裸だった。足元の靴下だけは、脱がすのを忘れたのか、そのまま履かされていた。
あまり汚されても困るからな、と、杉屋が腰の下にタオルを敷いていったのも、また悔しかった。
「くっ……」
障子は開け放たれ、風を下半身に感じる。
屏風だけが外界から竹弥を守ってくれる唯一の砦だった。
「うう……」
舌を噛み切りたいほどの屈辱に身をよじりながら、竹弥はただ時間がたつのを待っていた。
杉屋の姿が視界から消えてどれぐらい経ったか。
憎い相手を罵ることも、不本意だが許しを請うこともままならず、ひたすら竹弥は羞恥に身もだえしていた。
皮肉なほどに天気は良いようで、かすかにだが外から春の光が黄金の蜜のように和室にもこぼれ入ってくる。
そして……なかば覚悟はしていたが、今日も複数の足音と話し声が庭から響いてくる。
竹弥は、これから耐えねばならない、さらなる苦悶の時間を予想して、瞑目した。
話し声がはっきりと聞こえてきた。
「今日も、近江はいないんですか?」
「残念だね。次回はかならず会わせるようにするから」
そんな何気ない会話にも背が震える。竹弥は自分の心臓の鼓動が聞こえてくる気がした。
「……それが、このまえ話してくれた君の犬かい?」
ぴくん、と畳の上で竹弥の全身がしなったのは、杉屋が外で紐を引っぱったせいだ。
今日も、体内に道具を嵌められている。その道具が、欄間を通して外にとつながっている紐先を杉屋がたわむれに操ることで、竹弥の肉体の中心に刺激を作り出し、たまらない気持ちにされるのだ。
「うう……!」
完全に、玩弄されてしまっている。
揶揄うような動きで紐がゆれ、竹弥の宙づりにされている両足も、感じやすい後ろ園も、揺れて、乱れる。
人形か玩具のようにあつかわれている我が身が、たまらなく悲しく、悔しい。
しかも……、これほど貶められているというのに、いや、だからこそかもしれないが、竹弥の若芽は、反応しはじめているのだ。
(ああ……)
竹弥は絶望感に頭が痛くなってきた。
今日はほぼ全裸だった。足元の靴下だけは、脱がすのを忘れたのか、そのまま履かされていた。
あまり汚されても困るからな、と、杉屋が腰の下にタオルを敷いていったのも、また悔しかった。
「くっ……」
障子は開け放たれ、風を下半身に感じる。
屏風だけが外界から竹弥を守ってくれる唯一の砦だった。
「うう……」
舌を噛み切りたいほどの屈辱に身をよじりながら、竹弥はただ時間がたつのを待っていた。
杉屋の姿が視界から消えてどれぐらい経ったか。
憎い相手を罵ることも、不本意だが許しを請うこともままならず、ひたすら竹弥は羞恥に身もだえしていた。
皮肉なほどに天気は良いようで、かすかにだが外から春の光が黄金の蜜のように和室にもこぼれ入ってくる。
そして……なかば覚悟はしていたが、今日も複数の足音と話し声が庭から響いてくる。
竹弥は、これから耐えねばならない、さらなる苦悶の時間を予想して、瞑目した。
話し声がはっきりと聞こえてきた。
「今日も、近江はいないんですか?」
「残念だね。次回はかならず会わせるようにするから」
そんな何気ない会話にも背が震える。竹弥は自分の心臓の鼓動が聞こえてくる気がした。
「……それが、このまえ話してくれた君の犬かい?」
ぴくん、と畳の上で竹弥の全身がしなったのは、杉屋が外で紐を引っぱったせいだ。
今日も、体内に道具を嵌められている。その道具が、欄間を通して外にとつながっている紐先を杉屋がたわむれに操ることで、竹弥の肉体の中心に刺激を作り出し、たまらない気持ちにされるのだ。
「うう……!」
完全に、玩弄されてしまっている。
揶揄うような動きで紐がゆれ、竹弥の宙づりにされている両足も、感じやすい後ろ園も、揺れて、乱れる。
人形か玩具のようにあつかわれている我が身が、たまらなく悲しく、悔しい。
しかも……、これほど貶められているというのに、いや、だからこそかもしれないが、竹弥の若芽は、反応しはじめているのだ。
(ああ……)
竹弥は絶望感に頭が痛くなってきた。
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