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桜散華 四
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のけぞった刹那、首にかけられている紐が引き上げられ、先端にある異物を動かす。
(あっ……)
竹弥自身の動きによって、股間に波が押し寄せるのだ。
「くぅ……!」
それは未知の感触だった。
しばし余韻に痺れ、それがおさまること数秒。
「ふぅ……」
竹弥は、ふたたび、おずおずと首を反らしてみる。
「うう……」
首の動きにあわせて、紐先の、体内に埋めこまれている道具もかすかに動く。
かすかな、本当にかすかな作用だが、今の竹弥にはたまらない。
膝立になっていた竹弥は、もじもじと切なげに身体をひねってしまう。
リン――チリン――。
季節はずれの風鈴の音色にも似た音が響く。
それに合わせるように、竹弥のもらす息切れや、呻き声も。
チリン――チリン――。
「ふぅぅ……ああっ、ああ……」
奇妙な調べは、しばしつづいた。
「ううううっ」
だが、どれほど首を伸ばしても背を反らしても、決定的なとどめとなる刺激をおくることはできない。
竹弥は涙で霞む目で、辺りを見渡した。
壁際にある和箪笥に目がいく。
竹弥はしばし悩んだ。
恐る恐る、膝行で箪笥に近づいてみる。どうにか柱に縛りつけられている紐の長さに余裕がある。
震えながら、竹弥は、恥も誇りもかなぐり捨て、引き出しについている真鍮の取っ手を、口でくわえて、浮かす。ひんやりと冷たいそれをくわえた刹那、口に錆の匂いと味がひろがる。どこか血の味にも似て、竹弥の胸はしめつけられる。
「うう……」
あらたな涙が目ににじむ。
だが、静まることのない肉体に押され、竹弥はさらに身をかがめた。
取っ手が横向きに直径に立つようにしてから、苦心して取っ手の根本のところに紐をひっかけるようにしてみる。
首から垂れる紐には、ぎりぎり、取っ手に引っ掛けるだけのわずかな余裕がある。
「う……ん」
取っ手を浮かすのも、紐をそこに引っ掛けるのも、手が使えないので口でした。
傍目にはどれほど嗜虐的な光景となっただろう。
竹弥は、もう一度息を切らすと、さすがに一瞬、躊躇した。
しかし、体は激しく訴えてくる。
「ああ……」
(あっ……)
竹弥自身の動きによって、股間に波が押し寄せるのだ。
「くぅ……!」
それは未知の感触だった。
しばし余韻に痺れ、それがおさまること数秒。
「ふぅ……」
竹弥は、ふたたび、おずおずと首を反らしてみる。
「うう……」
首の動きにあわせて、紐先の、体内に埋めこまれている道具もかすかに動く。
かすかな、本当にかすかな作用だが、今の竹弥にはたまらない。
膝立になっていた竹弥は、もじもじと切なげに身体をひねってしまう。
リン――チリン――。
季節はずれの風鈴の音色にも似た音が響く。
それに合わせるように、竹弥のもらす息切れや、呻き声も。
チリン――チリン――。
「ふぅぅ……ああっ、ああ……」
奇妙な調べは、しばしつづいた。
「ううううっ」
だが、どれほど首を伸ばしても背を反らしても、決定的なとどめとなる刺激をおくることはできない。
竹弥は涙で霞む目で、辺りを見渡した。
壁際にある和箪笥に目がいく。
竹弥はしばし悩んだ。
恐る恐る、膝行で箪笥に近づいてみる。どうにか柱に縛りつけられている紐の長さに余裕がある。
震えながら、竹弥は、恥も誇りもかなぐり捨て、引き出しについている真鍮の取っ手を、口でくわえて、浮かす。ひんやりと冷たいそれをくわえた刹那、口に錆の匂いと味がひろがる。どこか血の味にも似て、竹弥の胸はしめつけられる。
「うう……」
あらたな涙が目ににじむ。
だが、静まることのない肉体に押され、竹弥はさらに身をかがめた。
取っ手が横向きに直径に立つようにしてから、苦心して取っ手の根本のところに紐をひっかけるようにしてみる。
首から垂れる紐には、ぎりぎり、取っ手に引っ掛けるだけのわずかな余裕がある。
「う……ん」
取っ手を浮かすのも、紐をそこに引っ掛けるのも、手が使えないので口でした。
傍目にはどれほど嗜虐的な光景となっただろう。
竹弥は、もう一度息を切らすと、さすがに一瞬、躊躇した。
しかし、体は激しく訴えてくる。
「ああ……」
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