翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

文字の大きさ
上 下
110 / 225

桜散華 一

しおりを挟む



 それから竹弥の淫獄の日々はさらに続くことになった。
 恐ろしいことに、本当に杉屋は屋敷に住み込んできたのだ。
 幸か不幸か、伊能老人はあれから来ることもなく、この状況を知られることもなければ、助けを求める人もいないまま、竹弥は地獄と化した桜御殿で悪夢のような日々をすごすことになった。今も。
「どうだ? 桜が綺麗だろう。……ますます美しく見えるぞ」
 縁側を全開にした杉屋がかけてきた後半の言葉は、桜を指しているわけではなかったが、それに気づく余裕は竹弥にはなかった。
「うう……」
 竹弥は、上半身は白いシャツを着ているが、下半身は剝きだしにされていた。靴下を、敢えて脱がさないところは、杉屋の趣味なのかもしれない。
 手は後ろで黒絹の紐で縛られている。
 さらに同じ漆黒の絹紐で、首から大きな首飾りのように紐をかけられ、その先は……、あろうことか竹弥の後ろ園に届いているのだ。
「ああっ……!」
 竹弥は恥辱のあまりのけぞった。
 竹弥の裡には、おぞましい道具が挿入されていた。
 おまえへの贈り物だ、と得意げに杉屋が最初にそれを見せつけきたときは、目を疑った。
 それは黄楊つげでできた道具で、用途は、さすがに竹弥もすでに知っている。
 杉屋の手にすっぽりおさまる程度の、本当に玩具のような大きさだが、ねっとりと飴色に光る物体は、竹弥を怖気上がらせるに充分なほど不気味な存在感をはなっていた。
「安心しろ、ちゃんと濡らしてやる」
 杉屋が新たに取り出したのは、先日も見た小瓶だ。その秘薬のもたらす効果をすでに身に染みて知っていた竹弥には、それもまた恐ろしい凶器でしかない。
「よ、よせ!」
 竹弥の怯えた顔は、杉屋にとっては誘惑でしかないようだ。
 杉屋は喜々として準備に取りかかった。
 道具のになる部分には銀輪が取り付けてあり、そこに紐を通したものを、強引に埋めこまれたのだ。黒い紐が一本の線のように竹弥の首から身体の前をとおって、後ろの園にたどりつく形となる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

朔の生きる道

ほたる
BL
ヤンキーくんは排泄障害より 主人公は瀬咲 朔。 おなじみの排泄障害や腸疾患にプラスして、四肢障害やてんかん等の疾病を患っている。 特別支援学校 中等部で共に学ぶユニークな仲間たちとの青春と医療ケアのお話。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...