101 / 225
綱渡り 六
しおりを挟む
「ううっ、ううっ……!」
甘い責め苦にいつしか下肢は燃えるようだ。意志でもっても理性でもっても抑えきれない若さは、萌えて下着の形を変えていく。
ふくらんだ布の先端を指でつついて男は嘲笑った。
「すっかり濡れているな」
「う……!」
羞恥と悔しさに竹弥は頬を燃やした。
それでも腰は、あてがわれた紐縄の刺激をもとめて揺れてしまう。
杉屋は悪童のように、にんまりと笑い、梨園の名花が散らされる様を楽しんでいる。
「ああ……! こんな……こんなこと……」
恥辱に気が遠のきそうになった一瞬、竹弥の朧げになった脳裏に、奇妙な光景が展開した。
それは忘れていた過去の記憶だった。
小学生の頃。学校帰り、中学生の不良たちがたむろしている空き地の前をとおりかかったとき、甲高い女の声が聞こえた。
それが派手な化粧にけばけばしい装いで、〝パンパン〝と呼ばれる類の女だということは、小学生の竹弥にもすぐわかった。
「いいじゃねえかよ、見せろよ」
「やめなさいよ! 子どものくせに、なにやってんのよ!」
最初は、ふざけ合っているのだと思った。中学生たちは五人、女は一人。皆、声には多少の笑いをふくませていたように思えた。
ふと気になった竹弥が、好奇心もあって空き地の前で足を止めていると、だんだん女の声が大きくなってきた。
「駄目だって言っているでしょう!」
「気取るなよ、パンパンのくせに。どうせアメ公のを散々咥え込んでいるんだろう?」
ひときわ身体の大きな少年の揶揄には、中学生の言葉とは思えぬほどの毒がこもっていた。
「なんだって!」
さすがに女は怒った。歳は二十代後半ぐらいだろうか。この頃の感覚では、若い娘とも呼べない。娼婦としても盛りの時期は過ぎているのだろう。枯れかけた花の哀愁が、濃い化粧と、煙草の吸い過ぎか、ややかすれた声にしのばれる。
「ババアのパンパンのをおがんでやろうっていうんだぜ、ありがたいと思えよ」
「な、なんてこと言ってんだよ! この不良!」
甘い責め苦にいつしか下肢は燃えるようだ。意志でもっても理性でもっても抑えきれない若さは、萌えて下着の形を変えていく。
ふくらんだ布の先端を指でつついて男は嘲笑った。
「すっかり濡れているな」
「う……!」
羞恥と悔しさに竹弥は頬を燃やした。
それでも腰は、あてがわれた紐縄の刺激をもとめて揺れてしまう。
杉屋は悪童のように、にんまりと笑い、梨園の名花が散らされる様を楽しんでいる。
「ああ……! こんな……こんなこと……」
恥辱に気が遠のきそうになった一瞬、竹弥の朧げになった脳裏に、奇妙な光景が展開した。
それは忘れていた過去の記憶だった。
小学生の頃。学校帰り、中学生の不良たちがたむろしている空き地の前をとおりかかったとき、甲高い女の声が聞こえた。
それが派手な化粧にけばけばしい装いで、〝パンパン〝と呼ばれる類の女だということは、小学生の竹弥にもすぐわかった。
「いいじゃねえかよ、見せろよ」
「やめなさいよ! 子どものくせに、なにやってんのよ!」
最初は、ふざけ合っているのだと思った。中学生たちは五人、女は一人。皆、声には多少の笑いをふくませていたように思えた。
ふと気になった竹弥が、好奇心もあって空き地の前で足を止めていると、だんだん女の声が大きくなってきた。
「駄目だって言っているでしょう!」
「気取るなよ、パンパンのくせに。どうせアメ公のを散々咥え込んでいるんだろう?」
ひときわ身体の大きな少年の揶揄には、中学生の言葉とは思えぬほどの毒がこもっていた。
「なんだって!」
さすがに女は怒った。歳は二十代後半ぐらいだろうか。この頃の感覚では、若い娘とも呼べない。娼婦としても盛りの時期は過ぎているのだろう。枯れかけた花の哀愁が、濃い化粧と、煙草の吸い過ぎか、ややかすれた声にしのばれる。
「ババアのパンパンのをおがんでやろうっていうんだぜ、ありがたいと思えよ」
「な、なんてこと言ってんだよ! この不良!」
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説



ふたなり治験棟
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!


朔の生きる道
ほたる
BL
ヤンキーくんは排泄障害より
主人公は瀬咲 朔。
おなじみの排泄障害や腸疾患にプラスして、四肢障害やてんかん等の疾病を患っている。
特別支援学校 中等部で共に学ぶユニークな仲間たちとの青春と医療ケアのお話。

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる