翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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紫縄遊戯 五

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 燃えるような杉屋の熱い舌先が、竹弥の可憐な芽を蹂躙する。
「ううううう……!」
 竹弥はふたたびのけぞり、歯を食いしばり、脳髄をとろかしていくような焦燥感に苦しむことになる。
 はぁ、はぁ、と息を吐くたびに、青白いほどに白い肌がふるえる。薄い肩が、室内の薄闇に、汗を弾けさせてぼんやりと発光しているようだ。
 杉屋が感心するのも無理はない。これほど美しい男の身体というものは滅多に存在しないだろう。いや、まだ男とは呼べない、完全な男になるにはまだしばし季節を残している未熟さが、危うい魅力となって見る者の目を刺すのだ。
 下から竹弥の苦悶を見上げるようにしていた杉屋が、口をはなして、ほとんど呆れたように告げた。
「まったく……。おまえの親父が、おまえを本職の役者にさせようとしないのが不思議なぐらいだな。これほどの肉体美を世に出そうとしないのは、損失だぞ。まぁ、もっともここまですべて見れるのは、俺だけだろうがな」
 どこまで本気なのか、揶揄めいた賛辞が竹弥の神経をひっかく。
「は、はなせぇ! も、もぉ、さわるな!」
 ありったけの力を振りしぼって身をよじったが、杉屋の嘲笑を買っただけだった。
「おい、また揺れているぞ。おまえ、揺らすのが好きなのか?」
「うう……!」
 竹弥の歯軋りの音が室に響きそうだった。
「よしよし、これから、たっぷり可愛がってやるからな。その後は、おまえの後ろ花も同じように可愛がって遊んでやるぞ」
 恫喝者の言葉は、あらためて竹弥を戦慄させた。
「おい、泣くなよ。気持ち良くしてやっているんだろうが」
「……な、なぜ、こ、こんなことをするんだよ? お、俺がおまえに何したっていうんだ?」
 杉屋というこの男に、恨まれるような覚えは一切ないはずだ。それなのに、この異常な男は、会ってすぐに竹弥を暴力でねじふせ、これほど淫虐な行為を強要してきたのだ。
「なぜ、こんなことをするかって? それはな、坊や、」
 杉屋は膝をついたまま、悪魔のように微笑した。
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