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紫縄遊戯 四
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「よしよし、いい子だ。泣くなよ。俺が拭ってやる」
竹弥の細い腰を両手でおさえるようにつかむと、杉屋はまたも熱い舌先を、熟れたように濡れた先端に押し付けてくる。
「ああ……」
すでに知ってしまい、予想していた切ない快楽に、竹弥はただ眉をしかめて息をつくしかできない。
「も、もう……駄目……だ」
安っぽいポルノ小説か映画の台詞のような言葉しか出せない。それもまた杉屋にとっては笑いの種だった。
「おまえ、役者一家の息子だろう? もっと他に気の利いた言葉は出せないのか?」
その揶揄は、これほどまでに打ちのめされていた竹弥のなかの、なけなしの最後の気骨を煽った。
「お、おまえのやっていることだって、三流ポルノの物真似じゃないか! よ、よく、恥ずかしくもなく、こんな馬鹿な真似ができるな!」
「ほう」
言われた杉屋は嘲笑とはちがう笑いを顔一面に浮かべた。
悔しさに黒瑪瑙のようにまたたく瞳を涙で光らせ、せいいっぱい言い返してくる竹弥の姿は、杉屋の征服欲を存分に満たしていくようだ。負け戦の果ての落城の夕暮れに散る桜の花びらが、竹弥をつつみこむように舞っている。いや、桜の花びらは、竹弥のなかから降ってくるのだ。
柄にもなく、男の目は欲望とは別のもので蕩けていく。
「すごいな……坊主。おまえという奴は。本当に……これほど艶やかで、女以上に嫋々としていて、それでいて……おまえは油断できない。こんなすごいもの、さすがの俺も見たことはないな」
竹弥は相手の口調と言葉に困惑した。
困惑している竹弥を見て、また杉屋は痛快そうに笑う。
「な、なに笑っているんだよ! 恥があるなら、こ、この紐を、ほどけよ!」
「それは出来ないな。もうしばらく、このままで、おまえには楽しんでもらわないとな」
どこまでも余裕綽々な杉屋の態度に、竹弥は全身を焦がして、怒りを示した。
「は、恥知らず!」
「恥知らずはおまえだろう? また漏らしているぞ」
「くそぅ……」
杉屋の指さした先を見て、竹弥は悔しさに歯噛みした。
「安心しろ」
杉屋はふたたび竹弥の細い腰を両手で包みこむ。
「ちゃんと綺麗にしてやる」
「よ、よせ、あっ、……はぁっ!」
竹弥の細い腰を両手でおさえるようにつかむと、杉屋はまたも熱い舌先を、熟れたように濡れた先端に押し付けてくる。
「ああ……」
すでに知ってしまい、予想していた切ない快楽に、竹弥はただ眉をしかめて息をつくしかできない。
「も、もう……駄目……だ」
安っぽいポルノ小説か映画の台詞のような言葉しか出せない。それもまた杉屋にとっては笑いの種だった。
「おまえ、役者一家の息子だろう? もっと他に気の利いた言葉は出せないのか?」
その揶揄は、これほどまでに打ちのめされていた竹弥のなかの、なけなしの最後の気骨を煽った。
「お、おまえのやっていることだって、三流ポルノの物真似じゃないか! よ、よく、恥ずかしくもなく、こんな馬鹿な真似ができるな!」
「ほう」
言われた杉屋は嘲笑とはちがう笑いを顔一面に浮かべた。
悔しさに黒瑪瑙のようにまたたく瞳を涙で光らせ、せいいっぱい言い返してくる竹弥の姿は、杉屋の征服欲を存分に満たしていくようだ。負け戦の果ての落城の夕暮れに散る桜の花びらが、竹弥をつつみこむように舞っている。いや、桜の花びらは、竹弥のなかから降ってくるのだ。
柄にもなく、男の目は欲望とは別のもので蕩けていく。
「すごいな……坊主。おまえという奴は。本当に……これほど艶やかで、女以上に嫋々としていて、それでいて……おまえは油断できない。こんなすごいもの、さすがの俺も見たことはないな」
竹弥は相手の口調と言葉に困惑した。
困惑している竹弥を見て、また杉屋は痛快そうに笑う。
「な、なに笑っているんだよ! 恥があるなら、こ、この紐を、ほどけよ!」
「それは出来ないな。もうしばらく、このままで、おまえには楽しんでもらわないとな」
どこまでも余裕綽々な杉屋の態度に、竹弥は全身を焦がして、怒りを示した。
「は、恥知らず!」
「恥知らずはおまえだろう? また漏らしているぞ」
「くそぅ……」
杉屋の指さした先を見て、竹弥は悔しさに歯噛みした。
「安心しろ」
杉屋はふたたび竹弥の細い腰を両手で包みこむ。
「ちゃんと綺麗にしてやる」
「よ、よせ、あっ、……はぁっ!」
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