翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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淫夢炎上 四

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 竹弥の中心をあらためて包みなおし、聖なる儀式のように、先ほどあれほどいじめた先端に口づけする。
「あ……! ああ!」
「いいぜ。色っぽいな。もっと色気が増すようにしてやるからな。これから、おまえのことを、苛めて、いや、うんと可愛がって、とことん感じさせてやるぞ。覚悟しろよ」
「はあ!」
 男の熱い舌が、竹弥自身を攻撃する。
「うううううう!」
 凄まじい責めだった。
 激しく舌を上下、左右に動かし、先端に微妙、かつ絶大な刺激を与えてくる。
 竹弥は腰の震えを止められなかった。
「や、やめ、やめろ! もう、やめろ! はぁ、ああっ、だめっ、だめだっ、そ、そんな、そんなとこ……あう!」
 竹弥は気が狂いそうになった。
「畜生! ちくしょ……!」
 地団太踏んで悔しがっても、身の内をじりじり熾火で炙られるような焦燥感からは逃げられず、男の舌に身体どころか、魂まで散々いいようにされ、もてあそばれてしまう。
「も……もぉ……!」
「まだだ」
 男は、ズボンの尻ポケットからなにやら取り出して、竹弥の前に示してみせた。
 ぼんやり涙でかすんだ目に映ったのは、紫色めいた塊りだった。
「美しいだろう。古代紫の色だ。おまえに似合うだろうよ」
 それが丸打ち状の組み紐だと竹弥が気づいたのは、男の手によって、その紐がしゅるしゅると宙で波打ち、蛇のようにのたうつのを見たときだ。
「あっ……」
 男は、器用な手つきで、その優美な小道具を、竹弥の男の象徴をくるむように巻き付けてしまう。
 やっと、竹弥は男の意図するところを悟って、あらためて絶望と屈辱に歯ぎしりした。
「ああ……!」
 紐で縛られることにによって、竹弥はますます自由を奪われ、ますます追い詰められていく。
「ふふふ……」 
 男は縛り終わると、立ち上がり、やや離れた。自分の煽った竹弥の内の火がしずまるのを待つつもりなのか、腕を組んで見ている。そうすることで竹弥をさらに炙ろうとしているのは一目瞭然だ。
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