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朝桜心中 九
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床の間の上部、落ち掛けに取り付けられている滑車が奇妙な音をたて、紐縄が引かれると同時に、竹弥の身体もねじれる。
「あ、よ、よせ!」
背後を杉屋におさえられ、竹弥は自分ですら見ることのない箇所に視線を感じ、狼狽せずにいられない。
「まずは指でここをじっくり慣らしてやる。前回あれだけ感じたのだから、素質があることはもうわかったからな。これからの調教が楽しみだな」
調教という言葉に、竹弥の背中がこわばる。
「なんだ、今更怯えた顔をするな。安心しろ、おまえには充分素質がある。すぐに良くなって、おまえの方からじきにしてもらいくなって仕方なくなるぞ」
秀麗さに剣呑さをふくんだ顔で、笑いながら告げられた言葉のあまりのおぞましさに、竹弥は恐怖と同時に憎悪と怒りを感じた。こんな徹底的に不利な状況であっても、怒鳴らずにはいられなかった。
「いい加減にしろよ! 下種!」
頬を熱くしていきりたつ竹弥を見る相手の目は、逆にひんやりとしたものを放っていた。
「ああ、俺は育ちの悪い下種なんでね。梨園の奥園でだいじだいじに育てられた若様とは、そもそも人種が違うんだよ」
「ひっ!」
強引に、一本の指……らしきものが竹弥の青い肉を分かつ。
「や、やめ、やめろ!」
「今日は、その下種が、徹底的におまえを苛めてやろう。苛めて、苛めて、最後には、苛められるのが大好きになる身体にしてやるからな」
笑っているが、杉屋の顔は本気だった。
「そうだ。俺がこれから、おまえを造り変えてやる。気位たかい梨園の王子様を、淫乱の男娼に造り変えてやろう。それも、最下級の男娼だ」
杉屋の顔に、冷酷な微笑がにじんだ。
「どういうことか、わかるか? 相手が誰でも尻を振って抱かれたがるオカマ野郎に変えてやるんだよ、おまえを」
竹弥が背筋を凍らせたのは、言葉の酷さもさることながら、杉屋のかもしだす、どこか常軌を逸した雰囲気のせいだ。
「あ、よ、よせ!」
背後を杉屋におさえられ、竹弥は自分ですら見ることのない箇所に視線を感じ、狼狽せずにいられない。
「まずは指でここをじっくり慣らしてやる。前回あれだけ感じたのだから、素質があることはもうわかったからな。これからの調教が楽しみだな」
調教という言葉に、竹弥の背中がこわばる。
「なんだ、今更怯えた顔をするな。安心しろ、おまえには充分素質がある。すぐに良くなって、おまえの方からじきにしてもらいくなって仕方なくなるぞ」
秀麗さに剣呑さをふくんだ顔で、笑いながら告げられた言葉のあまりのおぞましさに、竹弥は恐怖と同時に憎悪と怒りを感じた。こんな徹底的に不利な状況であっても、怒鳴らずにはいられなかった。
「いい加減にしろよ! 下種!」
頬を熱くしていきりたつ竹弥を見る相手の目は、逆にひんやりとしたものを放っていた。
「ああ、俺は育ちの悪い下種なんでね。梨園の奥園でだいじだいじに育てられた若様とは、そもそも人種が違うんだよ」
「ひっ!」
強引に、一本の指……らしきものが竹弥の青い肉を分かつ。
「や、やめ、やめろ!」
「今日は、その下種が、徹底的におまえを苛めてやろう。苛めて、苛めて、最後には、苛められるのが大好きになる身体にしてやるからな」
笑っているが、杉屋の顔は本気だった。
「そうだ。俺がこれから、おまえを造り変えてやる。気位たかい梨園の王子様を、淫乱の男娼に造り変えてやろう。それも、最下級の男娼だ」
杉屋の顔に、冷酷な微笑がにじんだ。
「どういうことか、わかるか? 相手が誰でも尻を振って抱かれたがるオカマ野郎に変えてやるんだよ、おまえを」
竹弥が背筋を凍らせたのは、言葉の酷さもさることながら、杉屋のかもしだす、どこか常軌を逸した雰囲気のせいだ。
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