翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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朝桜心中 七

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「おまえのおっぱい、濡れ濡れだな。べたべたになって、光って。色っぽいぞ」
「うう……」
 残酷に笑うと、さらに男はとんでもない言葉をはなつ。
「舐められて、しゃぶられて、いけない僕は感じてしまいました。刑事にはそう言え。ほら、」
(あっ……)
 竹弥は、己の肉体が見せはじめた反応に気づいて、ふるえた。
 完全ではないが、かすかに熱を持ちはじめ、きざしかけているのが、ほぼ裸のこの状況では隠せない。
「おまわりや刑事は、こう訊くぜ。そのあと、どうなったんだ? どうしたんだ? と。訊かれたら、こう言え。そのあと、杉屋は、ぼくのいたいけなそこをいじりはじめました」
「ああっ! や、やめろ!」
 幼稚で淫虐なやりかたを、杉屋は完全に楽しんでいる。
「僕のは、まだそんなに大きくなかったのですが、杉屋に弄られているうちに、大きくなって、僕、すごく感じてしまいました、と。おまわりらが聞いたら大喜びだぞ」
「ああっ!」
 爆笑しながら、杉屋は、それを実行し、竹弥を悶絶させる。
「ああっ、……ううっ、うっ、うっ、やめろ、やめろぉ!」
 太陽もとおく、黄昏のたれこめる室内に、しばし淫靡な地獄絵図が展開した。
(こんな、こんな卑劣な、最低の男に)
 閉じた瞼から、無念の涙がこぼれるのを竹弥はおさえきれない。
「僕、嫌で嫌でたまらなかったのですが、杉屋にされているうちに、良くなってしまって、たまらない気持ちになってしまいました、と。警察ではそう言えよ」
「はぁっ!」
 屈辱感のきわまりとともに、竹弥の視界は一瞬、絶望の闇に染まった。
「おっと!」
 竹弥はふたたび目を閉じ、杉屋の嘲笑をぼんやりと聞いていた。
 わずか数秒だが、気が遠くなりそうだった。本当に気が遠くなっていれば、楽だったろう。
 やがて、恐る恐る目をあけると、杉屋が手についたものを、これみよがしに竹弥に見せつけてきた。
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