翠帳紅閨 ――闇から来る者――

文月 沙織

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朝桜心中 六

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「胸もはだけられて、……乳首をいじられました、と」
「あ、よ、よせ!」
 男の手が、胸を覆うように触れてきたかと思うと、右胸の先端の、薄桜色の粒をつまみあげる。
 竹弥は悲鳴をあげそうになった。
「や、やめろ!」
「乳首を指でこねくりまわされました、と」
 言ったとおりに、男はした。
「さ、さわるな! やめろぉ!」
 脚が不様にふるえるのを止められない。竹弥は縛られている腕に力を込めた。
 男は、右胸の小さな蕾のような突起物を親指と人差し指ではさみ、ゆっくりと引っ張る。力はちいさなものだが、なまじかすかな圧力だけに、刺激がすさまじかった。
「や、やめろ、やめろ!」
 竹弥はむなしく叫びつづけた。
「どんなに叫んでも、誰も来てくれませんでした、と言え。散々、乳首をいじられ、舐められました、と言うがいい」
「はぁっ!」
 男は、本当にそうした。身をかがめ、竹弥の右胸の突起に軽く接吻すると、まるでそれが始まりの挨拶のようで、つぎは舌で舐めまわしてきた。
「ひぃーっ!」
 あまりのことに、いてもたってもいられず、足をばたつかせていた。
「よせ、よせ、やめろ!」
 あわてふためき必死に逃れようともがく竹弥をめんどくさそうに左腕で押さえこみ、男はついばむように何度も乳首を吸い、乳輪を舐めまわし、また先端をついばむ。
 まだ午前中のはずだが、雨戸を閉め切った室は小さな夜の世界だった。その薄暗い世界にしばらく湿った音と、竹弥の悲鳴とあえぎ声が響きつづける。
「今度はこっちだ」
「はぁっ……!」
 まるで定められた儀式のように、男は、左胸におなじことをする。
「うううう……」
 甘い責め苦に、竹弥は歯を食いしばって、とにかく男の動きが終わるのを待った。
 やがて男は、ふーっ、と息を吐き、一歩下がる。
 自分の仕事の出来栄えを観察するように、息もたえだえの竹弥を眺めて、はげしい恥辱をあたえてきた。
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