紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

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楽園の密猟者 六

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 息を吐いて、周囲を見渡した。室にはあまり生活臭が感じられない。安ホテルの一室というところか。
 咄嗟に窓はないかと辺りを見回した。小さな摺り硝子の窓が見えた。次に扉をさがしたところ、その扉が開いた。
「おや、お姫様のお目覚めか」
 入ってきたのはヴルブナだった。
「ここはどこだ?」
 押し殺した声で訊ねてみる。
「島のホテルだよ。館からは車で一時間ほどはかかるかな」
「私をどうするつもりだ?」
「せっかく休暇を楽しむなら観光しようと思ってね。あんたに付き合ってもらいたくてな」
 ヴルブナは声をあげて笑った。卑しい笑い方である。アレクサンダーは背に虫唾が走った。
「あんただって、せっかくこの島に来たなら館の外も見てみたいだろう? この島はかくれた観光名所として有名なんだぜ」
「レキウスは知っているのか? このことを知ればきっと怒るはずだ。そうなる前に私を館へ戻せ!」
「レキウス? 殿下とか呼ばれているあの淫売館の主のことか?」
 口調に侮りを感じてアレクサンダーはむっとした。そんなアレクサンダーをどう思ったのか、ヴルブナの口調も毒がこもったものだった。
「ふん、すっかりあの娼館で売れっ子になったようだな。殿下に可愛がられてよがりまくっていたよな。あんなオカマ野郎のどこがいいんだ? あれ、役に立ったのかよ?」
 ヴルブナがそのことを知っていることに、驚いた。
「貴様、なぜ知っている?」
「ふふ。見ていたからだよ。坊主を脅して、こっそりあんたらの濡れ場をおがませてもらったんだ。いやぁ、びっくりしたな。俺もいろいろ遊んだが、さすがにオカマ同士の本番というのは初めて見たな。男同士、女同士は巷の娼館で見たことあるがな」
「は、恥知らず!」
 よりにもよってこの男に、レキウスとのみそか事を知られていたのかと思うと吐き気がするほどの恥辱を感じた。
「ふん。恥知らずはどっちだ? あのオカマ殿下と乳くりあって、いい、いい、ってよがっていたのはあんただろう? 驚いたぜ、モール少佐があんな可愛い声出すとは」
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