167 / 183
日影の宮殿 四
しおりを挟む
「嘘だよ! あたい、なにもしてないのに、このじいさんが変なことしようとしてきたんだ!」
下層階級の言葉ではあるが、英語であり、ヴルブナはなんとか聞きとれた。頭に巻いた厨房用の布からこぼれる髪は金髪で、ちゃんと手入れをすればさぞ美しいだろうと思われる。
「お嬢ちゃん、あんた幾つだ?」
くずれた英語で問うと、少女はおずおずと答えた。
「じゅ、十二……、もうすぐ十三だよ」
「ふーん」
にんまりとヴルブナは笑った。
いくら無法同然の島とはいえ、さすがに聖職者が十二の子どもに手を出すのはまずいだろう。いや、この館では、許可なしに手を出すことのほうがまずいのかもしれない。
「これはピロテスに報告した方がいいかもしれないな」
「ま、待て! ち、ちがうのだ! この娘の方が金欲しさに言いよってきたのじゃ!」
「ちがうよ!」
少女は叫んだ。
「母さんの薬代が要ることは言ったけれど……。相談にのるっていってくれて、そ、そしたら、いきなりあたいのこと抱き寄せて、自分のチンポ舐めさせようとしたんだ!」
「なにを言っておる!」
ソロモンは真っ赤になって激怒したが、その顔には焦りが見える。
「へぇぇぇ。坊さん、そういうのが好きなんだな」
ヴルブナは痛快になってきた。
このソロモンという男はこの館でも高い地位と影響力があるはずだ。
(これは使えるな)
ヴルブナはソロモンの肩を優しく撫でた。
老人は警戒するような目をむける。
「安心しろよ。野暮なことは言わないさ。その代わり、この子に薬代の金は払ってやれよ」
「……ピロテスには言わないでくれるか?」
小声でソロモンは訊いた。
「安心しろ。それより、今度は俺の相談にのってくれよ」
ヴルブナも小声で返してから、座りこんでいる少女に近づき、手を貸して立たせた。
「安心しろ、嬢ちゃん。もうこのじいさんはあんたに悪いことはしないし、薬代も出してくれるそうだ」
下層階級の言葉ではあるが、英語であり、ヴルブナはなんとか聞きとれた。頭に巻いた厨房用の布からこぼれる髪は金髪で、ちゃんと手入れをすればさぞ美しいだろうと思われる。
「お嬢ちゃん、あんた幾つだ?」
くずれた英語で問うと、少女はおずおずと答えた。
「じゅ、十二……、もうすぐ十三だよ」
「ふーん」
にんまりとヴルブナは笑った。
いくら無法同然の島とはいえ、さすがに聖職者が十二の子どもに手を出すのはまずいだろう。いや、この館では、許可なしに手を出すことのほうがまずいのかもしれない。
「これはピロテスに報告した方がいいかもしれないな」
「ま、待て! ち、ちがうのだ! この娘の方が金欲しさに言いよってきたのじゃ!」
「ちがうよ!」
少女は叫んだ。
「母さんの薬代が要ることは言ったけれど……。相談にのるっていってくれて、そ、そしたら、いきなりあたいのこと抱き寄せて、自分のチンポ舐めさせようとしたんだ!」
「なにを言っておる!」
ソロモンは真っ赤になって激怒したが、その顔には焦りが見える。
「へぇぇぇ。坊さん、そういうのが好きなんだな」
ヴルブナは痛快になってきた。
このソロモンという男はこの館でも高い地位と影響力があるはずだ。
(これは使えるな)
ヴルブナはソロモンの肩を優しく撫でた。
老人は警戒するような目をむける。
「安心しろよ。野暮なことは言わないさ。その代わり、この子に薬代の金は払ってやれよ」
「……ピロテスには言わないでくれるか?」
小声でソロモンは訊いた。
「安心しろ。それより、今度は俺の相談にのってくれよ」
ヴルブナも小声で返してから、座りこんでいる少女に近づき、手を貸して立たせた。
「安心しろ、嬢ちゃん。もうこのじいさんはあんたに悪いことはしないし、薬代も出してくれるそうだ」
3
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
魔族に捕らえられた剣士、淫らに拘束され弄ばれる
たつしろ虎見
BL
魔族ブラッドに捕らえられた剣士エヴァンは、大罪人として拘束され様々な辱めを受ける。性器をリボンで戒められる、卑猥な動きや衣装を強制される……いくら辱められ、その身体を操られても、心を壊す事すら許されないまま魔法で快楽を押し付けられるエヴァン。更にブラッドにはある思惑があり……。
表紙:湯弐さん(https://www.pixiv.net/users/3989101)
【R18】異世界で傭兵仲間に調教された件
がくん
BL
あらすじ
その背中は──英雄であり、悪党だった。
物分かりのいい人間を演じてきた学生、イズミケントは現実で爆発事故に巻き込まれた。
異世界で放浪していたケントを魔獣から助けたのは悪党面の傭兵マラークだった。
行き場のなかったケントはマラークについていき、新人傭兵として生きていく事を選んだがケントには魔力がなかった。
だがケントにはユニークスキルというものを持っていた。精変換──それは男の精液を取り入れた分だけ魔力に変換するという歪なスキルだった。
憧れた男のように強くなりたいと願ったケントはある日、心を殺してマラークの精液を求めた。
最初は魔力が欲しかっただけなのに──
仲間と性行為を繰り返し、歪んだ支援魔法師として生きるケント。
戦闘の天才と言われる傲慢な男マラーク。
駄犬みたいな後輩だが弓は凄腕のハーヴェイ。
3人の傭兵が日常と性行為を経て、ひとつの小隊へとなっていく物語。
初投稿、BLエロ重視にスポット置いた小説です。耐性のない方は戻って頂ければ。
趣味丸出しですが好みの合う方にはハマるかと思います。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる