紅蓮の島にて、永久の夢

文月 沙織

文字の大きさ
上 下
146 / 211

恥辱の邂逅 二

しおりを挟む
「なんて様だ。足を開かされて女ものの下着を穿かされ、しかもどろどろに濡らしてるとは。あんたを崇拝していた部下たちに見せてやりたいな。いや、なによりあんたの可愛い婚約者、妻というべきか、アディーレ嬢、いやアディーレ夫人に見せてやりたいね」
「ううっ!」
 神経を切り刻む言葉を投げつけておいて、最後にヴルブナは黒い下着の上からアレクサンダーの臀部をぴしゃり、と打った。まるで悪戯した幼児を罰するかのように。
 アレクサンダーの胸は屈辱につぶれた。
 さらに追い打ちをかけるように頭に浮かんできた、あのフィルム。
 銀幕のなか、喪服のアディーレに寄り添うようにしていたヴルブナ。そんなことがあるわけないとは思うが、もしかしたらヴルブナがアディーレになにかしたのではないという疑惑がわく。二人のあいだに何かあったのでは、というどす黒い疑惑がアレクサンダーを困惑させた。
「ふん」
 意外に勘の良いヴルブナはアレクサンダーの懸念を感じとったようだ。闇を呑んだ目が赤銅色に燃える。
「安心しろよ。あんな気取りかえったギスギスのお澄まし屋は俺の好みじゃないさ。こっちからご免だね。まだ淫売屋のステラの方が可愛げあるぜ。あの高慢ちきそうな女は、今頃新しい男とよろしくやっているさ」 
 ヴルブナは毒がしたたるような声で告げた。
「やめろ! アディーレを侮辱するな!」
「けっ、いまだに上官気取りかよ。あんたの奥方はけっこう淫乱だぜ。男がいないと耐えられないのさ」
 アレクサンダーは耳を覆いたくなった。こんな下劣な男の言葉に耳をかすべきではないと思うが、心は動揺していた。
「でたらめを言うな!」
 ヴルブナは小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「知らぬは亭主ばかりとはよく言ったな。まぁ、まだ本当の亭主にすらなってなかったろうが。あの若さで未亡人になって寂しい想いをしたのだから、男が欲しくなっても仕方ないだろう。そういうあんただって、可愛いご令嬢と楽しんでいたのだから、奥方のことは言えないぜ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

5人の幼馴染と俺

まいど
BL
目を覚ますと軟禁されていた。5人のヤンデレに囲われる平凡の話。一番病んでいるのは誰なのか。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

禁断の祈祷室

土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。 アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。 それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。 救済のために神は神官を抱くのか。 それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。 神×神官の許された神秘的な夜の話。 ※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

処理中です...