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恥辱の邂逅 一
しおりを挟む激しい怒りがアレクサンダーの体内で嵐のようにまき起こる。
「き、貴様、貴様、よくも!」
自分の部下でありながら、自分を卑劣な罠に嵌め、このような境遇に堕とした憎い相手である。
手足の自由もままならない状況で、ほぼ全裸という惨めな姿であっても、アレクサンダーは怒鳴らずにいられない。
「よくも、私の前に……! う、裏切り者、卑怯者! は、恥知らず!」
さらになにかをわめきちらそうとしたアレクサンダーに、ヴルブナはとびきり冷たい嘲笑を向けた。
「ふん。そんな格好でよく言うな。どっちが恥知らずですか、少佐? すごい格好じゃないか」
言われてあらためて激しい羞恥がアレクサンダーの内にこみあげてきた。
貴族軍人としてのかつての地位も階級も制服も勲章もすべて剥ぎとられた今のアレクサンダーが身につけているのは、唯一股間をまもる黒い薄布一枚である。それが女物であることはヴルブナにもわかるのだろう。
「ふん、こんなものを着けられて、よく平気でいられるな」
激しい嘲りをこめてヴルブナはアレクサンダーを舐めるがごとく眺め、武骨な太い指で布を引っ張る。先ほどまでのシャルロットの行為のせいで濡れてくずれているため、いっそう淫靡で匂うような官能を見せつけてくる。
しかも片足を吊り上げられていることで、身体がよじれて、アレクサンダーの以前より痩せたしなやかな肉体は、なんともいえない曲線美をつくりだしているのだ。
ブルブナは口笛を吹きそうになったが、止めた。だが調子にのったように、その布を幾度か引っ張り、アレクサンダーをあわてさせる。
「あっ」
今にも紐がほどけて外れてしまいそうだ。
「よ、よせ!」
この期におよんでも捨てきれない、羞恥という人間的感情のためにアレクサンダーはうろたえ、つい弱い声になってしまうのが悲しい。
「ふふふふ、似合っていますよ、その下着。あんたがこんなに色っぽかっとはねぇ」
笑いつつ、声は冷たい。ブルヴナは同じくらい冷たい目をあらためてアレクサンダーに向ける。
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