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名花蹂躙 三

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「い、いや……」
 嫌悪と恥辱と、そして説明のつかぬもどかしく甘い切なさにシャルロットはほとんど朦朧となりかけていたが、アレシアの言葉に、あらたな恐怖を呼びおこされ、目を見張った。
 だが大きく開かれた碧の瞳にも、今までにはなかった潤みが見られる。
「あ、な、なにをするの!」
「じっとして」
 小瓶の栓をあけたアレシアは、なかの液体を手にしたたらせる。透明のしたたりは、得体のしれぬ毒液のようで、それを人差し指と中指の二本にからませ笑うアレシアは、まさに恐ろしい毒師である。
「動くんじゃないよ、これを今からあんたの大事なところに塗りこむんだからね」
「い、いや! こ、こないで!」
 シャルロットは縛られた身体で、なけなしの反抗をしたが、すでに身体の芯はアレシアによってかなり蕩かされており、アレシアの片手ひとつで簡単におさえられ、そこへ気味悪いしたたりを塗りこまれてしまった。
「あ、あ、や! つ、つめたい!」
「ふふふ。最初はひんやりするだろうけれど、じき熱くなるさ」
 アレシアは狡猾そうに笑うと、シャルロットのはかないあらがいを満足そうに眺める。
 シャルロットは諦めきれないように、いや、いやと小声で幼児のようにつぶやき、悪魔でも愛しく思うようないじらしい抵抗をつづけ、アレシアを喜ばせた。
 アレシアの目は熱を帯び、欲望に滾っている。
 すっかり秘薬を塗りこむと、数歩退いて、シャルロットの美しい身体を眺めた。
「ああ……」
 薬が浸透するのに、そう時間はかからなかったようだ。
「う……うう……」
 シャルロットの頬は熱をふくみはじめ、辛そうに眉はしかめられ、苦しげに息を吐く。だが表情にも、微妙な動きにも、奇妙な甘さが滲みでてくる。
「んっ……! あっ……、ああ」
 こぼす喘ぎにも甘美なものがまじりだす。
「ふふふふ。効いてきたようだね。どうだい、お嬢さん、ちょっと切ない気持ちになってきたろう?」
 アレシアは右手をふたたびシャルロットの左胸に伸ばす。
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